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数学的帰納法という高校数学における最重要証明法についてのお話①

 こんにちは。今回は私が数学で特に好きな「数学的帰納法」について語りたいだけの記事です。

 皆さんは数学的帰納法についてどれほど知ってらっしゃるでしょうか?高校で数学をよく勉強した人なら、数列や整数を扱う問題で有用となる便利な証明法のひとつであることは知っていると思います。

 これは結構大事なことなんですが、あくまでも”数学的”帰納法です。帰納法ではありません。
 それを理解するにはまず”帰納”とは何か、という話になると思います。”帰納”の反対は”演繹”といい、論理を進めていくうえで大枠となるのはこの二つの概念です。
 演繹とは、一般的に正しいとされている論理を用い、もっと特殊的な論理の正しさを主張することです。わかりやすく言えば「産まれるまでを親のお腹の中で過ごす動物を総合的に”哺乳類”と呼ぶ。人間はその前提に該当するため、哺乳類である」といったようなもので、この場合哺乳類は卵ではなく親の腹の中で成長するという”一般的な前提”のもと、人間は哺乳類であるという”特殊的な論理”を導いています。
 対し帰納とは、多くのサンプルがそれに該当するから概ねその論理は正しいだろうと主張することです。例えるなら「僕の身内のサラリーマンは皆電車で通勤している。なのでサラリーマンは電車で通勤する」といったところです。

 演繹が一般的に正しいことから、この特殊な場合でも正しいだろうという、「一般→特殊」の道をたどった証明なのに対し、帰納は特殊な事例から一般的に当てはまることだろうと判断する「特殊→一般」の道をたどっているのです。

 なので、帰納は演繹に比べて確証できる方法ではないということです。ただ物理法則なんかは実験から導き出す帰納的なものであり、実際それが機能していることから演繹ではどうにもならないが帰納的に正しいと言えることもあるのでどちらにもメリットデメリットはあります。

 しかし、当たり前ですが高校までの数学程度は全て演繹法での証明を解答欄に書かなければいけません。だって、帰納的証明が許されるなら「この三角形とこの三角形が合同であることを証明せよ」みたいな問題でも「私が見たことのある合同証明で実際に合同じゃなかったことなどないので、今回も合同である」とか言えちゃうんですよ。
 別に合同問題に限った話じゃないし、こんなんじゃ数学の先生は困ります。

 もう気づいている人も知っている人も多いと思いますが、「数学的帰納法」は「演繹法」の一つです。帰納法じゃありません。なんか帰納法っぽいから帰納法と名前を借りているだけで、しっかり演繹的証明です。そこも面白さの一つです。

 長くなったので二個の記事に分けます。次の記事ではしっかり数学的帰納法のお話をしますのであしからず・・・

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