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宇宙初‼️切貼民話ワークショップ開催✨

造形教育の研究会での実践報告&ワークショップ

本日、お世話になっている神奈川県の造形教育の研究会にて、「伝説の生き物」表現ワークショップについての実践報告と、私にとって初めての、そして(おそらく)宇宙初の切貼民話ワークショップをさせていただきました✨

幼保、小中高、大学の先生方や造形学生さんが集い、造形教育実践について語り合い学びを深めていく1日。小学校教諭をしていた頃からお世話になっており、コロナ禍等で4年振りの参加となりましたが、まるで故郷に帰ってきたような懐かしさと安心感に浸ることができました。

実践報告は、切貼民話が生まれるきっかけとなったコミュニティー・スペースでの実践と、埼玉県東松山市の公園で行なった「伝説の生き物」復元ワークショップ(公園にあるすべてのものを「伝説の生き物」の化石に見立て、それらを組み合わせて元々の姿を想像・創造する)を紹介。河童を見た原体験や、「伝説の生き物」にこだわる理由も併せてお伝えしました。


ワークショップは、山梨県甲州市にある「裂石」をテーマに開催。簡単に裂石の民話をお伝えした後、フィールドワークをして集めたコラージュ素材シートをお渡しして「この岩が裂けたのは何故だと思いますか?素材を切り貼りして岩を裂いた『コラー獣』(コラージュで生まれた幻獣)を表現してみましょう」と投げかけました。もちろん必ずしもこの問いに沿って制作する必要はなく、表現する過程で新しいアイディアが生まれたら自由に表現してもオッケーです。

こちらが裂石。「鬼滅の刃」ブームの時に、「炭治郎が斬った岩」として話題になっていましたよ〜と参加者の方が教えてくださいました!

宇宙初‼️ワークショップに参加してくださった方々の素敵なコラー獣たち

参加者の方々が表現された「コラー獣」たちがとても素敵だったため撮影させていただきました!SNSへの掲載も快諾していただけたため、こちらで紹介させていただきます。

甲府盆地の風景写真を真ん中に、そこから様々な自然が生き生きと生まれ出る様子が伝わってきます。私が切貼民話をする時の気持ちと重なるなぁと思い、感動しました!余談ですが、中央本線に乗って東京方面から甲府方面に向かう道中の、勝沼ぶどう郷駅〜塩山駅間の車窓な大好きです。
可愛らしいコラー獣たちが躍動しています。それぞれ能力や役割を持ちながら裂石を護っているのかも知れないなぁと想像が膨らみました!個人的に左上のオレンジ色の顔の子がお気に入り。「やぁ!」と明るく現れてきそうです。
「裂石が何故裂けたのか」という問いかけに対して制作していただいたコラー獣。炎を吐いて裂いたという切貼民話が生まれました!「これはどう見ても手に見えるし、これはどう見ても脚に見える…」と、不思議な形の木の形状を活かして表現されていました。
参加者の方にご協力いただき、コラー獣が裂石を裂く様子を表現していただきました!
放射線状の葉っぱから手裏剣を連想し、そこから忍者のコラー獣が誕生!戦隊モノのヒーローや仮面ライダーの仲間にも見えてきます。ツンツンと立つ髪の毛?とクリッとした目が個人的に大好きです!
「家ができました!」と参加者の方が見せてくださったこちらの作品。制作過程でアイディアが湧き起こったことが伝わってきて嬉しかったです。天岩戸のような物語性を感じ、ここから岩をも裂くエネルギーが生まれていきそうだなぁと感じました!
可愛い!わくわくする!そんなハッピーなエネルギーが伝わってくるコラー獣です。背景もポップで素敵!私は制作の時にいつも花の素材の使い方に悩む(木のこぶや幹のような物が中心になってしまう)のですが、こうして手や耳など体のパーツのアクセントに使うことで生き生きした感じが出せるのだと目から鱗でした!
こちらも花の使い方が可愛らしい!まるで洋服のボタンのように3つの花が並んでいます。虫のような妖精のような、なんとなく草花を育てる不思議な力を秘めていそうなコラー獣。草陰からぴょこっと出てきてくれたら可愛いだろうなぁ〜!
切り株に、まるで骸骨のような老木の素材を一部切り抜いて貼り合わせることで、まるで仮面を被っているようなコラー獣が生まれました。切り株の亀裂がニヤリと笑う口に、放射線状の葉っぱが「キラーン」という模様にそれぞれ見え、どこか怪盗のような雰囲気を醸し出しています!
コラー獣、さらには想像・創造が生まれていく様子を表現した作品。個々で独立していたそれぞの要素がだんだんと混ざり合い、やがて何かが生まれていく、そしてその何かもやがて文脈の中で新たな素材となり他のものと混ざり合う…。切貼民話で大切にしている哲学を短い時間の中でしっかりキャッチしていただけて本当に嬉しかったです!
写真では分かりにくいですが、1つひとつの素材を一部分だけ残して切り抜くことで、草木や雲、きのこなどが立体的に起き上がるようになっています。それぞれの自然物が生き生きと立ち現れてくる様子を表されたとのことで、私が大切にしている八百万の神的なマインドと重なり、「そうそう!フィールドワークしていると様々な物が語りかけてくるんだよなぁ!」と深く共感しました!
分科会に参加してくださり、ワークショップでも切貼民話制作にチャレンジしてくださった方の作品です。「こんな方法もありますよ!」と、スマホで撮影したコラー獣の写真を画面上で切り抜き、keynoteを使ってコラージュ作品を作ってくださいました!私のスマホはiPhone8で古いため切り抜き機能が入っておらず残念…そろそろ機種変しようかなぁ。。

