【イギリス紀行】女王陛下のEmpty Garden ⑧
今日はこの旅一番のお目当て。
ピーターラビットとワーズワースの里、湖水地方です。
AM8:30出発の列車だからAM7:00からの朝ごはんを食べてから支度しても間に合うかもしれないけど、気が気じゃないとせっかくのおいしいイングリッシュブレックファストが喉を通らないので、ロンドンっ子の忙しい朝の例に倣い、”とりあえずの定番”のチョコバーにしました。
ラッセルスクエアの横を通って徒歩でユーストン駅へ向かいます。
余裕をもって着いたけど、なかなかプラットフォームの番号が決まりません。15分前になっても電光掲示板が”WAIT”のままで、焦りました。
10分前に表示され、民族大移動のような人の流れ。
スマホのQRコードをスキャンしてアヴァンティ・ウエストコーストの電車に乗り込みます。乗ってしまえばもう安心、ちゃんとした朝ご飯をと思って売店に行ったら、15分後に来なさいと言われました。
今までに乗ったどの乗り物よりゆったりとして快適で、しかも眺めが最高でした。15分後に無事、朝ごはんが買えました。
2時間半、心楽しく景色を眺めている間にオクセンホルム駅に着きました。
イギリスの地方ののどかな風景の中に佇む小さな趣豊かな駅です。
名簿のプレートを抱えた黒人男性のガイドさんが待っていました。
そして、私たち以外のツアー参加者もほとんど集まっていました。
ワゴン車に乗り、右も左も見放題のドライバー兼ガイドさんの後ろに着席。
高速を使ってウインダミア地方に着き、現地から参加する人たちと合流。
そこからは、日本とは植生の違う木々が並ぶ別世界です。
野山と田園風景。のんびり草を食む羊たちを見ながら、ああ、のどかだなあ、と思いつつなぜかテートモダンのレストランで舌つづみを打ったラム肉をちらっと思い出して複雑な心境になりました。
景色の特にきれいな場所を選んで10分間ずつ降りて歩き回らせてもらいました。
湖のほとりのなだらかな傾斜のある、とても景色のいい場所が特に心に残りました。
まさしく絵画の中の世界でした。
そして…。
♪ほうら、足元はヤギのフン。
遠くを眺めつつ、足元に気をつける。
写真を撮り、風景を愛でながら歩くうち、道を究めたような気がします。
ホークスヘッド村へ行く曲がりくねった道は両側が迫りくる石壁で、ガイドのトニーさんの運転技術にも感心したし、土地の事、ビアトリス・ポッターのことをよどみなくすらすらと話してくれる地元愛にも感心しました。
ビアトリス・ポッターがかつて住んだ家で家具調度品を見、別の休憩スポットでは売店でピーターラビットグッズを買い漁りました。
ついでに、日本では買えないようなチョコレートも買いました。湖のほとりの古城、レイ城あたりでかなりお腹がすいていたのですが、もうちょっとしたらクリームティーだと思って我慢していました。
そして、車はウィンダミア湖へ。クリームティーは湖のクルーズの後だと聞かされ、船を待つ間に売店でケーキとコーヒーを購入。
船の中で景色を眺めながらいただきました。湖水地方は山も湖も夢のように美しい別世界です。
クルーズを終えて車はリンデス・ハウ・カントリー・ホテルへ。
ここでクリームティーをいただきました。
私たち以外にも何組かの日本人が参加していましたが、別のテーブルにいて、私たちと同席はアジアのどこかの人だとわかる家族だけ。
最初は紅茶のクリームを取ってもらって"Thank you"を言う程度でしたが、後から徐々に打ち解けて色々話しました。
シンガポールから来たことや、息子さんが軍医を目指していることを話してくれました。軍医という将来の選択肢を日本で聞いたことがないので、新鮮でした。(自衛隊の中でならあるのでしょうか)
その少年が哲学を学んでいると聞いて、ますますすごいと思いました。
夫婦の話す英語が流暢でうらやましかったです。
大英博物館で見た能面をきっかけに日本の文化について聞かれましたが、話そうとしてもあまり知らないことに自分でも驚きました。
クロテッドクリーム付きのスコーンがすごくおいしくて、日本でも探そうと思いました。
帰りはトニーさんがオクセンホルム駅まで送ってくれました。
一生の思い出になったと感謝の気持ちを伝えたら、サムアップしてくれました。
なぜか、帰りの列車に乗る時はQRコードの提示義務なし。
帰りの列車を待っていたら雨が降り始めました。
きれいな景色を眺めたり野山を歩き廻ったりしている時でなくてよかった。
私たちの乗る車両はBなので、ホームの端にスタンバイ。
列車が到着します。
連れが自分たちの乗るB車両とは真逆の方向へ猛ダッシュしました。AやBのすぐ近くにUという車両があったため、間違えたらしいです。
空港で預ける荷物をX線に通してくるから待っていてくださいと言われたのに一緒に行こうとする時も、アフタヌーンティーの会計をこっちに違いないと言ってレセプションに行こうとする時も、どうせ違うと言われて戻ってくるからと後からゆっくり行ったのですが、この場合は、一緒に走らないとはぐれてしまいます。乗り遅れる可能性もあります。
なので、一緒にものすごく遠い車両に乗り込み、その後、車両から車両に歩いて指定席に着きました。
誰もいないと思って別の人が座っていましたが、自分たちの席だと言ったらどいてくれました。
列車の座席に着くと、再び素晴らしい景色が広がります。
しかも、夕日に照らされるプレミア付きです。
ユーストン駅に着いたのは9時過ぎ。
まだ明るく、街も光に満ちていて危なくもなさそうだったので、ホテルまで歩いて帰りました。