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ひと色展旅行記 中中下(南南西的)

江の島でくたくたに疲れたぼくは翌朝、横浜駅近くのカプセルホテルサウナで目を覚ます。

今日は心のスタンプラリー2日目。
またの名をひと色展訪問後夜祭。

きょうの夕方の新幹線で梨の産地に帰るので、あわてて飛び起きカプセルホテルのカプセルのカプセル天井に額を打ち付け額の色がカプサイシン。
平たく言えばカプセルホテルでカプセル天井にカプサイシン、額の色展。



横浜駅そばに流れる帷子川。
かたびらがわと読む。
片平なぎさ←こちらはかたひらなぎさと読む。

この帷子川に魚が数匹泳いでいるのが見えた。
朝の通勤ラッシュ時のこと。
人々は橋の上を競歩の選手のごとく歩いてゆく。
ぼくは川を覗き込む。
ひいふうみい…10匹くらいの魚がゆらゆらと泳いでいる。おおきさからすると30センチから50センチ。黒い魚影で、大きいから、鯉なのだろう。
しばらく橋の欄干に顎をおいて鯉を眺める。
横浜駅の鯉かぁ。
黒光りする小さな鱗、幅広の体。
背びれは獣の爪のように立派に広がっている。
すごいなぁ。

ん?

いや、鯉にそんなに立派な背びれはなかったはず…
鯉じゃないなら、この魚は、いったい…


何の変哲もない川

黒い魚影を凝視する…



なんか、川べりにフジツボ的なやつが群生してる。
こ、ここは川だぞ。なぜだ。
そしてこの魚、なんか、魚影が平べったい。
鯉じゃ、ない…

お分かり頂けただろうか




なんか、
恵比寿ビールとかで、
見たことある、
シルエット…




あ…

間違いない。

この魚影たちは…



…鯛だ。

黒鯛だ…。




橋の袂に書かれていたのは「河口から1.1キロ」の文字。ここは汽水域で海の魚も泳いでいる。よく見ればボラもいる。
間違いない。
こいつらは黒鯛だ。 






そう、まるで、






真ん中の決意の色 ペインズグレイの黒鯛だ!!!横浜駅のそばに鯛がいるなんて!!!!
という紺屋高尾の一席にございました。


さて、お話は大倉山記念館、重厚な緑の金属のドアの向こう側に隠れたあんこぼーろと、あんこぼーろが横浜に来ていることを知らないイシノアサミ、邂逅のシーン!よーい、アクション!





「うわさん!さちさん!僕はいないことにして、イシノアサミにこの鍵穴を覗かせてください!」

ふたりは悪魔のような笑顔を浮かべてゆっくりとうなづく。

がちやり。僕は扉の向こう側へ。

ドアの向こうから「むごむごもごむが」と会話が聞こえてくる。

さち「あさみさーん、ちょっとこっちいいですかあ?」

あさみ「ん?どうしました?」

うわ「ここ、鍵穴があるんです、可愛くない?」

あさみ「うわ ほんとだ 鍵穴だ」

うわ「ちょっとあんたぁ、覗いてみなさいよぉ」


僕は鍵穴の向こうを覗き込んで待機する。
待つこと4時間。
イシノアサミがやっと鍵穴を覗き込む。
まったく、ウォンバットなみに慎重なやつだ。





イシノアサミと目が合う。




ほっとひと息の色 ローアンバー色の瞳である。


あさみ「え、な、なんかいる!なんかこっちみてる!え!なに?イグアナ?え?トッケイヤモリ?え?なんかと目があった!え!なに?だれ?職員の方?え?なに?」

ドアの向こうでうわさんたちの笑い声。
不安げなイシノアサミが、扉をぐぎぃーーと開く。

僕と目が合う。

イシノアサミがうしろを振り向いて、うわさんたちにひとこと。

「あー、私このひと知ってますよ!この人の目を知っています!」



イシノアサミは可愛らしい襟の形のワンピースを着てにこりと笑っておった。
金沢ひと色展で出逢ったときのままの、大人少女である。




けれど、ひと色展開催も、三度目。
展覧会も板についてきたみたい。
大人少女のまま、ずしっと落ち着いておられた。
沢山の人々と、色の子を通じて出逢い、様々な言葉を交わされて来た。
大人少女イシノアサミは変わらないまま、きちんと変わっていた。
色の子たちが彼女の背中をずっと押してきたのだろう。そんな気がした。



象のようなソファのところへ行き、リュックを広げ、中からチワワ集団の重みの正体を引きずり出す。
あんこぼーろ宅の、近辺のなし農家で購入した梨。
「南水」と「あきづき」である。
これをイシノアサミさんへお渡しする。

最近梨にはまっていて、一番美味しいと思っていた秋月を、甘太という梨が凌駕して、その甘太を南水が凌駕するという大事件があんこぼーろ口腔内で起こったので、その感動をお届けしたくてリュックにパンパンに梨を詰めてきた。
梨を下ろすと、リュックの中身は空っぽになった。
空のティッシュ箱くらいの重さになった。


梨をお渡ししたあとはお客様が来て、イシノアサミは館長の職に戻ることになる。

さちさんと回廊を巡り、色の子骨格談義に花を咲かせ、メッセージカードにラクダを描きまくる。





さてここでまたひと色展から離れ、旅行記に戻るものとする!ついてこい!



