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【中間報告書】切貼民話によって教育観の変化や私の働き方・生き方はどう変わるのか?

今回の記事は、新しい働き方LABの研究員として実験をしている中間報告書となります。新しい働き方LABについてご興味のある方はこちらのホームページをご覧ください。


また、研究を始めるにあたって3ヶ月前に作成した計画書はこちらになります。基本的にこの計画書に沿って振り返るとともに、後半3ヶ月間の実験内容や評価方法などについで見直していきます。


【第1ステージ】「切貼民話」を知っていただけるのか?

まずは「切貼民話」について知っていただくための発信方法のブラッシュアップについて。

Xでの発信を振り返る

現在のところ発信媒体としてはX(旧Twitter)を使っています。

実況中継的な投稿は表示数と「いいね」が少なめ。
作品をポストすると、表示数や「いいね」が増えました。
ラジオ出演させていただいた際には視聴してくださっている方々からの「いいね」をいただきました。
ワークショップを行い発信することで、参加してくださった方々がリポストや引用ポストしてくださり、結果として表示数と「いいね」数が伸びました!

これらを踏まえると、私が日々の活動の中でできる切貼民話の周知としては、
・作品の発信
・ワークショップの開催とレポートの発信

という2つのアプローチが効果的であると言えそうです。

また、この期間でコラー獣の発信方法アンケートをGoogle Formにて実施し、13名の方々にご回答いただきました。ご協力いただき誠にありがとうございます。

その結果をまとめると、「発信」を一括りに捉えるのではなく、誰に・何を・何のために伝えるかを明確にすることで、より高い効果が生まれるのではないかということを考えました。

・発表する場所(読者は誰か、読者へのアプローチ)による。話の腰を折るような言い方で申し訳ありません。ワークショップの成果(制作者の作品)として考えるのであれば、②(図鑑型)か③(絵本型)がよいと思います。

切貼民話の表現方法アンケートより一部抜粋

これらを踏まえ、私が生み出す作品についての発信と、ワークショップについての発信を分けて考え、それぞれのアプローチについて細かく考え、まとめました。

前者については「今後の方向性」の項にまとめたため、ここではワークショップについての発信に焦点を当てて考えます。

ワークショップについての発信を考える

私が切貼民話師として活動している目的は、子どもたちが・子どもたちと地域の方々とが協働で地域文化を生み出すきっかけを創ること。そのため、直接子どもたちや地域の方々と一緒に制作できるワークショップの機会は重要な役割を持っています。

ワークショップをきっかけに、ゆくゆくは「あの角を曲がったら〇〇ちゃんが考えたコラー獣がいるんだよね」という会話が街の中に溢れ、子どもたちの発想や表現と地域の大人たちの得意分野(映像制作、イラスト、写真、音楽など)が混ざり合いながら、まるで江戸時代に妖怪文化が生まれたように遊び心に満ちた雰囲気を各地に生み出すことができたら、きっと幸せな世の中になると思っています。

以上を踏まえ、発信について細分化していくと、

・活動について広く周知していただく場面
・ワークショップで地域の民話やコラー獣について伝える場面
・ワークショップ後に生まれた新たなコラー獣や物語を残す場面

の3つの場面について、それぞれ異なるアプローチが必要であると考えました。なお、発信媒体の案についてはアンケートの回答を反映させていただいています。

・紙芝居、トレーディングカード

・ズバリ、紙芝居型です。図鑑のような上下、絵本のような見開きの亜種のように受け取られるかも知れませんが、民話のルーツが口承にある以上、先祖返りのイメージです。10枚ぐらいの絵で一話、ある程度厚みのある紙の裏表で制作し、展示等の際は同じもの2部つくり表裏セットで掲げます。

・アマゾンの電子書籍とペーパーバック(いずれも絵本型)が良いと思います。

・三つ折りパンフや冊子を作って、地域の図書館や小学校に置いてもらう。「公民館だより」やフリーペーパーなど、地域の雑誌の1コーナーとして継続的に取り上げてもらう

・印刷して製本できるなら「文学フリマ」などに出店してみてはいかがでしょうか?(ただ、写真なのでコスト的に難しいかもしれませんが)

