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花の森にて

やわらかに色紙の花園で
子猫が蝶々を追って駆けて行く
淡紅色ときいろの薫りを放つ花たちは
自慢の花びらを踊らせることにいそがしく
まるでそれは雨のように降りしきり
この花園を埋め尽くそうとするかのように
花びらは散る また降り注ぐ

小手毬の花影から聞こえるのは
やさしい音色のパストラーレ
あれは姉さまの弾くハープシコード
夢のように私の心に舞い降りて
昼下がりの眠りを静かにいざな

花海棠の根元でうとうとしていると
赤い花が私を起こしてくれた
それは葉陰にひっそりと咲く草木瓜の花
首をちょこんと傾げるように
身をこごめて私をみつめていた

何て平和な時であろうか
連翹の空の上雲は静かに流れて行き
見渡せば春の吐息であふれている
色とりどりの花の雨 花吹雪の中
私はまるで迷子のように
ただひとりきり花の森にたたずんでいた

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