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第3回:ビジネス分析とユーザー分析

第3回は、「ビジネス分析とユーザー分析」というテーマで、ビジネスフレームワークやユーザーフレームワークを用いて、勝てる市場を見出す方法を、【改訂版】Web解析士認定公式テキスト2020で学んだ内容の要点をまとめていきたいと思います。

参考文献:【改訂版】Web解析士認定公式テキスト2020 
第2回は、Web解析の基本的な仕組みやよく使われる指標についてを説明しておりました。  → 第2回:Web解析の基本的な指標について

0、環境分析と戦略立案 

事業で成果を出すためには、対策となる事業の環境分析が必要不可欠です。ウェブ解析の仕事は、ただデータ分析をしたり、情報調査をするだけではなく、データに基づいたレポーティングを行い、施策を立案し、実行することです。その実行に移す前に、まずは自社やクライアントの事業が置かれている状況だったり、市場の動きだったり、様々な環境を俯瞰的にみる必要が出てきます。ここでは、その環境分析の時に使うフレームワークの考え方と、戦略策定におけるビジネスフレームワークを紹介します。

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変化していく事業環境において、どのような活動を行うべきかという課題を解決するために必要な現状分析と、これからの戦略立案のための枠組みとして、「ビジネスフレームワーク」を用いますが、上記が各分析のステップごとによく使われるフレームワークを記載した図です。(テキストのP52)

細かい説明は次から行っていきますが、まず上記を分析するために、どの事業を対象として分析を行っていくかを決めましょう。事業の特定で必ず確認しておくべきなのは、次の3つの視点です。

・ミッション、マーケティングゴールは何か

・提供する商品、サービスは何か

・対象顧客は誰か

上記の3つをプロジェクトのメンバーで認識のズレを起こさないために、最初に確認しておきましょう。

1、外部環境分析

外部環境とは、業界の外から事業に影響を及ぼす、自社ではコントールできない要因です。外部環境を分析するフレームワークは次が代表的なものです。

・PEST分析とは

「P:Politics(政治的要因)」「E:Economy(経済的要因)」「S:Society(社会的要因)」「T:Technology(技術的要因)」の4つの項目から整理します。

・5Forces分析とは

「競合他社(Rivalry)」「買い手(Buyer Power)」「売り手(Supplier Power)」「代替品(Threat of Substitutes)」「新規参入(Barrierst to Entry)」のそれぞれの力が影響する度合いを分析します。この分析をすることで、業界の収益構造や競争要因を発見することができます。

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※ 参考サイト:https://www.salesforce.com/jp/hub/marketing/5forces/


2、内部分析(事業分析)

自社の事業別の具体的な分析を行うときのフレームワークとして、よく使われるのが「3C分析」です。

・3C分析とは

「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Corporation(自社)」の3つの頭文字をとったものです。分析は、顧客→競合→自社の順で行います。

「Customer(顧客)」:対象事業がターゲットにしているエンドユーザーのことです。ユーザーは何歳で住まいはどこで、年収はいくらかという「デモグラフィック情報」と、どんなシチュエーションで、どんな気持ちで商品を探したり、どんな行動をしてどこで見つけたりするのかという「サイコグラフィック情報」を分析します。

「Competitor(競合)」:対象事業の競合に対してプレイヤーを整理し、調査対象にします。競合は、大別すると「直接競合」「間接競合」の2種類があります。

「Corporation(自社)」:自社の「強み」や「独自性」とそれを生み出す「資源(リソース)」を分析します。”なぜ他社じゃなく、弊社の商品を選んだのか?”という質問をユーザーに聞いてみることで、競合他社の比較ポイントや判断基準がわかったりします。


さらに詳細の分析をするために、ユーザー分析を行います。ユーザー分析は、ユーザーの特定を行い、思考と行動を分析するために使われます。よく使われるフレームワークとしては、下記の通りです。

・ペルソナ分析とは

商品やサービスを購入するであろう「理想のユーザー像」を設定するフレームワークのことです。商品やサービスの内容、調査の目的によっては、複数のペルソナを作ることが必要な場合もあります。

