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子どものお菓子

2024.08.30
ぺぎんの日記#147
「子どものお菓子」


最後に食べたのはいつだったのだろう。先日あった私の誕生日、私は友だちからプレゼントとして「ねるねるねるね」をプレゼントされた。

https://www.kracie.co.jp/foods/okashi/chiiku/product/introduction_01.html

皆さん御存知の通り、”ねるねるねるね”とはこんなパッケージのお菓子で、自分で粉と水を混ぜて作るのが特徴の高級菓子である。

ん?なんでこれが高級菓子かって?

そりゃ、値段に対して食べられる量が圧倒的に少ないからである。食べる量ではなくてその質、つまり口にいれるまでのワクワクや、他のお菓子とは一線を画す味わいで勝負をしている点。その点においては、このお菓子を「高級菓子」に位置づけて良いんじゃないかと思う。

きっと友だちも”ねるねるねるね”を、ありきたりなラインを微妙に超えた、ちょうどいい誕プレだと思って私にプレゼントしてくれたのだと思う。あとは、ネタ的な遊び心もあったかもしれない。

まぁそういうわけで、私はついこの間”ねるねるねるね”を食べたのである。ただなぜだか、あんまりワクワクできなかった。

プラスチックの容器の角を本体から切り離すこと。それを持って、水を入れに台所まで走ること。1番の粉を入れた後に少し舐めてみること。水と2番の粉を入れた後に混ぜると膨らんでくる光景。トッピング最後まで取っておいて、最後に大量のトッピングをまとったねるねるねるねを作ること。

子どもの頃ワクワクしていたそれらは、今の私にとってはただの作業でしか無かった。子どもの頃のワクワクを取り戻そうと、覚えている限りの行動を真似してみるだけの虚しい行為。なんでいい歳して、ねるねるねるねなんて作ってるんだろうと、悲観的な気持にさえなる。

たしかに美味しかった。味は昔と変わらず、駄菓子って感じのストレートな味。フワフワしている不思議な食感。でもそこには、ねるねるねるねに必要なはずの最後の隠し味は無かった。

ドキドキ、ワクワク、非日常感、高級感。
世の中のあらゆる刺激に慣れてしまった私は、ねるねるねるねを心から楽しむことはできなかった。プレゼントしてくれた友だち、ごめんね。

ねるねるねるねは、子どものお菓子なのだと感じさせられた。子どもにしか見えない楽しさ、子どもしか知らない美味しさ。

子どもは大人になる前の存在なんじゃない。子どもには子どもっていう存在意義があるのだ。どこかで聞いたそんなセリフが、頭の中で再生された。


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