【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 82
夏は飼い主にとって少し寂しい季節です。
くっついていると暑いせいで、猫が膝にのってくれる回数も減るし、滅多に一緒に寝てくれなくなります。
今朝は目が覚めるとジョルジュが私の腕をアゴ枕にしてくれていてラッキー!と思いました。
猫は当然のことですが、昼も寝ます。
猫の夏場の寝床はうっかりすると踏んだりつまずいて飼い主が転んだりする床の上。
今から開けたいタンスの引き出しの前。
今から開けたいベッドの引き出しの前。
階段の一番上、等。
どこで寝られると困るかをリサーチしたうえで決めたようなえりすぐりの場所です。
階段の一番上は、まあいいのです。
2階にしかエアコンがないけどなんとか家の他の場所も涼しくしたいと、苦肉の策でエアコンを点け、冷たい空気が低い所へ流れることを期待してドアを全開にしているので。
ハイシニア猫のジョルジュの為にやっていることですが、階段上の一番いい場所は冬場のストーブ前と同じでルネが独占しています。
あとどれだけ一緒にいられるかわからないジョルジュにできるだけのことをしてあげたいのだと、ルネに伝える方法はありません。
ジョルジュ本人に伝える方法もありません。
ぴったりくっつかなければ暑くないのだから、ジョルジュも同じ場所に行けばいいのにと思いますが、遠慮して優先席を譲っています。
俺はまだ年寄りじゃない、と言いたいのかもしれません。
性同一性障害があるくらいだから、年齢同一性障害というものも存在するのかも。
まだまだ自分は若いと思っていたら、自認している年齢になれるとか。
自分も還暦オババだけど、自分のことははどうでもいいです。
猫の世界にはそれがあって、ジョルジュがいつまでも若いつもりでいるかぎり歳をとらなければいいのに。
かつてはピョンと飛び乗れた場所を見上げて跳躍のかまえをした後すごすごとどこかへ行くジョルジュを見ていると、本気でそう思います。
でも、よその17歳に比べて毛がツヤツヤしているし、まだまだ低い所なら飛び上がれるし、走り回れるし、大丈夫。
ジョルジュはまだまだ大丈夫。
人間も猫も夏を乗り切るためには、猫にはバランスのいい食事と快適な温度、人間には希望が必要なのです。