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【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 85

どうやら今年の夏は終わるつもりがないようです。
ずっと日本に居座って、冬を越す(もはや意味がカオス)つもりらしいです。
気候は完全にルーティンを忘れているのに、猫は、いや、猫の毛は律義に冬に向かって生え代わりを迎えつつあります。
主にルネです。というか、ほぼ、ルネです。
ルネを撫でたらふわっと舞い上がる抜け毛たち。
空中にあるうちに素早く全部つかみ取ってゴミ箱へ、などというジャッキー・チェンみたいなことはできないので、(ジャッキーが猫の抜け毛を空中でつかんだことはありません。例えです)後でその辺をコロコロします。
スリッカーブラシを使うのにちょうどいいタイミングを見つけました。
みんなに同時にオヤツをあげても、ルネは大急ぎで自分の分を食べて他の子の分を横取りしようとします。
なので、他の子が食べ終わるまで拘束しておき、その時間がスリッカーブラシ・タイムです。
終ったらブラシに絡まった抜け毛は使っていないボロのデザートフォークでこそげ取り、ゴミ箱にイン。
したつもりでも、足踏みで開けた蓋がバフっと閉まる時の空気の流れで再びふわふわと空中へ。
それを空中にあるうちに素早くつかみ取る…ことはできないので蓋は手に持ってそっと閉めます。

ジョルジュに毛づくろいしてもらうルネ

短毛種とは思えないほどふわふわなのに、甘えん坊のルネは真夏日だろうが猛暑日だろうが他の子にもママにもぴったりとくっついてきます。
他の子には、寄るな暑苦しい、と逃げられることもあります。
もちろん、ママはそんなことしません。
暑くても耐えます。
ある時ふと思いついて、取扱説明書ファイルの整理を始めました。
横座りと足を伸ばした座り方の中間のスタイルで、家にもうない物の分は捨て、「電源コード式」「電池式」「動力不要」と分けていたら、ルネが来ました。
曲げた脚の内側にすっぽり納まってご満悦です。
「ドライヤー」「トースター」「扇風機」と声に出しながら分けていて、「毛玉取り器」と言った瞬間、ルネががばっと跳ね起きて脱兎のごとく逃げ去っていきました。
まさか、「毛玉取り器」という言葉に反応したのでは。
電気シェーバーみたいなものでジョリジョリやられると思ったのでしょうか。
真相はわかりません。
今日もスリッカーブラシをかけながら、ずっと手作業だから安心してねと言い聞かせます。
ルネはゴロゴロ言ってそれに応えます。

びっくり顔のモネ




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