この他にもたくさんの素敵なコラー獣たちが誕生しました!参加してくださった皆様、本当に本当にありがとうございました✨

参加してくださった方からの素敵な質問〜既存と未知の二項対立を越えて…〜

実践報告の質疑応答の時間、参加者の方から「世の中には様々なキャラクターや予めフォルムがある妖怪などがたくさんいるが、子どもたちは表現する際、それらに引っ張られなかったのか」という素敵なご質問をいただきました。

確かに、白紙とペンを渡して「伝説の生き物を描きましょう」と投げかけたら、もしかしたら子どもたちは既存のデザインに影響されたような絵を描くかも知れません。しかし、コラージュやブリコラージュ的な活動の面白さは、制作者の思いだけでなく、素材自体の働きかけに(良い意味で)引っ張られることにあると思います。

「この木は手に見える」「あの石は顔に見える」「この花は体に見えたけれど、他の素材と組み合わせるとリボンみたい」などなど、ともすればパレイドリア現象とも言われるような影響を受けながら、それらに触発されることで新たなイメージやアイディアが湧き起こる…。

自分自身の感性と物自体からの働きかけの間で揺らぎながら表現を生み出すプロセスで、もしかしたら既存の生き物やキャラクターが想起されるかも知れません。けれど、切貼民話や「伝説の生き物」復元ワークショップにおいて制作者が見ているものは、丸々のそれ自体、例えば像やキリンの写真、既存のキャラクターのイラストなどではなく、あくまでいろいろな見方ができる木や石や花や人工物やその写真。したがって、制作を通して生まれるのは丸々のそれ自体のトレースではなく、「それらの要素を含んで越えた新たな何か」となるわけです。

制作者は表現過程で「おらふ」(オラフ=「アナと雪の女王」に登場する雪だるまのキャラクター)を連想したことが作品名からうかがえますが、この作品が丸々のオラフ自体であるかと言われると明らかにそうではなく、あくまでオラフを含んで越えた存在=「おらふとピエロ」なのです。もしオラフの絵をトレースして「オリジナルの伝説の生き物です」と提示したらそれは権利上様々な問題を引き起こしてしまいますが、オラフとはかけ離れた要素である葉っぱや木の実を組み合わせてオラフを想起したことは立派な見立ての力であり、さらにそれを含んで越えて新たな何か=「おらふとピエロ」を表したことは素敵な表現の力であると思います。

さらに、「伝説の生き物」(今まで「誰も」見たことがないような生き物)という構造自体も、既存のものを含んで越えていくような混ざり合いを生み出す上で効果的に作用したのかも知れません。

例えば、小学校中学年くらいの男の子たちは、自然溢れる公園にある全てのものが「伝説の生き物」の化石であるというファンタジーの世界を受け入れ、こちらの「伝説の生き物」を表現しました。

この「サメ食いグモ」を見てみると、塩ビパイプと木という素材が混ざり合っているだけでなく、

この子たちが持っていた既存の情報(「サメ」の生態系や大きさの概念、サメと蜘蛛の大小関係、それを逆転させることでこの世のものではない恐ろしさや不思議さを強調できるという知など)も混ざり合い、

その結果として塩ビパイプや木、サメ、蜘蛛を含んで越えて、それらのいずれでもない何か=「サメ食いグモ(蜘蛛)」としか言いようのないものに変容していることが分かります。


切貼民話にも共通して言えることですが、既知のものと未知のもの(新しいもの)は必ずしも二項対立関係にはならないと考えます。大切なのは、その「あいだ」をいかに見出せるか、その混ざり合いを意味のあるものとして捉えるかー。

私がこれまでのワークショップや切貼民話を通して伝えたかった本質的な考えを、質問をいただいたことで一層深めることができました。本当にありがとうございます✨

宇宙初‼️のまとめ、そして新たな宇宙初‼️「角兎展」への出展🐇

以上、(おそらく)宇宙初となる切貼民話のワークショップのレポートでした。

「(おそらく)宇宙で誰も名乗っていないであろう『切貼民話師』という謎の肩書きを名乗る変な人から、(おそらく)宇宙で誰もやったことがない『切貼民話』という謎の活動をやってみようと提案されたら、参加者の方々はどのような反応を示されるかなぁ」とわくわくドキドキしながら迎えた当日でしたが、

「これ面白い!」「現場に持ち帰ってやってみます!」「コラージュ素材が面白い!もう一部持って帰って良いですか?」など、温かいお言葉をたくさんいただくことができ、嬉しい気持ちでいっぱいになりました☺️

宇宙初のお披露目が造形教育の研究会で本当に本当に良かったです‼️ありがとうございました✨


そして、宇宙初の切貼民話の出展を、お世話になっている高円寺の妖怪専門店「大怪店」さんにてさせていただけることになりました‼️

前回のブログにまとめた角兎たちの作品を展示させていただく他、13日(日)にはワークショップも開催予定です。ぜひぜひお越しください☺️

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