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小澤征爾さんのサイン、漢字かローマ字か?フィルハーモニーでの小澤征爾さんとの出会い。そしてコンサートマスター安永徹さん「クラシック編」
フィルハーモニーは裏道がありサインをもらいたい人などが行ける通路がある。いつも一緒に行くドイツ人のステファンは僕に「サインもらいたい?」と聞くと「もちろん!」と即答。。
コンサートが終わり人が出口へ向かう方と逆に向かっていくと裏口通路がありそこにたどり着くと数名の方がサインをもらうために待っていた。
日本人は僕ぐらいだった。
6畳くらいの小さな部屋の中で僕たちは待っていた。
そして小澤さんが到着するのを待っていた。。
その頃、その場所にあのコンサートマスターの安永徹さんが顔を出した。
安永さんのことは本を読んでから大好きだったので声をかけてパンフレットにサインを書いて頂いた。
あまりサインをお願いされることは少ないのだろうと思われるくらい感じだった。でも僕にとっては安永さんに会えるとは思っていなかったのでとても嬉しかった。。
安永さんは当時ベルリンフィルのコンサートマスターであのカラヤンから認められたバイオリニストでもある。背が小さくて右側には顔を覆うほどの大きな痣(あざ)がある。小さいころに母親から「誰にも負けないくらいの何かを持ちなさい」と言われバイオリンに努力を注ぎ込んだ。それもそのあざのせいだった。ベルリンフィルに入ることができ、カラヤンから「お前がコンサートマスターをやれ」と任命された。その当時4人コンサートマスターがいる中でカラヤンから任命されたのは安永さんが最後だっただろう。
そのあざのおかげで日本人最初のコンサートマスターになることができた安永さんである。あまり目立たないがすごい人なんです。。
そんな安永さんは小澤さんがベルリンフィルで指揮をする時には必ずコンサートマスターをする。コンサートマスターと指揮者の関係はとても大切で小澤さんと安永さんの日本人コンビがオーケストラから音を奏でる。
安永さんは小澤さんにご挨拶するつもりでこの部屋に来たみたいだがまだ小澤さんがいなかったので僕に捕まった。。笑
それから10分ぐらい待っただろうか。。
ガウンを着た小澤さんが現れた。。
まるでシャワーを浴びてきたかのような格好だった。。
僕たちは20人くらいいる中の真ん中あたり。。
小澤さんからサインをもらうと皆さんすぐにそこを後にした。。
僕の出番になり小澤さんが目の前に。。。
安永さんから書いてもらったサインのページを差し出すと声を掛けてくれた。
小澤さん:「日本の方ですか?」
僕:「はい!」
僕は小澤さんと会話したかったが想像を遥かに超えているように疲れているのがわかった。
「指揮はこんなに疲れる仕事なのか。。」
「こんなにヘトヘトになるくらい全力でやっているのか。。」
頭が真っ白だった。。
ある意味サインを求めている自分が嫌だったと思ったくらいだ。。
早く家に帰ってもらって休んでもらいたい。。
でもこれも指揮者の仕事なのかな。。。
70歳の方がここまで働くものなのか。。。頭の中がたくさんよぎった。。
小澤さんはサインを書いてくれた。
もしかしたらあの時から体調はそんなに良くなかったのかもしれない。。
するとその時にまた安永さんが現れて小澤さんに挨拶してそこを後にしました。
僕のパンフレットには安永さんと小澤さんの二人のサインが入っている。。
ただこのサインの価値はそれほど僕にはわからなかった。。
僕はそのサイン入りパンフレットを姉の旦那さん(天才の一人)にプレゼントしました。
すると彼はこう言いました。。
「小澤征爾が漢字で書くのはとても貴重だ。。」
「日本人だとわかったから漢字で書いたんだよ。世界の小澤はローマ字で書くサインが多い。」
そうなんだ。。。
だからあの時小澤さんは僕に「日本人ですか?」と聞いたんだ。。
そして付け加えて
「安永さんのサインも本当に珍しい。。しかも小澤さんと一緒のページに書いてある。。これはとってもすごいサインだよ!」
何も考えずに運良くもらえたサインはすごいものだったとその時に知った。。
姉曰く、今は亡き彼。。。あまり物を大切にしない彼はそのサインだけは大切に持っていたみたいです。
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