深夜のコンビニで出会ったおっちゃんの話 未来は美しくもないし絶望でもない
コンビニで深夜帯のシフトに入っていた時の話。
当時は、毎日コンビニでレジを打っているうちに夢の中でレジを打っていたり、ドアが開く音が空耳で聴こえたり、休憩中の食べ物も基本的に働いてるコンビニで買って食べるので身体がコンビニの食品で構成されている感覚になっていました。
コンビニは24時間、規則正しく動いていて正常化されている場所なのかもしれません。トラブルが起きてもまた何事もなかったかのように機会的に、毎日まいにち動いていきます。
深夜から朝方にかけてのコンビニは、世界が寝静まるのを小さい箱の中から見ているような気持ちでした。えっ、こんな時間までお勤めご苦労様ですと声をかけたくなるスーツを着たサラリーマンのお客さんや、朝刊を楽しみにして1番乗りで来店するおじいちゃん…本当に色んな人の生活ニーズに対応しているのがコンビニだと思います。
コンビニで働く皆様、いつもありがとうございます。
今回は、深夜のコンビニで出会ったお客さんではなく、『従業員』の話です。
深夜シフトに入ると、日中のコンビニの人間関係からは少し離れた場所にいるような感覚になります。
深夜シフトに入った時に仕事を教えてくれたのは長年働いているおっちゃんでした。彼は淡々と自分の仕事をしていて、話しかけづらい無骨な雰囲気でしたが、ぽつらぽつらと話しているうちに意外に優しいおっちゃんであることが分かりました。
おっちゃんは社会人になりきれていない私を見守ってくれて世話を焼いてくれるような感じでした。そして、『(会社)辞めんなよ!』と私が最終出勤の時に声をかけてくれました。
おっちゃんはきっと私が今後歩む道で起こるであろう困難や辛さ、現実でもがき苦しむ人々を何度も見てきたからこそ出た言葉だったのだと思います。そう思うと、情で繋がるおっちゃんに胸がじ〜んと熱くなりました。今はまだ分からないだけで、もっともっと社会は汚くて怖い。厳しい道に進んでいこうとする若者をおっちゃんはほっとけないのだと思います。おっちゃんはちょっと頑固な部分もあったけど憎めなくて、心優しき人でした。こういう方がいてくれたから、わたしはあの時頑張れたのではないかと思います。
あの時の私に、これからの人生で起こることは美しいとは断言できないけど絶望や暗闇だけじゃないよ。と言ってあげたいです。
誰か1人でも、暗闇の中で光になって導こうとしてくれた人がいてくれるおかげで、なんとかやっていけるものです。今は新人さんが多い職場で働いているので、そんな一面を持つ人に自分はなれてるかな、、と思いながらおっちゃんを時々自分に投影します。
懐かしいコンビニのメロディーをふと聴いて、思い出したのでした。