Piano Collections FINAL FANTASYへの憧れ
Final Fantasyシリーズ、もといスクエニ製のゲームはPiano Collectionsを制作しがちである。
Piano Collectionsとは、つまり公式によるピアノアレンジ曲集のようなもので1枚のアルバムとしてリリースしつつ、丁寧に楽譜まで出版されていたりする。
この力の入れようは他社の比ではない。
もちろん他社のゲームにもそういったアレンジCDはリリースされているが、スクエニ…特にFFシリーズはほぼほぼ全作リリースしているという徹底ぶりである。
私はこのPiano Collectionsが好きで、Piano Collectionsに魅せられて今の自分があるといっても過言じゃないんです。
Piano Collections(以下ピアコレ)との出会いは約20年前、中学生時代に遡る。
もともとゲーム音楽が好きだった自分はFFシリーズの音楽作品の多さを知り色々と調べていたところFFXのピアコレにたどり着くわけだが…ここで衝撃を受けた曲がある。
「ビサイド島」である。
まずは原曲がコチラ↓
ほんでピアコレ版がコチラ↓(上から3曲目)
「な、なんだこの原曲の要素を残しつつ独創性を大幅に加えたオリジナリティ溢れるドラマチックなアレンジは…」
初めて聴いた時の感想がこう。
当時中学生だった自分はここで初めて”編曲"というものの面白さを知るのである。
もちろん原曲の素晴らしさ…というか浜渦正志氏の天才性についてはもはや言うまでもないが、編曲によって同じ曲でこんなにも表情を変えてしまうということに衝撃を覚えたのである。
ちなみにパッと見クレジットされていないがFFXのピアコレは全て浜渦氏による編曲となっていて、作品によって編曲者も奏者も方向性も異なるがそのどれもが素晴らしい。
で、ここからが本題なのだが公式によるアレンジと二次創作によるアレンジはそもそも在り方が違うということ。
私はFFも好きだがファイアーエムブレムシリーズが特に好きであり、今でも呆れるくらいプレイしている。
他作品と比べるとあまり言及されにくい印象があるけど、FEのBGMは素晴らしいんですよ!
もちろん"プレイしてるから”とか"好きだから"感じる部分もあると思うが、「印象に残るゲーム音楽が少ない」と言われがちな昨今、今でもクオリティを落とすことなく熱量のあるBGMを制作し続けているタイトルの一つなんです。FEは。
そうなると思うことはこうである。
「FEでもピアコレやりてぇな…」
というわけで自分でちびちびやってみたんです。この前。
これとか↓
これとか↓
Xにアップする用なんで2分尺に収めているというのはあるんだが色々やってみて気づいたことがあって、それは
二次創作だと"原曲の要素を残しつつ独創性を大幅に加えたオリジナリティ溢れるドラマチックなアレンジ"はやりにくいということ。
というかあんま意味を成さない。
そもそも編曲スキルが求められるから難しいというのはあるんだが、二次創作というのは基本的にはパッと見でその曲です!とか、そのキャラです!というのがわからないと意味がないわけで
原作への愛とか理解とか、そういうのが伝わらないとやる方としても見る方としてもあんまりやる意義を感じなくないですか?人によって色々スタンスはあるだろうが個人的には二次創作ってのは多分そういうもん。
原作を大幅に越えた解釈とか、原作の要素から大きく離れた二次創作ってのはまぁルール的にはアリなんだろうが人は選ぶ気がする。
もちろんそういうので優れた作品もある。マイナーカプのSSなんかはそういうのじゃないと楽しめないし。
でも曲の場合は、「あんま崩しすぎるのもなぁ…」感が付き纏う。ノイズが入る感覚というか。
一応例外として、東方アレンジは原曲の解釈を大幅に飛び越えても良さげである。発熱巫女〜ずなんか大好き。ニコニコ動画との親和性でそういう文化が醸成していったのを感じる。
つまり何が言いたいかというと、"原曲の要素を残しつつ独創性を大幅に加えたオリジナリティ溢れるドラマチックなアレンジ”は公式がやるから大きな意味があるというわけですよ。
だからよぉ…もう公式がやってくんねぇか?
ちなみにFEも公式によるアレンジCDはいろいろ出てるんですよ。これとか↓
これとか↓
どれもぶっちゃけ素晴らしいんですよ。
公式だからクオリティはピカイチだし、独創性も光っている。こういうのを出してくれること自体がありがたいんです。再販してくれよとは思うけど。
あとゲーム性の違いもあると思う。FEはシミュレーションRPGであり、基本的にはMAP上でずっと戦争をしているゲームである。最近はその限りではないけど。
FFなどのRPGと比べると、そのシーンに特化した曲が多くなるのも仕方ない。というかどのゲームもそう。
そのBGMはそのゲームのために生まれたものであり、そのゲームで鳴っているからこそ素晴らしいのだ。
だからそのBGMが思い出として残るし、多くのBGMは「やっぱ原曲だよね」となるのである。
FFはあのゲーム性であの楽曲たちだからこそPiano Collectionsを展開できたし、今もなお文化として根付いているのだ。
それでも私は、「ビサイド島」で感じたあの興奮をまた味わいたくてゾンビのようにこの世をさまよい続けるのであった───
ちなみにそんな「ビサイド島」を制作した天才、浜渦正志氏のコンサートが今月開催されるのでご紹介。配信もあるそうなので興味のある方は是非。