帷子川から横浜駅へ、横歩きをしながらたどり着き、ちてちてとたちて北鎌倉へ。

北鎌倉にはけんちん汁発祥の地 建長寺がある。
何があろうとも、そこでけんちん汁を一気飲みしたい。北鎌倉で降りると駅の直ぐ側にアンティークショップがあって、なにか感ずるものがあって吸い込まれるように店に入る。

携帯や財布を入れておく小さなカバンを持ってきていなかったので、なんか無いかなぁという気持ちで入ったのだけど、あ、風呂敷でいいやん。
風呂敷で手提げかばんつくれるやん。
と思って入店二分で風呂敷を買う。

エレガントで丁寧なマダムの接客。
春の山の夜明けをイメージした風呂敷でなかなかに萌黄らしくて美しい色合いである。
三百円。




そんなことよりはやくけんちん汁飲まなきゃ!


けんちんそばにしました。薄味で健康的な味。




きれいな石の階段。
右側にトイレがあったから糞をした。奥に汲み上げ式の井戸水があったから井戸水を飲んだ。硬水の感じがした。宝は近いところにあるのだよ、と寺の門が語りかけてくる。うんちができてしあわせ。


北鎌倉でけんちん汁そばを一気飲みして、風呂敷バッグをつくり、修学旅行の小学生のがきどもに混じって鎌倉へ向かう。向かうは鶴岡八幡である。
平家物語と関わりの深い源頼朝ゆかりの神社である。興味深い。
ほかのお目当ては参道のわらび餅屋さんであんみつを食べるのと、鳩サブレ本店で鳩サブレを買うこと。

鶴岡八幡でお参りをする。
雅楽が鳴り始めなにかの儀式が始まった。
思えば江の島でもお参り中に儀式が始まった。
ラッキー!


八幡宮の八の字がプリングルスのおじさんの髭でできているという都市伝説がある。

蓮池に囲まれた弁天さまにもお参りをする。
社の前にがま口の財布が落ちていたので社務所の女性に預けた。よいことをした。全部よこせ。


弁天橋の鳩サブレ



ここの水で口を濯ぐと良くない病にかかる可能性が大だよ!鳥のなんか病原菌とかさ!気をつけろ!




ここで一句。藤棚の作る御影のすず あ、やっぱまあいいや。なんか鳩です。どけと言ったら重いボンジリを上げてくれました。

つや消しの白!!カドミウムホワイト!



鶴岡八幡参道のわらび餅やさんに行ったら大行列!強烈ぅ!はるばる来たのに!んもー!つぶす!

じゃあも鳩サブレ買いに豊島屋にいくわ、ったく。
ということで世の中で一番好きな食品鳩サブレを購入。

豊島屋は、鳩サブレが有名だけど、実はちゃんとした和菓子屋なのだ。干菓子やあんこの菓子も作っていた。ひっそりと、古き時代の伝統を守り続けている。

鳩サブレは、

静かな祈りの色 ガンボージノーバ!

豊島屋の近くの喫茶店のお店の名前が、
金糸雀 だった。
これで カナリア と読ませる。
カナリアもガンボージノーバ!


おなじく豊島屋の近くの漬物屋さんで飲んだ甘酒がすごく美味しかった!!
また取り寄せたいくらい美味しい。
皆さんも飲んでほしい。
冷やし甘酒。

調べたら、製造は千葉の味噌蔵だった!
買え。


卵焼き専門店に行ったらすごい大行列だったから、食べるのを諦めてその隣の全く関係のない喫茶店に入ってトニックウォーターを飲んだ。暑い。
秋なのか夏なのかはっきりしてくれ。


静かで鎌倉の喧騒を忘れさせてくれた。

こういう地元の人しか入らない喫茶店が好きだ。



でさ、あのさ、北鎌倉からずーーーーーーーーーっと、小学生の修学旅行のやつらがもねもねもねもねもねもねもねもねとつきまとってくるのよ。まるで夏の夜のぬるい海のように必ずやつらが肢体の何処かに触れているのよ。
江ノ電に乗れば解放される。
江ノ電に乗れば解放される。
そそくさと鎌倉駅へ。
ずちゃっと江ノ電に乗る。
電車の中はそんなにひとはいない。
座れはしないけど、多くもないってそんな感じ。
ふぅ。やっと小学生の群衆から解


もねもねもねもねもねもねもねもねもねもねもねもね



僕の胸くらいの身長の小学生どもが8000人くらい乗り込んできて、一気に電車の中は虫をパンパンに詰めた虫かごのように騒がしくなった。




視界が一面、黄色の帽子。





かわいいイタズラの色 
パーマネントイエローライト!





鎌倉駅を出発し、稲村ヶ崎のあたりから、きらきらとした海が断片的に見えてくる。

やがて視界が開け、大きな大きな新品の絵本を突然開くみたいに、海が、空が、広がる。


ちなみに、みる猫のバイクのシーンはこちらの海がモデル。



たまりゆく思いの色
フタロブルーイエロージェード。


海が見えると、子どもたちが歓声をあげる。
仏頂面だった世界各国の観光客や、通勤や用事のある日本人たちも、その歓声につられて微笑む。
子どもたちが、ほほえみをつれてくる。

江ノ電は、なんだか街と一体化していて好きだ。



お気に入りと和む色
テールベルト。
江ノ電の色。






次回!
あんこぼーろ、イシノアサミの口に梨をまるごとそのままねじこむ!

ひと色展旅行記中下下へ続く!
おたのしみに!





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