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公園の色、多すぎね?

2024.08.06
ぺぎんの日記#123
「公園の色、多すぎね?」


高校生がいい歳して何やってるんだと思われるかも知れないが、私は今日、部活終わりに学校の前の公園で色鬼をした。そう、あの「鬼が指定した色を見つけて触ると、エッタを回避できる」という色鬼である。

14時ごろに終わった部活。そのあと特に用事のない部活メイトたちと、部室でダラダラと駄弁る。これもまぁよく続いたなという感じなのだけれど16時頃までたっぷり2時間、色々な話をして、そして部室を追い出された。

どうやら学校を閉める時間だったらしい。先生に急かされて廊下を走り、急いで靴を履いて玄関を出る。先生の言った「あと2分で出ないとセコムのセンサー起動すんぞ〜」という言葉はガチだったのだろうか。

話の途中で学校外に放り出された私たちは、話し足りないことを共有したくなって、しかしカラオケでじっくり話すようなことでもないから、学校前の公園に自然となだれ込む。

ブランコでブラブラしたり、ブランコの柵に腰を掛けたりしながら話に花を咲かせる。部活の話に始まって、恋愛に話が飛んで、もう一度部活の話に戻ってきて。話したいことが散らばった地面を皆であちこち走り回りながら話題を拾い集めるような感覚が楽しい。いくら話しても話足りないような、でも少し疲れてきたような。

まだまだ話したいことはあるのだけれど、脳のキャパ的に、話しが段々と条件反射的になってきた。そのタイミングで、部活メイトの一人がいきなり「何か体動かす遊びしようよ」と言ってきた。これぞ夏休み。時間の許す限りダラダラと遊び続けようとする精神。
そしてこの提案にもう一人の部活メイトが「じゃ〜色鬼やろ〜」と、これまたよく分からない競技を持ち出してきた。

まぁただこの訳の分からなさ、ライブ感も含めて、この無駄な時間は楽しいのだ。学校の前の公園で高校生たちによる色鬼が始まる。

「いーろーいーろーなーにいろ?」
「赤!」

皆一斉に走り出す。運動部出身の足が速い奴、美術部出身でフォームおかしいのにそこそこ早い人、美術部に負ける卓球部。
三者三様の走り方をする、同じジャージを着た高校生。恐怖。同じ公園で遊んでいた子どもたちにはどんなふうに思われたんだろう…。

まぁそんなことは一度考えずに、普通の色鬼を何ゲームか消化する。
そして何ゲーム目だっただろうか。皆薄々気がついていたことを、ついに部活メイトの一人が口にする。

「公園の色、少なくね?」

そう!公園の色は少ない。
遊具は3色程度で全て塗られているし、あいにく公衆トイレも遊具と同じ配色だ。あとは公園の周りの柵や、木や、草や、遊具のネジ。でもそれらの色もほぼ使い果たしてしまって、ついにお題が底を尽きる。

ここで私がひとつ提案をした。
「間接的に色を指定しない?」

例えば「ドラえもんの首輪の色」「〇〇先生の髪の色」といった具合に。そうすれば少しはゲームが面白くなるだろうと思ったのだ。

これがなかなか良かった。最初は想定していたようなお題で順当にゲームが進んだのだが、途中からどんどんゲームの自由度が上がっていく。
「フランス国旗の色、全部同時に押さえろ」
→青・白・赤
「赤ちゃんといえば赤、素人といえば白、では熟練者といえば?」
→黒(くろうと)

さらにゲームが進むと、逃げる側が判定する形式の「抽象色鬼」も始まった。
例えば「夏休み最終日」というお題で、逃げる側の一人が紺色のカバンを触る。鬼がOKと判断すればその人はクリア。鬼が「この回答は怪しいぞ」と思ったときは一番近くにいた別の逃げる側の人を呼び、回答のジャッジをしてもらう。

恨みを買うので不当なジャッジはできないし、かといって依怙贔屓なジャッジは自分の価値観に嘘をつくことになるので心苦しい。そんな感じで、このゲーム、意外と上手く回るのだ。

その後もこれらのルールが混在した状態でゲームは進んだ。そして何ゲーム目だっただろうか。皆薄々気がついていたことを、ついに部活メイトの一人が口にする。

「公園の色、多すぎね?」

こっちの茶色は優しくて、あっちの茶色は鋭い感じ。日にあたってる葉は黄色みがかっていて、日陰の葉は緑が濃い。白に200色あるように、公園の色も、抽象色鬼によってイメージ化されると、とんでもない量の色に細分化される。

「赤」「青」「黄」そういった単語で公園を色分けしていたときには見えてこなかった色たち。

この公園って、こんなにもカラフルだったんだ。


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