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部パーに袖を通す

2024.09.12
ぺぎんの日記#165
「部パーに袖を通す」


暑かった夏の名残で、部室の窓は全て開け放たれている。

窓から入ってくる暖かな日差しと、それとは対照的に冷たく吹き込む風。奥に優しい甘さを感じさせる、ふわりとした風が部室の空気をかき混ぜる。

これはこれで気持ちがよいのだけれど、私にとっては少し寒い。

数日前に、春からもう半年近く着ていなかった部パーをクローゼットから引っ張り出した。薄手の生地なのに無駄に重く、シルエットもあんまりかっこよくはない部活動パーカー。引退した先輩方は背中に印字してある学校名を見て「ダサいダサい」って言ってたなぁと、懐かしい思い出が蘇る。

寒い部室。アップを済ませ、暖まった身体が冷めないように、部パーに袖を通す。部パーの中で、アップでかいた汗がジメジメと籠もる感覚。気が引き締まるとともに、重心が自然に低くなるような安心感。あぁこれこれ。これだよ。

キツかったときも、楽しかったときも、そして今も。寒い日は部パーを羽織って稽古が始まる。

この気持ちは何なのだろう。帰属意識の強まりか。単純な暖かさのせいか。

部パーに袖を通すと、スイッチがどこか、パチっと切り替わる感じがする。

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