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アナログ世代だからわかること

アナログ世代だからわかること…

LPってのは、ひとつの作品。

その縦横約30センチのジャケットもアート。

そして、レコードをターンテーブルに置いて、針を下ろす瞬間のあの緊張感がたまらない。

CDと聴き比べてみるとよくわかる。

圧縮されたデジタルでは聞き取れない音がアナログでは聴こえてくる。

確かに音がクリアなのはCDの方かもしれないが、あまりにも音が均一化されて単調すぎる。

ジャズやクラシック好きの耳の肥えたマニアならわかる。

ピアニシモからフォルテシモのダイナミックレンジを楽しめて、人間味のある自然な音を出せるのはやはりアナログ。アコースティックな楽器の音を楽しむならやはりLPだ。

どんなLPレコードにも完成されたストーリーがそこにはある。

1曲めから最後まで順番に聴くのが筋。だから、ランダムで聴くなんてもってのほか。

1枚のレコードを擦り切れるまで聴くということをやっていた70年代から80年代初頭。

恐らく一番たくさん聴いたのはイーグルスだ。1976年に発売された「ホテル・カリフォルニア」は今も僕の部屋の片隅にある。でも、今はもうアナログプレイヤーさえない。

僕の学生時代にはレンタルレコードのお店も何軒かあって、貧乏暮らしの身分ながらいろんなアーティストのアルバムを借りてカセットテープにコピーしたもの。

FMでは新しいLPが発売されると、まるごとかけてくれる番組もたくさんあった。いわゆるエアチェック(FMから音楽をカセットテープなどに録音すること)が趣味の一つでもあった。

アナログ世代には哀しいことだけれど、今や音楽はデータとして配信されるもの。実体のない空気みたいなものになりつつある。

昭和の時代、音楽はステレオセットで聴いた。それも、電源をオンにして音楽を聴くためにステレオセットに向かった。

今の時代、音楽はスマホやパソコンで聴くのが普通。それも、何か作業をしながら…。音楽は純粋に聴くという目的で聴くのではなく、作業のついでに聴くという感覚で聴くのが普通なんだろうか?

デジタル世代にはわからない、音楽が本当にアートと呼べるものとして存在していたあの時代を…。

それでも世間では、静かなアナログプレイヤーとLPブームが起こっているらしい。デジタルにうんざりしているアナログ世代には嬉しい話。

昭和生まれの皆さんの、お気に入りLPは何ですか?想い出の一枚がある方はぜひお聞かせください。

カセットテープも昭和を代表するもののひとつ

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高繁勝彦(アドヴェンチャー・ランナー)
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