#29 「忘れられない恋の話をしよう。」ー記憶って美化されるんだけどねぇ。
今回ブログのテーマとして出したこのタイトルですが、もともとは僕らのお店で企画している『男女が出会う会』のテーマとして考えたもの。
恋の話って、
・みんな、人の恋の話を聞くのは好き。
・みんな、自分の恋の話を聞いてもらうのは好き。
じゃないのかと。
そして好きな話をするとき、その人はとても魅力的な顔になるんじゃないかと。
さらに、恋によってその人は今の自分をカタチ作った、もしくはカタチ作られたのではないかとも思う。
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東京に出てきた、香川県生まれのぼくは、東京の女の子と恋をした。
その恋によって今の自分がカタチ作られてるなーと思ってる。
では忘れられない話をひとつ。
ぼくらはよく吉祥寺という街でデートをしていた。彼女は吉祥寺をとてもよく知っていて、その日も彼女が知っていたレトロな屋根裏喫茶店でふたりでランチを食べていた。
窓際の席、突然彼女が怒り出す。
「ろっぺいは、ずるい!」
どんな話の流れがあったかは覚えてない。
話の流れは問題ではなかったから。
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当時ぼくらは大学生で、ぼくはとってもよく食べる男の子。彼女は食べるのは好きだけどそんなにたくさんは食べられない女の子だった。
ごはんを食べに行くと、彼女が頼んだメニューは彼女には多すぎて、ぼくが頼んだメニューはぼくには少なすぎた。
彼女はよく
「一人前ってさ、だれが決めたんだろう」
と言っていた。
そんなこと考えたこともなかったなーと思いながら、彼女には多すぎたメニューをいつも美味しくいただいていた。ぼくの記憶が確かならば「食べてくれるのがうれしい」ってかわいく笑ってくれてたような気がしている。
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窓際の席、突然彼女が怒り出す。
「ろっぺいは、ずるい!」
きょとんとして彼女を見たぼくに彼女は続けた。
「いつもワリカンなんて、ずるい!」
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ぼくはこうして彼女からたくさんのことを教えてもらったのでした。
(ここからはおまけです)
彼女はぼくをスターバックスというお店に連れてってくれて、カフェモカという信じられないくらい美味しい飲み物を教えてくれました。
見送られて電車に乗って振り返るとまだこっちを見ててくれたのがうれしかった、ということを伝えてくれました。
今はもう吸ってないけど、はじめて吸いはじめたきっかけは彼女のお父さんがお土産で買って来たという甘い煙のタバコでした。
そんなこんながありながら、ぼくという人間のカタチは今でも日々作り続けられているのでした。
(つづきます)