・インスタだと写真メインでみれるので嬉しい

・基本的に、ソーシャルメディアを中心に情報発信でいいと思いますが プレスリリースを作って既存のメディア(例えば、地元のテレビ局や新聞 タウン誌)等に取り上げてもらうというのはどうでしょうか

・ZINE(紙)をポートカケガワや公民館のような市民が集う場所においてもらう

切貼民話の表現媒体や表現方法についてのアンケートより一部抜粋

私が考えている3つの場面でのアプローチについてはこちらです。

〇ワークショップの内容や効果について周知する場面での発信
・発信したい相手…不特定多数の方々・発信を行う人…切貼民話師ゆーだい

・ねらい…切貼民話の活動やワークショップに興味を持っていただく

・発信媒体…InstagramやnoteなどのSNS媒体、チラシなど

・発信内容…子どもたちや参加者の方々が新たな表現を生み出す軌跡や、様々な気付き・発見をする中で生まれたコラー獣たち


〇ワークショップの導入場面での発信
・発信したい相手…初めて切貼民話やコラー獣について知る人々(子どもたちを含む)

・発信を行う人… 切貼民話師ゆーだい

・ねらい…地域に伝わる民話や、コラー獣とは何かを伝えると共に、既存の民話を含んで越える表現を創ることを口承と視覚的提示にて伝える

・発信媒体…口承により変化しながら残り続けるという民話の性質を大切にするというねらいから、紙芝居や、作品提示+口伝といった方法で発信する。

・発信内容…
①地域に伝わる民話(子どもたちも対象に含むため、呪いや死などの要素がなく建設的にイメージが膨らみそうなもの)
②制作のきっかけになりそうなコラー獣の写真(他の地域でのワークショップで参加者の方々が生み出した作品)


〇ワークショップ後に生まれた新たなコラー獣や物語を地域に残す場面での発信
・発信したい相手…その地域に住んでいらっしゃる方々

・発信を行う人…そのワークショップに参加してくださる方々がコラー獣や物語を創り、切貼民話師ゆーだいがまとめる

・ねらい…ワークショップに参加していない方々も地域の中にわくわくを見つける楽しさを味わう。その地域に住む子どもたちや地域の方々が生み出した作品が日常の中に根付き、「あの角を曲がると○○ちゃんのコラー獣がいる」という会話や想像が生まれる雰囲気を創る

・発信媒体…図鑑絵本(Kindleやペーパーバック)、カードなど

・発信内容…「このコラー獣を大切にしたい」という思いが生まれるよう、特に絵本の場合はコラー獣作品やそこから生まれた物語を載せるとともに、あとがきの部分などに、そのコラー獣が生まれるにあたってどのような気付きや発見が生まれたのかを綴る

教育・保育畑にいる私にとって、マーケティング・ブランディングの知識や技術がないという点が大きな課題であり、苦手な部分。

そのため、ここまでの気付きはあまりに常識過ぎる気付きかもしれません。しかし、漠然と「発信」と一括りに捉えて闇雲に発信するのではなく、そのねらいや目的などを細かく考えることができたことは私にとって重要な機会になったと思っています。

【第2ステージ】ワークショップの開催

まち歩き〜コラー獣作りワークショップの開催

繰り返しになりますが、この3ヶ月間の大きな成果は、なんと言ってもコラー獣作りのワークショップを実現することができたこと

前職でお世話になっていた埼玉県坂戸市と、新たに繋がらせていただいた岩手県金ケ崎町。妖怪研究家・市川寛也先生のご協力のもとで実現した2つのワークショップでは、活動開始当初から目指していたまち歩きで集めた素材を使ってコラー獣を作るという流れを実践することができました。

各ワークショップのレポートはこちらになります。

また、特に坂戸市のワークショップの開催にあたって

・妖怪研究家の市川寛也先生とコラボレーションさせていただいた

・FM FUJIで毎週土曜日24:00~24:30にオンエア中の「妖怪TALK」というラジオ番組に出演・告知させていただき、初回のワークショップにはDJの徳タケ喜一さんにご参加いただけた

・坂戸市内の小学校にお子様が通っている方がチラシ配りをしてくださった

・数年前行ったワークショップに参加してくださった方がお子様を参加させてくださった

というように、たくさんの方々から様々な場面で助けていただきました。「自分は独りではない」ということを心から実感することができ、勇気を出して一歩踏み出して良かったと思えました。ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

