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旅人のメンタルマネジメント

おそらくは、旅人が100人いれば100通りの旅のスタイルがあることだろう。

何が正しいかなんて野暮な話で、それぞれがそれぞれを正しいと思えればそれでいい。

すべては経験から生まれてくるもので、経験を積むことで旅人の勘や感性が育まれていくのだろう。

ただ、頭が硬くてはやはり旅人には向かないのかもしれない。

常識や固定観念にとらわれることなく、柔軟な発想でその場その場を乗り切る必要はあると思う。

知恵と工夫とアイディア次第では、旅は10倍も100倍も楽しくなるし面白くなるもの。

旅も人生もいろんな場面で障害となるものが起こるだろう。

トラブルやハプニングはつきもの。

突発的に起こる怪我や故障、病気、旅のツール等の不具合などで旅の予定や計画もしばしば狂わされる。

起きてしまったことについてはどうにもならないけれど、その直後にどう対応するか。

先ほども述べた切り換え・シフトチェンジが求められる場面。

この切り換えが上手い人は、どんな場面でも難なくクリアできるだろうし、さまざまな問題もスムースに解決していけるはず。

マニュアルがあればいいのだが、現場ではいちいちそんなものを当てにすることはできない。

ケースバイケースで対応していかないと、さらに別のトラブルに見舞われる可能性だってある。

特に失敗やトラブルのあと、いつまでもそれにとらわれていると前に進めなくなる。

何があろうと、前に進んでいくしかないのだから、過去は引きずらない。

人間だからいろんな感情が発生して当然だけど、怒りや悲しみ・後悔などネガティヴな感情は即座に棄てる。

常に晴れた青空のように心地よく快い気持ちを維持するように努める。

長く旅を続けていると、大らかさや寛容な心がいかに大切かを思い知らされる。

これらに欠けると次から次に問題が生じる。

同時に、やさしさや思いやりがあるからこそ自分自身もまた誰かの恩寵(おんちょう)を受けられる。

誰かに親切を受けたら別の誰かにその親切を返す…いわゆる恩送り(ペイ・フォワード)だ。

自分がしてもらいたいように他人に振る舞えることが理想。

そして、こういったことは何も旅人だけのことではないのだと思う。

ただ、旅人のように移動し続ける人々がいろんな場所でいろんな人に逢うことで、それが世の中の人々にプラスの影響を与えられたら、きっと世の中はもっともっと良くなっていく。

宗教を布教する人たちもこういった思いでその伝道に努めていったのだろう。

旅をする人には、そんなことを心に留めておいてもらえたら嬉しいしありがたい。

旅を通じて得られたものをフィードバックするのも旅人のミッションであると思いたい。


*アドヴェンチャー・ランナーのメルマガ「週刊PEACE RUN(第655号)」掲載文から


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高繁勝彦(アドヴェンチャー・ランナー)
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