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参考元:https://www.officeants.com/blog/persona.html

・カスタマージャーニーマップ(CJM)とは

顧客の行動をジャーニー(旅)に見立てたフレームワークのことです。ユーザーが商品を認知し、興味を持ち、購入申込みに到達するまでの一連の行動を、各フェーズことに分析していきます。このフレームワークは、顧客の理解はもちろん、関係者間での認識整理に有効的です。

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参考元:https://goodpatch.com/blog/customer-journey-map/

・観察に基づく調査とは

ウェブサイトを定量的に分析するアクセス解析では、ユーザーがどんな目的でウェブサイトを訪問し、何を感じ、何を考えて、離脱したのかという理由を深掘りするために、ユーザーを観察して、問題点を発見し、改善する方法がいくつかあります。

・アンケート調査(オンラインサーベイ/ユーザーデプスインタビュー/グループインタビュー)

・ヒューリスティック調査(ヒューリスティック原則に基づいた評価/認知的ウォークスルー)※エキスパートレビューとも言われる

・行動観察調査(ユーザビリティテスト/エスノグラフィック調査)


3、市場機会の発見

戦略の策定において、外部環境を分析する目的は、市場における機会と脅威を見つけることにあります。また、事業内部分析では、自社の強みと弱みを把握します。ここでは、それらを整理し、戦略策定につなげるための、2つのフレームワークを紹介します。

・SWOT分析とは

「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の頭文字をとった名称で、外部要因と内部要因を整理していきます。

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自社の強みと機会を混同したり、自社の弱みと脅威を混同したりすることがあるので注意が必要です。機会と脅威は、自社の活動では変えることができない要因です。

・クロスSWOT分析とは

SWOT分析で収集した項目は「状況」です。さらにクロスSWOT分析(TOWS analysis)を行い、自身の解釈を行い、戦略を策定していきます。

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参考元:https://keywordmap.jp/academy/swot/


4、差別化の特定

差別化の特定として、自社のポジショニングを行います。競合する製品・サービスに対して、自社の製品・サービスがどのような判断軸で、どのようなイメージを持ってもらうかという「位置づけ」を明確にすることです。つまり、ユーザーにとって製品・サービスの何がユニークなのかを決めるとううことになります。

・2次元ポジショニングマップとは

ユーザーが重視している代表的な判断時期と元に、組み合わせでポジショニングをマップ化したものです。判断軸の代表的な例は、「価格」「品質」「速さ」などがよく使われます。

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ポジショニングは、現状の分析に加えて、これからの製品・サービスをコンセプトに落とし込んで展開していくという目的があります。ポジショニングを成功させるためには次の3つの視点が重要となっています。

・ユーザーが重視している判断軸になっていること

・ユーザーの潜在的ニーズを捉えること

・ユーザーが事業に共感すること


5、市場への展開

売り手視点の「4P分析」と、ユーザー視点の「4C分析」を下記に紹介していきます。このマーケティングミックスは、現在を分析する場合と、これからの展開に使われる場合がありますので、使用する目的と時制を意識することが大事です。

・4P分析とは

製品・サービスを構成する要素である「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」を売り手から見た視点で分析するフレームワークです。

・4C分析とは

ユーザー視点での分析のフレームワークで、「Custmer Value(ユーザーが得る価値)」「Cost to Custmer(ユーザーの負担コスト)」「Convenience(ユーザーにとっての利便性)」「Communication(ユーザーとのコミュニケーション)」の頭文字です。

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参考元:https://delighting.co.jp/blog/4p4c/


その他、事業を分析・戦略策定をするためのフレームワークとして、「ビジネスモデルキャンバス」や「ブルーオーシャン戦略」などの紹介もこの書籍でされています。

よかったら読んでみてください。

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参考文献:【改訂版】Web解析士認定公式テキスト2020 


第3回は以上です。第4回は、ウェブマーケティング解析についてです。

Fin


バックナンバー: 第1回:Web解析士ってどんな仕事?       
バックナンバー: 第2回:Web解析の基本的な指標について

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