『誰が勇者を殺したか』国を救った勇者に隠された真実とは。


『誰が勇者を殺したか』(駄犬)読了しました。

読書ブロガーやYouTuberがこぞって絶賛していたこの作品。ファンタジー+ミステリ風のタイトルにも惹かれました。

王国を脅かす魔王を倒した勇者・アレス。
彼はなぜ死んだのか。
彼の仲間であった剣聖・レオン、聖女・マリア、賢者・ソロンや、市政の人々、アレスの故郷の村人たちに話を聞くうち、隠されていた事実が明らかになる。
彼を殺したのは魔王の手先なのか、仲間なのか、それとも……。

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ここからは作品の内容に触れています。
確信的なネタバレはありませんが、できれば前情報一切なく読んでいただきたいです。
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読む前は、『仲間3人のうち誰が勇者を殺したか推理する作品なのかな』とぼんやり予想していました。
しかし。
勇者を平民・凡人と見下しつつも、最後には彼の努力を認めたレオン。
面白半分で勇者に関わりながら、彼の実直さに惹かれるマリア。
才能があるゆえ孤独だったが、勇者との出会いをきっかけに人と関わる術を得たソロン。
それぞれ突出した才能を持つゆえ捩れた部分もある彼らだが、根っこはどこまでも純粋で心優しい。

彼らが勇者を殺すようには見えない。
なら、誰が……と先を読んだところで、意外な方向に話は進みます。

《勇者》の重責と、亡き者から受け継いだ意思。
それを背負いながらひたすら努力し、ついには魔王を倒した彼が《勇者》でなければなんだというのか。

不穏な冒頭からは想像もつかない、穏やかで平和なラスト。思わずクスッと笑ってしまうエピローグは必見です。

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