ピーナッツを早期導入しても、ピーナッツアレルギーの発症は減らない?
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ピーナッツアレルギーの発症予防に関し、各国のガイドラインが大きく書き換わっている
ピーナッツアレルギーの発症予防研究として、観察研究と介入研究があります。
特に介入研究のLEAP研究は、各国のガイドラインに大きな影響を与えました(日本では、まだピーナッツの早期導入まで踏み込んでいないですが)。
そして、オーストラリアや米国では、ピーナッツを早期に導入する家庭が増えました。
では、リアルワールドではどうでしょうか?
最近、JAMAに研究結果が報告されています。
重要性
■ ランダム化比較試験により、早期のピーナッツ導入が一部のハイリスク集団においてピーナッツアレルギーを予防できることが示された。
■ このため、2016年に乳児栄養ガイドラインが変更され、ピーナッツアレルギーのリスクを低減するために、すべての乳児に早期ピーナッツ導入を推奨するようになった。
目的
■ これらの新しいガイドライン導入後の乳児のピーナッツアレルギーの集団有病率の変化を評価し、早期ピーナッツ導入とピーナッツアレルギーの関連を評価する。
試験デザイン
■ 経時的な変化を比較できるように、同じサンプリング集団と方法を用いて、生後12ヶ月の乳児の集団ベースの横断的サンプルを10年おきに2つリクルートした。
■ 乳児は、オーストラリア、メルボルン周辺の予防接種センターからリクルートした。
■ ピーナッツへの曝露歴やアレルギー歴に関係なく、12ヶ月の予防接種を受けた乳児が参加対象となった(対象年齢11-15ヶ月)。
暴露
■ アンケートにより、人口統計、食物アレルギーの危険因子、ピーナッツの導入、反応に関するデータを収集した。
主要アウトカムと測定法
■ すべての乳児にピーナッツ皮膚プリックテストを実施し、陽性となった乳児には経口食物チャレンジを実施した。
■ 有病率の推定値は、人口統計の経年変化を考慮し標準化した。
結果
■ 本研究には7209人の乳児が含まれた(2018-2019年は1933人、2007-2011年は5276人)。
■ 前のコホートと新しいコホートの参加者では、51.8% vs 50.8%が男児であり、年齢の中央値(IQR)は12.5(12.2-13.0)か月 vs 12.4(12.2-12.9)か月だった。
■ 食物アレルギーの危険因子である東アジア系の起源である乳児が経年的に増加していた(2018-2019年16.5% vs 2007-2011年10.5%)。
■ 乳児の起源およびその他の人口統計学的変化について標準化した後、ピーナッツアレルギー有病率は、2007~2011年の3.1%に対し、2018~2019年は2.6%(95%CI 1.8~3.4%)だった(差 -0.5%[95%CI -1.4~0.4%];P = 0.26)。
■ 2018~2019年のオーストラリア祖先の乳児において、ピーナッツ導入年齢の早さはピーナッツアレルギーのリスク低下と有意に関連していたが(生後6か月以下と比較して生後12か月:調整オッズ比、0.08[05%CI 0.02-0.36]、生後7~10か月未満と比較して生後12か月:調整オッズ比 0.09[95%CI 0.02-0.53])、東アジア起源の乳児では有意ではなかった(相互作用のP = 0.002).
結論と関連性
■ 横断的分析では、オーストラリアにおけるピーナッツの早期導入を推奨するガイドラインの導入は、集団全体のピーナッツアレルギーの有病率の統計的に有意な低下または上昇とは関連がなかった。
管理人の感想
オーストラリアでは、ガイドラインでピーナッツの早期導入を推奨したわけですが、このリアルワールドで1歳児を対象とした2つの集団ではピーナッツアレルギー有病率はかわらなかったとしています。
先行研究と異なるといえます。
この研究では、東アジア地域を起源とする乳児は、ピーナッツの摂取開始が遅く、ピーナッツ早期摂取への影響が小さくなったのではという考察されています。
一方で、日本での研究で、卵の早期導入後に卵アレルギーの発症が少なくなったという報告があります。
ランダム化比較試験であきらかな結果がでても、リアルワールドでは、さまざまな要因がからみ、はっきりとした結果とならない場合がある好例かもしれません。
過去の研究結果などとあわせて、眼の前の患者さんにどのように適用するかを考えていく必要性があるでしょう。
元文献
オーストラリアにおけるピーナッツの早期導入と乳児におけるピーナッツアレルギーの有病率との関連
noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