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「自分の不完全さを認め、受け容れなさい。相手の不完全さを認め、許しなさい」
相手と自分の不完全さを認める
本書では、分かりやすい事例が以下のように紹介されています。
私の友人のAさんは、Bさん夫婦の結婚を祝う食事会の席で、礼儀をわきまえずに騒いでいる友人たちに強い怒りを覚えたと言いました。
本来であれば、夫婦を主役にして自分たちは聞き役にまわるべきである、とAさんは考えました。
しかし、他の友人たちはそんなことに気がまわらず、大いに盛り上がっていたらしいのです。
Aさんは、彼らに注意をしました。
ところが、彼らは「ハイハイ」と受け流し、一向に改める様子はありません。
Aさんは、非常識な彼らを軽蔑して睨みました。
彼らを責めることでやめさせようとしたのです。
Aさんの配慮は、Aさんの価値観からきています。
しかし、その価値観を他の友人に強制することは共同体感に反すると言えるのではないでしょうか。
Aさんはどんちゃん騒ぎをする友人たちを、配慮が足りない人たちだと思いました。
しかし、自分たちの結婚を祝ってくれる席で楽しそうにしている友人たちを見て、Bさん夫婦は「とても嬉しい」という気持ちかもしれません。
友人たちも祝いの席を盛り上げようとして、良かれと思って盛り上がっていたのかもしれません。
けれども、Aさんは自分の価値観からそんな彼らを睨みつけてしまったわけです。
自分スタンダードを押し付けない
人間は誰もが自分はこうあるべきという「自分スタンダード」を装備しています。
自分はこう思うんだから、相手も同じく思って当たり前という思考に陥りがちです。
これは、キャリアコンサルティングの場面でも同じことが言えます。
初対面のクライエントの第一声が「仕事でモヤモヤしているんです」だったとします。
キャリアコンサルトが思う「モヤモヤ」と、クライエントが思う「モヤモヤ」は同じではないはずです。
そうするとキャリアコンサルトは、クライエントの「モヤモヤ」の内容を詳しく聴くための質問をして、経験代謝を回していこうとします。
ここでキャリアコンサルトの自己概念や主観が入ってしまうと、ラポールは形成ができずに面接はうまくいきませんよね。
私は、キャリアコンサルトはできるだけフラットな感情で面接に臨み、話しを聴いても簡単にその気持ちを分かったつもりにならないことが肝心だと思います。
自分が正しいでは上手くいかない
自分も相手も不完全な人間なんです。
私は、パーフェクトヒューマンだと自信持って言えますか?
私も自信を持って不完全な人間だと言えます(笑)
「相手が私の不完全さを受け容れてくれない」から「私も相手も不完全さを受け容れない」ではなく、まずは見返りを求めず「自分が相手の不完全さを受け容れる」ことから始めてみませんか?