「感情には二種類ある。『人と人とを結びつける感情』と『人と人とを引き離す感情』だ。上機嫌な人のまわりには人が集まってくる」
アドラーは、人間の感情を二種類に分類しました。
人と人とを引き離す感情
具体的には怒り、嫌悪、悲しみ、不安、嫉妬などです。
いつも怒っていたり、嫌味を言ったり、めそめそしたり、嫉妬心をぶつけてくる人には、できるだけ近づきたくないですよね。
人と人とを結びつける感情
具体的には喜びです。
いつもニコニコして、感謝の気持ちを忘れない人とは、お友達になりたいと思いますよね。
同情と羞恥心
そして、おもしろいことに、「引き離すこともあるし、結びつけることもある感情」として、同情と羞恥心をあげています。
これはどういう意味でしょうか。
同情の本来の感情は「人と人を結びつける感情」です。
他者の痛みや辛さを自分も同じように感じる心です。
ところが、えてして同情は「誤用」される、というのです。
同情を利用する
同情する人は優しい人だ、と一般理解があります。
するとそれを利用して同情の「演技」をする、というのです。
もしくは、自分が演技していることさえわからずに、同情を創り出す。
そして、偽善者としてポイントを稼ぐ、と指摘しました。
このように、同情や羞恥心が偽善として「誤用」されたときに、それは「人と人とを引き離す」とアドラーは言っています。
誤用される場面
誤用される場面を考える前に、「同情」を広辞苑で調べてみました。
【同情】ト゛ウシ゛ョウ
同じ気持ち。また、気持ち・願いが同じであること。
人の悲しみ・苦しみに対して共感すること。また、その気持ち。思いやり。
とあります。
誤用とは「同情」している振りをすることだと解釈できます。
ということは、困っている相手に、気持ち・願いが同じである振りをして、相手の悲しみ・苦しみに対して共感して、思いやりがあるように演技をするということだと言えます。
なぜ誤用するのか
私が考える限りでは、自分は良い人だと相手に思わせておいて、何らかの見返りを期待したり、求めるためではないかと思います。
このような感情は、いずれ相手に伝わってしまうでしょう。
この同情が演技だと気づいたときには、その人は離れていってしまうでしょうね。
感情を喜びで使う
感情はその人が持つ共同体感覚のプラス面、マイナス面の表われです。
どうせ感情を使うのなら、喜びで人を結びつけたいものです。
いつも機嫌良くいたいものですね。
人と人とを結びつける「喜び」の感情を使おう。