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私の自己紹介③~ コミュニティー・スペースでの実践と遊びのワークを中心にした「いま」時点~

前回のブログでは、小学校教諭時代から学童保育の世界へと飛び込んだところまで振り返りました。今回のブログでは、現在の職場であるコミュニティー・スペースでの実践やワークショップを中心に「いま」の私について書いていきたいと思います。

現在の法人に移ってからは、コミュニティー・スペースと学童保育を兼務させていただいています。主にコミュニティー・スペースでの活動をメインでやらせていただく中で、多様な人々が協働で活動を生み出すことのやりがいを感じることができました。

「富士山を語る会」と月の見立て~地域の方×学童保育のこどもたちのコラボ活動~

私の入社と同年に開所し現在3年目となった、法人運営のコミュニティー・スペース。初年度(一昨年)の6月末、長年ツアーガイドをされていたご経験があり、まち歩きや各地の歴史の知識が豊富なご年配の女性の方(やえ子さん・仮名)が立ち寄ってくださったことから、活動が大きく動き出しました。

初めてのやえ子さんとのコラボレーションは、私が兼務している学童保育のこどもたちを対象とした「富士山を語る会」でした。やえ子さんが講師となり、富士山の歴史や文化、自然などをこどもたちに伝えていきます。「富士山の御神体はコノハナサクヤヒメノミコトという女神」という話をやえ子さんから聴いた当時5年生の女の子。「これ、めっちゃ大事じゃん!」と言ってメモを始めたことがきっかけで、当初は予定していなかった新聞づくり活動が展開していきました。

新聞づくりのムーブメントはすぐさま一緒に「語る会」に参加していた子たちにも広がりました。こどもたちは、やえ子さんからより詳細な富士山についての知識を聴きながら、一生懸命新聞を制作していきます。こうしてできあがったのが「ぽんわか新聞」(「ぽんわか」はコミュニティー・スペースの名称)です。

後日、「富士山を語る会」に参加していなかった学童保育の子たちがコミュニティー・スペースを訪れ「ぽんわか新聞」を発見。当時3年生の女の子が「これ、誰が作ったの!?せっかくだから『いらっしゃいませ~』って配りたい!」と提案したことで、コミュニティー・スペースの前に立って道行く方々に「ぽんわか新聞」を配るという活動が急遽スタートしました。

こどもたちが素敵だったのは、新聞配りにとどまらなかったところ。コミュニティー・スペースそのもののPRポスターを作ったりCM動画を制作したりと、自発的に活動を展開させていきました。

やえ子さんとの出会いをきっかけに豊かな広がりを見せた「富士山を語る会」。このように豊かな広がりを見せたことに活動に感動し、その軌跡をまとめてコミュニティー・スペースの黒板や壁面に掲示しました。

この富士山プロジェクトをきっかけに、再びやえ子さんとコラボレーションが実現。「富士山を語る会」から2か月後の一昨年9月には、十五夜に因んで「月の見立て」をテーマに表現活動を行いました。

「月のうさぎ」についての民話を一篇やえ子さんに語っていただき、私からこどもたちに向けて世界中のさまざまな見立てを紹介。その後、平面素材を使って、上の写真のような数々のこどもたちが考えた月の見立てが誕生しました。

地域の民話×表現活動~さらに広がる地域の方×学童保育のこどもたちのコラボ活動~

一昨年11月には、ツアーガイドをされていたやえ子さんのご専門である「まち歩き」と、こどもたちが興味を抱きそうな(かつ私自身も興味がある)「民話」とを掛け合わせた活動―地域に伝わる民話を聴いた後で、やえ子さんが考えたまち歩きコースを巡りながら地域に伝わる”伝説の生き物”のように見えるものを撮影する―を企画。撮影した写真が手ブレするというハプニングがありましたが、それがきっかけとなって当初予定していなかった表現活動も展開していきました。

