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Peak2Peakのデジタル写真講座:第4回  写真にとって「絞り値」とは何か 前半

風景写真や山岳写真を撮影し作品として完成させていく時に必要な思考やテクニックを、毎回お伝えして行きます。今回のテーマは「絞り値」その前半です。

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<レンズの絞り値は撮影で最も重要な項目>
もしあなたが、レンズ交換タイプのミラーレスや一眼レフカメラを使っているなら、絞り値の理解なしに撮影をすると言う事は、カメラやレンズの持っているポテンシャルを十分に引き出さないままに写真を撮っている事になります。
なぜなら、光学系であるレンズは、絞り値によって描写力、表現力、解像感が違うからです。具体的には、被写界深度、周辺光量低下の度合い、色収差の量、フレアの量、歪みの量、シャープネスなどが、同じレンズでも使う絞り値によって異なります。

これらの現象はその理屈を理解しなくとも、長く同じレンズを使っているとだんだんと経験的に判ってくる事柄でもあります。たとえば、どうもこのレンズは四隅が暗くなる事がある(周辺光量の低下)、晴れた日に撮った写真と曇りの日に撮った写真では解像感が違うような気がする(絞り値による解像度の違い)、画面の中心から離れるほど描写が緩くなったり像がずれたりするようだ(収差の影響)などなど。それをレンズの個性と理解して、積極的に作画に役立てる方も多いかもしれません。

今回はこれら経験的に理解していた事柄を少し掘り下げて観察し、今後の撮影に役立てて頂ければと思います。

<開放絞り値が明るく変化しないレンズ>
開放絞りとは「レンズには、何枚かの金属板(絞り羽根)が、内側が円になるように組み込まれています。この絞り羽根を開いたり閉じたりすることで円の大きさを変え、レンズに入る光の量をコントロールしています。開放絞りとはこの絞り羽根をいちばん開いた状態のこと」(キャノン公式HPより抜粋)。「そのときの絞り値(F値)を開放絞り値(開放F値)といいます。開放絞り値がそのレンズで設定できるもっとも小さい絞り値になります。開放絞り値はレンズごとに異なり、レンズの製品名に表示されています」(ニコン公式HPより抜粋)

レンズにとって「開放絞り値」はそのレンズの性能を表す重要な項目です。
そして以下の2項目が、レンズのスペックで注目すべき点です。
①ズームレンズの開放絞り値が、焦点距離によって変化するかどうか
②「開放絞り値」の値が3.5よりも小さいかどうか


例えば、キャノンのフルサイズEOSシリーズ用のレンズの中には、標準ズームと言われるレンズがいくつかあります。代表的な三つを比較してみると
「EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM」絞り値が変化 開放F値3.5以下 70,000円
「EF24-70mm F4L IS USM」絞り値が固定 開放F値3.5以下 149,000円
「EF24-70mm F2.8L II USM」
絞り値が固定 開放F値3.5以上 230000円
(価格はいずれも税別メーカー希望小売価格)

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この価格差の大きな要因は、開放絞り値が明るい(小さい)か、開放絞り値が焦点距離によって変わらないか、ということからきています。

<開放絞り値を積極的に使う>
レンズの開放絞り値は、そのレンズの性能を表しています。開放絞り値が明るければ、レンズはたくさんの光を通す事が可能ですので、暗所での撮影に有利です。また、明るいレンズの場合、メーカーは開放絞り値でのレンズの解像感を重視してレンズを設計している事が多いので、積極的に開放絞り値を使う事で、レンズのポテンシャルを引き出す事ができます。逆に言えば、開放絞り値が3.5以下の比較的暗いレンズは、開放絞り値での描写力を「売り」にしていない事が多い、と言えるでしょう。では開放絞り値とそれ以外の絞り値の描写の差、それぞれの特徴をこれから見ていきます。

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この写真は、ニコンの開放F値が明るい単焦点レンズのひとつ、AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDで撮影したものです。絞り値はf=1.8、つまり開放F値です。中央やや右のニリンソウにピントが合って、背景やその他の花は綺麗にボケています。

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ピントが合っている花をトリミングして拡大してみました。雌蕊雄蕊にピントが合っているのが判ります。
開放F値での撮影のポイントは
①繊細なピント合わせ
②背景のボケ
がまず挙げられます。「ボケ」は英語でも「bokeh」と綴られて写真表現の重要な一項目となっています。ウィキペディアによれば「レンズの焦点(被写界深度)の範囲外に生みだされるボヤけた領域の美しさ、およびそれを意図的に利用する表現手法」です。

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