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パリは燃えているか 1

結論から言うと燃えてません。あちこち燃えてるらしいと噂を聞いたけど、行ってみたら燃えてなくて安心しました。(でも、このタイトルの付いた加古隆の曲が好きなのでエッセイのタイトルに使わせてもらいました)
駅前に集ったデモ隊の方々は歩行者が通れるように通路を開け、整然とシュプレヒコールを叫び、道行くドライバーからの賛同を表すらしい独特のクラクションに歓声をあげ、いたって紳士淑女的。
私たちが到着するニ、三日前まで積み上げられていたというゴミも片付けられていて、恐れていた臭いもなく無事にたどり着くことができました。
デモ、ストの原因はマクロンさんが年金支給年齢を二年引き上げると勝手に決めてしまったためとか。主張すべきは積極的に主張してきたフランスならではなのかなあと思いました。年金支給年齢が60歳から65歳に引き上げられた時、羊のように黙って従った日本人っていったい…。

クオリティの高すぎる路地の落書き

無事にたどり着いたと書きましたが、海外初心者ゆえの自己責任トラブルはありました。歯の根が合わないほどがちがちの状態で、グーグルマップの道案内画面に指を付けられないほど震えていながら、シティロッカーの中でスーツケースを開けるのは危険だと判断して防寒用の服を出さなかった私。誤算でした。怪しい人は目に見えるから逃げればいいのです。風邪ウイルスは目に見えないから避けようがありません。ナポレオンさえ寒さには勝てなかった。ナポレオンが勝てなかった敵に、免疫力の衰えたおばさんが勝てるわけがない。そのうえ、初めての国際線で、睡眠時間の少なさではナポレオンを超えていました。富士山をナメてかかる登山門外漢のようにパリの4月の寒さをナメていたせいでのちにとんでもない目に遭うのですが、ギュスターブモロー美術館へ飛び込んだ時にはまだ、この後わが身に降りかかる災難を知る由もないのでした。

パリは燃えているか 2|末永 逸|note
パリは燃えているか 3|末永 逸|note
パリは燃えているか 4|末永 逸|note
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