雇われ院長 MBAでまなぶ
医者っていろんな働き方があって、一般には病院の勤務医とクリニックの開業医がイメージしやすいと思います。
ただ、クリニックの院長といっても、実は自分で資金を出して開業されてる先生だけではなくて、雇われで院長をやっている私みたいな存在もおりまして・・・
なんで自分で開業しないの??
その理由を端的に言うと・・・
”面倒くさい”
という一言に尽きます。
成功するかもわからないのに、
カネ系からヒト系の問題まで、
自分で背負ってやれるほどの度胸も無いんですよね~
たまたま医師の転職サイトで新規の院の分院長の募集があったので、
リスクヘッジもできて、経営者”気分”も味わえる、雇われ院長もありかなと思って今の法人に参加させて頂きました。
院長はじめてみました。
採用決まってからは、法人の敷いたレールにすんなり乗っかって新規の分院の院長となりました。
本とかでは開業までって大変って書いてあるのですが、さすがに多院展開しているクリニックだけあって、経験曲線が働いて、開業までの事務的なことの流れはすごくスムーズでした。
実際に仕事を始めてみると、確かにスタッフ教育や院内のオペレーションなども統一されているので、診療は全然ストレスなく、病院勤務医からスムーズに診療所業務に移行はできてるなって感じでした。
まあ、患者が多くても少なくても給料も安定してもらえるし、自分の時間も増えたし、こういう働きかたもありかな~とも思っていました。
まさかの新型コロナのパンデミック!!
わりと開院してから患者数も堅調に増加して、安穏と暮らしていたのですが、まさかの新型コロナの流行!。
何がやばいって、コロナ以外の感染症が激減し、外出制限もかかる中、
患者さんが激減したのです。それも自院だけではなく、法人自体の存続に関わる位に・・・
雇われなんで、暇になっても給料変わらんし、別に良いやんとも思っていたのですが、さすがに法人自体の運営も危ぶまれたため、厳しい給料減の提示を受けることとなりました。
さらに、この状態がいつまでも続くなら自分の診療科の存在価値もなくなってしまうのではないかという医師としてのアイデンティティの危機もあり、なかなかつらい状況ではありました。
このままじゃヤバイんじゃない!?
危機感はあって何とかしないと思うのと、一方で何もできないことの現実で悶々とする日々が続いていましたが、たまたまなんかの動画で聞いた一橋大の楠木健先生の一言に感銘を受けました。
ピンチがチャンス
確か、「この時代チャンスなんてピンチの中にしかないよ」って話だったと思うのですが、確かにコロナのような大ピンチには多くのチャンスがあるような気がして勇気をもらった気がしました。
ただ一瞬モティベーションが上がったものの、もともとその時期は全体の患者さんのパイ自体が小さくなって市場規模は激減、さらにもともとの既存競合も多数あるという状態で、新参の当院が一体どうしたらええねんって感じでした。
やる気はあるが、何をすれば良いかわからないし、突破口も見えず何の武器もない状態をもどかしく感じていました。
MBAでもいってみるか。
そんな状況であまり深い考えはなかったのですが、どうせこのコロナは1,2年では収まらんやろうし、飲みにもジムにもいかれへんやろうし、せっかくなら時間あるうちに挑戦してみるかという軽い気持ちで、国内のMBAを調べ始めました。
診療とかの時間もあってなかなか通学もできないし、医療者としては不特定多数の人がいるところにもいけないしと思っていたのですが、オンラインの講義で学ぶことのできる経営大学院があることを知り、ここでの学びを決め、2021年に入学しました。
MBAの学びは診療所経営に活かせたか?
これを書いている時点で、ほぼ主要科目も終え、あと半年でうまくいけば卒業できそうですが、MBAの学びが診療所運営に使えるかと問われれば
めっちゃ使えます。
自分の診療を運営していく上での戦略だったり、患者さんインサイトに基づいたマーケティングだったり、コロナ診療でのオペレーション構築だったり、患者さんのロイヤルティーを醸成するためのサービスマネジメントだったり。
とにかくコロナ禍の診療所では問題は次から次へ湧き出てくるので、学んだことをOJTですかさず実行していく日々でした。おかげで、めっちゃ忙しかったですが、楽しく仕事ができました。
診療所で使えそうなMBAからの学びを自分の備忘録として、これからアップできればと思います。