WITHコロナ時代の展示会ブースの考え方 #01
7月1日になって時点でまだ再開されていない展示会業界。しかしながら再開の動きはあります。6月3日、大阪観光局はMICE再開に向けてのガイドラインを発表しました。7月末に開催される「関西ホテル・レストランショー」を検証展示会として実施する、とされています。また、1週間後の6月10日、日本展示会協会(日展協)も展示会再開のガイドラインを発表しました。
1.展示会再開のためのガイドライン
どちらも展示会再開に向けたガイドラインとして書かれている内容は同じですが、日展協の方が、主催者、会場、出展者、支援企業など、それぞれの立場で考慮すべきことが書かれている分、より細かく記載されている、ということができます。
ただ、展示会ブース自体をどのようにするか、という点においては「来場者の距離など、密にならないように余裕をもった計画にする」など、あまり多くの項目は記載されておらず、各企業の判断に委ねられている、と感じられます。
2.ガイドラインに書かれていること
それぞれのガイドラインに書かれている中で、ブースに関わる事項としては、以下のような言葉が例に挙げることができます。
といったところでしょうか。(もちろん他にも記載されています)
「密にならないようにする」、しかし展示会である以上「結果は出さなければいけない」。この2つの矛盾した指針を今後の展示会ブースでは解決しなければいけない。そう考えるとなかなかに難しい計画が必要とされます。
3.「コロナ対策」だけに集中し過ぎないこと
おそらく、今回のこのガイドラインで多くの設営会社・出展者等が「コロナ状況下でのブース」を検討することになるかと思いますが、展示会ブースを計画する者として、決して忘れてはいけないのが「出展の成果を出す計画をする」ということ。
コロナ対策をブースに施すことに終始するあまりに、展示会出展の本来の目的である「出展結果を出す」ことがおろそかになっては、出展者にとって、何のために、この時期に高い金額を支払って展示会出展を行ったか分かりません。現在のこの経済状況下で敢えて展示会に出展する、ということは、それだけ「成果」を必要としている、ということ。その期待に応えるためにも、私を含めて展示会のブースを担当する人間は「コロナ対策を施す」、と同時に「成果も出す」ことを念頭に置きながらブースの計画を行わなければいけない、と思います。
4.コロナ対策の施策を「成果を出す」という視点から見極める
それでは、具体的にどのような対策をとっていけばいいのか。そのことをこの後書いていこうと思います。もちろんこの内容は私見ですので、この記事を読まれた方は、今後の記事を参考にしつつ、独自に検討をしていただければと思います。
まず考えなければいけないのは、当然コロナ対策。ただ、それらについて、「成果を出すために、本当にこの形でいいのか」を自問自答しましょう。例えば、商談席には、お互いの飛沫を防ぐために、透明アクリル等で制作した衝立を置きましょう、という場合。もちろんこれはコロナ対策としては正解なのですが、敢えて言うなら、「本当にそれでいいの?」と考えてみます。受注できるかどうかの大事な商談の場で、お互いの間に「壁」があると、ダメではありませんが「できればない方がいい」とも感じます。
よくよく考えてみると、例えば1小間というブースサイズの場合、3m×3mというブースの内部に商談席が設置され、そこのテーブルの上にアクリルの衝立があると、飛沫は飛ばないけど、空間的に「より密になった」と言えるかもしれません。
であれば、アクリルの衝立ではなく、「扇風機」を用いてブース内の空気を展示会場内を含めて循環させ、かつ、商談時間を短くするなどの工夫を行った方が、現実的にはコロナ対策になるかもしれません。この方法だと、コロナ対策もクリアするし、商談も効果的になる可能性があります。
このように、形式を模倣するのではなく、「本当のコロナ対策は?」「結果を出すには?」といったことを考え合わせることで、今後のあるべき姿が見えてくるのでは、と考えます。
さて。では次回には、このような感じの「コロナ状況下での展示会ブースの考え方」について、さらに触れていきます。
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