この活動中、長年ご趣味で映像撮影・作品制作をされているご年配の男性(しげおさん・仮名)が偶然コミュニティー・スペースに立ち寄ってくださり、こどもたちの表現活動の軌跡を映像作品化してくださることに。「(映像を制作する)謝礼なんていらないよ。オレは映像を撮影したい。それでこどもたちも喜んでくれるんなら、それで良いじゃない。それ以上は何も望まないよ」と温かなお言葉をかけてくださったしげおさんとの出会いを通して、それまで行なってきた写真や絵、文字情報だけでなく、「映像」というアプローチからの実践記録や活動発信の可能性を感じることができました。

こどもたちと地域の方々とのコラボレーションを通して協働・共創造的に展開していった「民話×表現」の実践は、私が今後築いていきたいサードプレイス的な場のビジョンにも大きく反映されることになりました。また、この実践は、昨年横浜で開催された造形教育の実践報告会でも報告させていただきました。

遊びのワーク実践~「一筆描きモンスター」と「モンスター進化」、古民家での”伝説の生き物”探し~

仕事以外では、お世話になっている方が立ちあげた遊びについて考えるグループや、保育現場等を目指す学生さんと実際に現場で実践されている保育士・教師などの方々がつくる団体主催のイベントにて、遊びのワークをさせていただきました。

「一筆描きモンスター」「モンスター進化」で一人ひとりが透明なシートに描く線の形や選ぶ色はそれぞれの感性や遊びの流れをどのように読み取るかという感覚の表れであると同時に、その遊びに参加している他の人々が描く線の形や色、遊びの流れや展開からも影響を受けるという中動態的(能動態とも受動態とも表せない質のもの)なもの。さらにそれらの線は、文脈が変われば新たな意味や役割を担うという、まるでブロックや積み木のピースのような性質を持っています。

未知や不確かさの中で即興的に展開していく遊びは、それぞれの感性やアプローチが織り交ざることで進んでいきます。そして最終的な遊びの全容は、終わってみて初めて明らかになります。このような遊びの中で各人から持ち寄られる感性やアプローチは「固定的」「普遍的」なもの(いつも、どんな時にも通用するもの)ではなく、その時・その文脈・その関係性の中で特異的に持ち寄られるもの。予め「ゴール」が決まっていないからこそ、「いま、ここ」の連なりが大切で、どうなっていくかわからないドキドキハラハラする感覚が面白い―。

「一筆描きモンスター」「モンスター進化」は未知や不確かさの中で即興的に展開する遊びであると同時に、このような私自身の遊び観のメタファーでもあるのです。

また昨年5月には、コミュニティー・スペースでの活動をきっかけに繋がることができた地域団体のイベントで、古民家を舞台にした”伝説の生き物”探しのワークをさせていただきました。

学校や学童保育などとは異なり、日常的な関わりがない場や状況でのワークを通して、遊びの中で多様な人々が繋がり、協働・共創造していく様子を見ることができました。まだまだ外部でのワーク実践経験は少ないですが、今後はより活動の場を広げていきたいです。

協働・共創造の活性化因子としての遊び・おもちゃづくり

「一筆描きモンスター」と「モンスター進化」、”伝説の生き物”などのワークを通して、「未知・不確かさの中で即興的に協働・共創造を生み出していく活性化因子としてのおもちゃ」という視点が一層深まりました。そこで、自作の遊びやおもちゃづくりなどを少しずつですが行なっています。

〇オリジナル将棋

〇オリジナルカードゲーム

〇見立てを楽しむおもちゃ

〇まち歩きの写真カード

〇まちでん!

特に「まちでん!」は、きっと様々な場で実践してみたいなぁと考えています。

まとめ

以上、コミュニティー・スペースと遊びのワークを中心とした「いま」の自己紹介でした。学校や学童保育という関係性が固定された場での「こどもたち-私」という閉ざされた関わりから、地域や多様な人々との協働的・共創造的な実践へと自分自身の興味関心がシフトしていったことに改めて気付かされます。

次回のブログでは、今回書ききれなかったコミュニティー・スペースのプロジェクトやレッジョ・エミリア研修とも重ね合わせながら、私の「これから」のビジョンについてまとめていきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました(*^^*)




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