誰も意見を言わない会議とパートナーシップ
意図のもとに集結した会議
この二日間は、わたしが参画しているパラダイムシフトコミュニケーション®(以下、CTN)のリーダーが一堂に会する「CTNサミット2018in大阪」に参加していました。
CTNでは、「機能するコミュニケーションを文化にする」という意図のもと、人や組織を機能しない状態にさせるパラダイムをシフトするコミュニケーションをトレーニングし、それを体系化し、多くの人が触れて使えるようにするために、公開講座、企業内研修、グループセッション、プライベートセッション、執筆、動画配信など、複数の手段で場と機会をつくりだしています。
今回のサミットは、CTNの講座を主催したり、講師として活躍しているリーダーの集まりで、経営者、公務員、教員、医療・介護職、セラピスト、料理家、コンサルタント、会社員、フリーランス、専業主婦等、異質な立場のメンバーが、日本全国から集まって開催されました。
会話で機能するコンテクストを創る
ちなみに、わたしは今回のサミット開催チームのリーダーを務め、約4ヶ月くらいの期間をかけて準備をしてきました。
全国からメンバーが集う会議の準備と聞くと、会場の手配から、タイムスケジュール、役割分担、準備物の確認、参加者へのアナウンス、会議後の懇親会の準備など、ありとあらゆる物理的な準備を想像するかもしれません。
確かに、そうした準備の会話も十全と行いましたが、わたしは、会議が機能するコンテクスト(背景、器)を創る会話を重視してきました。その創り出したいコンテクストの一つが「パートナーシップ」でした。
パートナーシップはコンテクストとして創り出すことが可能です。
水はボウルの形に入れればボウルの形になるし、コップに入れればコップの形になります。そのように、中身が入る器によって、中身の形も変わるので、どんな器を準備するかは、かなり重要なプロセスの一つです。
こうした会議の場合、どんなコンテクストが準備されているかによって、準備する物や、手配する会場の場所、必要と考える役割等が、すべて左右されますし、進行の仕方にも影響を及ぼすので、事前ミーティングで会話にあてる時間も多くなります。
決まっていなくても、話が進みだす
今回、「パートナーシップを深める」というコンテクストを創り出す上で、最も効果的だったのは、サミット2018開催に立場をとったプロジェクトチームメンバーとの会話でした。
ここ数年の出来事や、直近の世界情勢の動き、個々人の体験などをシェアしあい、プロジェクトチームメンバー間でパートナーシップを創作することに取り組みました。
リーダーであったわたしは、今回のサミット2018を開催する意図や、リーダーを引き受けた背景や意図、リーダーとしてどんな場が創作できると嬉しいかーといったことを、メンバー間で共有し合う時間を、実に多くもちました。
前半2ヶ月は、ほぼ「何も決めない&決まらない」ミーティングを重ねていましたが、その個々人の考えやその背景や意図、経験や知識をシェアし合うことで、共有する下敷きとなるパートナーシップは深まっていきました。
会議や懇親会を丸ごとマネジメントするプロジェクトチームのパートナーシップが深まってくると、会議の場で起こす会話や、起きてくるかもしれない不測の事態にも、臨機応変に対応し、参加しているメンバー全員が自分の考えや気持ちを持ち出し合える場へと成熟していきます。
出した意見が評価されることはありませんので、どんな些細な疑問もOK。予定よりも時間が遅れて議事が進行していてもOK。誰も意見を言えない会議では、躊躇しそうなことが許容されるコンテクストがそこにありました。
大切なことは、「決めること」以上に「決めるための判断材料の明確化と、決める意図」が明確になることでしたので、今回のような意見を交わして、決定事項が決定しきらなくても、ミーティングが終わって1日も経たないうちに、各プロジェクトチームが動き出すということが起きています。
誰も意見を言わない会議だったら、決議したことも動きが遅かったりするでしょう。しかし、今回の会議のように、会議を始める前の準備段階から、パートナーシップを深める会話を重ねていくと、自発的にチームリーダーを担うメンバーが現れ、そのリーダーをサポートするメンバーも自発的に現れるという会議後の動きが生まれました。
「決める」ために「言えない&言わない」という会議。
「決まらない」ことを許容して「言える&言う」を大切にする会議。
パートナーシップは後者を可能にするコンテクストの一つだと言えますね。