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オーガニック食品は、アレルギー疾患を減らすのか?|2025年1月7日
■ ブログで公開した内容の深掘りです。
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乳幼児期の有機(オーガニック)食品の摂取は、アレルギー疾患の予防効果がある?
■ 喘息を含む慢性呼吸器疾患が世界の死因として非常に重要な位置を占めていること、そして一方で、アレルギー疾患が生活習慣や環境の影響を強く受けていることがわかっています。
■ 中でも、赤ちゃんのときに母乳で育てられると喘息を予防できる、地中海食などバランスの良い食事が喘息や喘鳴を減らす可能性があるなど、食事とアレルギーとのつながりが注目されています。
■ 一方で、有機食品は農薬や化学物質を抑えて作られており、「健康によい」というイメージがありますが、実際にアレルギーや呼吸器疾患にどのくらい関係しているかを調べた研究は少ないのが実情です。
■ 子どもを対象にした先行研究では、有機食品や有機乳製品を比較的多くとっていると湿疹が減るかもしれないというデータがある一方、喘鳴やアレルギー感作への効果ははっきりしていません。
Kummeling I, Thijs C, Huber M, et al. Consumption of organic foods and risk of atopic disease during the first 2 years of life in the Netherlands. British Journal of Nutrition. 2008;99(3):598-605.
Payet D, Adjibade M, Baudry J, Ghozal M, Camier A, Nicklaus S, et al. Organic Food Consumption During the Complementary Feeding Period and Respiratory or Allergic Diseases Up to Age 5.5 Years in the ELFE Cohort. Front Nutr 2021; 8:791430.
■ そこで、パリで実施されているコホート試験から、有機食品の摂取頻度が子どもの喘息やアレルギーにどう影響するのかが検討されました。
この論文でわかったことをざっくりまとめると?
パリ市内の5か所の産科病院で募集された健康な正期産新生児3,840名のうち、8歳時の健康診断を受診し食事頻度アンケート(FFQ)への回答が得られた1,258名を対象とし、8歳時点での有機食品摂取頻度を評価した。
✅️ 有機食品摂取頻度により3群(低頻度G0群51%、中頻度G1群28%、高頻度G2群21%)に分類したところ、G2群はG0群と比較してあらゆるアレルゲンに対する感作リスクが40%低下した(調整オッズ比0.60、95%信頼区間: 0.40–0.91)。
【簡単な解説】 有機食品をよく食べる子どもは、ほとんど食べない子どもと比べて、アレルギーの原因となる物質に対する体の反応が約4割少なかった。
✅️有機牛乳および有機乳製品を摂取する子どもは、通常の製品を摂取する子どもと比較してアレルギー性鼻炎のリスクが約45%低下した(オッズ比0.55、p値=0.03)。
【簡単な解説】 有機牛乳や有機乳製品を飲む子どもは、普通の牛乳を飲む子どもと比べて、花粉症などのアレルギー性鼻炎になりにくいことがわかった。
※ この研究で示された結果は、信頼区間が大きく、有機野菜や食べ物を食べなかったからアレルギーになったというのは尚早のように思われます。また、有機食品の成分そのものというより、別のメカニズムが関係する可能性もあります。後半でその考察を述べました。
以下は、論文の解説と管理人の感想です。
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noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