児童書『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』/紹介
退屈なキリンは、
「地平線の向こうでさいしょにあった動物」に
手紙を届けてほしいと、
これまた退屈なペリカンに頼む。
めでたくペンギンとの文通が始まり、
キリンとペンギンは互いの姿を想像し始める。
キリンは、ペンギンの姿を上手に真似ることが
できたら会いに行こうと決めるが・・・。
大笑いできて、幸せな気持ちで
いっぱいになる物語。中学年から。
妻と音読し合って、
大笑いしながら読みました。
アフリカに住むキリンとペリカン、
クジラ岬に住むペンギンとクジラの
繰り広げる愉快な会話や、
文通を通して膨らんでいく彼らの想像が
可笑しくてたまりません。
ペンギンは、キリンからの手紙に
書いてあった「首」の意味がわからず、
クジラ先生に訊ねます。
クジラ先生はあやふやに、
たしか頭につながっていて、
ちょっとほそくなっている部分
と教えてあげます。
するとペンギンは、クジラ先生の
尾びれの付け根を首と言って、
(クジラ先生は)
すごーく頭が大きいんですねー。
ペンギンが、なぜかそこだけ
語尾を伸ばして喋るのがおかしくて、
僕らは大笑いしました。
キリンとペリカンが、
手紙の断片からペンギンの姿を
想像して真似てみる様子も
すごく面白かったです。
彼らが話しているのを聞きながら、
ペンギンに全然似そうになくて、
「ああ、変な方向にいってるー!」と
心配しながらも、
キリンがどんな姿になるのやら、
高畠さんの(きっと変な)絵を見るのが
楽しみで楽しみで・・・
そして、その絵は、
僕らの期待を超えていました。
二人でやっぱり大笑いしました。
でもこの物語は可笑しいだけではありません。
キリンとペンギンが対面する場面では、
感動して、幸せな気持ちで満たされました。
おせじにも、ペンギンそっくりとはいえないかっこうのキリンに、ペンギンはしっかりとだきついて「ありがとう。うれしいよ。ありがとう。」といいました。
キリンがてれくさそうに「ごめん。ぜんぜんにてなかった。」とこたえると、ふたりは顔を見あわせクスクスとわらいだしました。
おかしくておかしくて、もう、いきもできないほどおかしくて、そしてーーたまらなくしあわせな気分でした。
「おかしくておかしくて、もう、
いきもできないほどおかしくて、そして――
たまらなくしあわせな気分でした。」
僕もでした。これは、
キリンとペンギンの気持ちだけど、
僕もこの気持ちでした。
物語を読む幸せって、
こういうところにありますよね。
こうして僕らはこの物語が大好きになり、
読み終わった後もこの本から離れられず、
クイズを出し合って遊ぶことにしました。
★キリンに関する問題
Q:キリンがペンギンの手紙を読んで
最初にしたリアクションは?
A:首をひねった。
Q:キリンの最初の手紙の宛名は?
A:地平線のむこうにすむきみへ。
キリンってユーモラスだし、
意外と詩的だと
二人で盛り上がりました。
★クジラ先生に関する問題
Q:クジラが先生と呼ばれているのはなぜ?
A:とてつもなく大きくて
とてつもなく年をとっているから。
Q:クジラ先生が引退するのはどんなとき?
A:潮を吹けなくなったとき。
Q:クジラ先生の最初の手紙の宛名は?
A:水平線のむこうにすむきみへ。
キリンの真似しちゃってる。笑
クイズを作るのも答えるのも楽しかったし、
クイズを通して登場人物の魅力が
よく見えてきて、
もっとこの物語が好きになりました。
『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』
岩佐めぐみ作、高畠純絵
偕成社、2001年