あたラボ夏祭りでの「ぶったいわ」開催

直近では、あたラボ夏祭りにて、物体✖️対話をテーマに空想を膨らませて話し合う「ぶったいわ」というオンラインワークショップを開催。

基本的には対面開催で直接素材の探求や参加者同士の対話を大切にしている切貼民話の活動ですが、河童との遭遇体験についてSlackを通してご連絡いただいた あたラボ研究員の方からお声掛けいただいたことでチャレンジすることに。当初は30分間の予定でしたが、時間枠をプラスしていただき1時間枠で挑戦しました。

こちらが「ぶったいわ」のバナーです。

オンラインでコラージュをすると無言の時間が続いてしまうと考え、私がフィールドワークをする上で大切にしている視点を体感していただきながら対話や物語が生まれるようなアプローチを模索。その結果、不思議な形の物体を写した写真を共有して対話するという前代未聞?のワークのアイディアを思い付きました。

当日は参加者の方々がチャットで素敵な呟きをたくさん発信してくださり盛り上げていただけたことで、私が各地で集めた物体についての新たな視点や物語が生まれました。最終的には大喜利大会のように!私自身が楽しかったですし、あたラボの皆様のことが一層大好きになりました。

岩手県金ケ崎町で見つけた葉っぱ。図工・美術教育的に言うところの対話型鑑賞のアプローチを参照しながら空想を膨らませていきました。
山梨県市川三郷町で見つけた謎の巣?卵から連想し、某・卵が大好きな芸能人の方まで登場!大喜利大会みたいで面白かったです(笑)

ワークショップの効果の振り返り方法が今後の課題

切貼民話の効果について測定するため、当初はワークショップの後にアンケートを配付し集計することを考えていました。

しかしワークショップを実際に行う中で、私が捉えたいのは参加者同士の表現やアイディアが混ざり合う瞬間新たな視点・物語が生まれる場面であることが明らかになりました。こうした瞬間はワークショップに参加していただいた方々が客観的に捉えることが難しく、数値などの指標に表れにくい部分でもあります。

そこで、アンケート方式での考察ではなく、エピソードを具体的に記すとともに写真を添えることで、ワークショップにおける参加者の方々の姿を考察するというアプローチ(保育でいうところのドキュメンテーションを作り、発信するようなイメージ)に変更。

先にリンクを添付したnoteにレポートをまとめるとともにInstagramのストーリー機能を活用することで、振り返りと発信を併せて行う方向に切り替えました。

金ケ崎町でのワークショップのストーリー①。1枚の画面に「この瞬間!」という参加者の方々の表現や物語が生まれる瞬間をまとめる面白さを感じています。
金ケ崎町でのワークショップのストーリー②。ワークショップの中で生まれた呟きを載せることで、単なる作品の発信ではない側面を強調しています。教育保育現場で培われた視点をワークショップのレポートに活かせそうだと可能性を感じました。

1ヶ月前には「いんすたぐらむ?すとーりー?」とちんぷんかんぷんな状態でしたが、今更ながらストーリー機能の面白さや便利さについて知り、操作方法を学びながら楽しく発信しています。

今後の課題としては、発信方法を工夫したことによる効果をどのように測定すれば良いかを考えるということが挙げられます。

表現や物語の伝播や連鎖反応が生まれることを目指しているため、数値ではないような測定方法があれば良いなぁと思います。このあたりについて、もしアイディアがありましたらぜひ教えていただけたら嬉しいです。

※第3ステージ(活動の振り返りとまとめ)については現時点では捉えることができないフェーズであるため、中間報告では割愛させていただきます。

今後の方向性

以上、第1ステージ・第2ステージの振り返りでした。ここからは、残り半分となった研究員期間の今後の方向性についてまとめます。

当初は両ステージを分けて計画を立てていました。しかし、実験を進めていく中で、実践をすることで発信する必然性が生まれ、発信することで実践に興味を持ってくださる方が増えるという連関関係が見えてきつつあります。つまり、「第1ステージをクリアしたから、次は第2ステージに移行する」というようなものではないということに気付きました。

したがって9月からは,当初予定していた第1ステージと第2ステージの目標を掛け合わせつつ、次のように今後の展望や評価方法を再設定して実験を行いたいと思います。

作家としての作品発信について…鑑賞者参加型の作品発信・展示方法の模索

まずは私が生み出す作品についての発信について。制作方法はこれまでと大きく変えることなく、実際の土地を訪れて素材を集め、それらを組み合わせながらコラー獣を作ります。その上で、発信や展示の方法を変えていこうと考えています。

最近は制作に打ち込む余力がなかったのですが、特に「ぶったいわ」のワークショップを通して、1つの物を複数の方々が観察し、連鎖的・相乗的に物語が連なっていく様子に興味を抱きました。

そこで、SNSやリアルな場において単に作品を観ていただくだけでなく、鑑賞した方がコラー獣作品を観て連想した生態系や物語を連ねていくような展示の仕方を模索したいと考えています。

イメージとしては、作品にQRコードを載せ、それを読み込んだ鑑賞者が前に鑑賞し記述した方の文を閲覧することができ、かつ、それに連なる形で自由に書き込むことができるスプレッドシート的なフォームをコラー獣の物語創りに適した形に編集し活用できたらと思っています。

Boji hair+galleryさんで開催された「キツネとたぬき展」では、作品にQRコードを載せてYouTubeの動画で作品に関する物語を観ることができるようにしました。

いかんせんアプリケーション操作や制作に関する知識や技術が皆無であるため、こちらについてもぜひ良い方法がありましたら教えていただけたら嬉しいです。

もしこのようなフォームを作成することができたら、コラー獣作品から連想する物語創作にどれだけの方が参加してくださったか物語が完成したか否かが、表現方法・発信方法について評価・省察するための1つの判断材料となりそうです。

次に作品を展示させていただく機会は、岩手県金ケ崎町で開催される「城内農民芸術祭」になりそうです。地域の商店街の中に作品を展示させていただく形で進みそうで、舞台となる金ケ崎町の他に以前散策した北上市や遠野市をテーマにした作品を制作し展示させていただく予定。この展示に向けてインタラクティブな作品作りについて模索・実験することで、私自身の作家(の端くれ)としてのカラーや今後の展示の方向性を定めていきたいと思います。

🌟9月・10月の制作・発信の目標
〇鑑賞者参加型の発信・展示方法の模索と実践
〇コラー獣作品の鑑賞者による物語創作の参加者数や物語の完成・盛り上がり度合いを以て、表現方法や発信方法の効果を評価する仕組みづくりを行う

ワークショップ…坂戸・金ケ崎に続く場での開催を目指す

先に示したXの表示数や「いいね」数にも表れているように、切貼民話や私の思いについて知っていただくには、やはり対面でのワークショップが効果的であることを実感しました。参加者の方々の作品を発信したいという思いが湧きますし、何よりワークショップでいろいろな方と繋がらせていただくことが幸せ。ワークショップが私自身のやりがいや生きがいであることを再認識し、いずれは仕事や研究へと繋げていくことを目指しています。

そのための次のステージとしては、埼玉県坂戸市や岩手県金ケ崎町に加えて新たな場と繋がらせていただくこと。いずれ全国各地でワークショップができるよう、私の思いや具体的な内容などをまとめて発信し、興味を持っていただけた方からお声を掛けていただけることを次なる目標とします。

🌟9月・10月のワークショップの目標
〇新たな場でワークショップをさせていただけるよう、切貼民話を行う私自身の思いやワークショップ内容をまとめて発信する
〇お声を掛けていただけたか、ワークショップをどのくらい開催できたかを以て、発信方法の効果を評価する

まとめ…第3ステージに向けて切貼民話を新しい働き方や生き方に繋げることができるのか?

以上、中間報告レポートと今後の方向性についてまとめました。

私の今回の実験の最終目標は、切貼民話の活動を通して新しい働き方や生き方を実現すること。現時点では本業があるため、切貼民話の活動はあくまで個人の趣味レベルの活動に留まっています。

もちろん本業があるからこそ安心して実験にチャレンジできるという側面があります。しかし、制作活動を通して各地の魅力的な場を見つけ、ワークショップを通して様々な方々と繋がらせていただける中で、何等かの形でこの活動を新しい働き方や生き方に繋げていきたいという思いを再認識する日々です。

中間報告書にまとめた内容を実践することで、どのように道が切り拓けるのか…。今後の展開や最終報告書を楽しみにしていただけたら嬉しいです。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!


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