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台南日本軍「慰安婦」少女像の撤去について

6月に雲南省から上海長興島に戻って来た後、台南市日本軍「慰安婦」少女像の関係者3名に対して、Facebookと電子メールにて、少女像移設問題の現在状況を問い合わせる内容のメッセージを送信させていただいておりましたが、回答はないままでした。日本軍「慰安婦」メモリアルデーである8月14日夜に、ネット上で関連記事を軽く検索してみた際には、少女像移設問題に触れられたものを残念ながら見落としてしまったようであり、とりあえず、所謂本土派の人権系NGO職員さんが転載した台北市婦援会主催の関連イベントに関する投稿文に対して、台南市少女像移設問題の現在状況が不明であるとの旨のコメントをさせていただいておりましたが、こちらも反応がなかったため、もしかしたら、そのまま従来の場所に設置し続けらるように関係者間で妥結済みだったりするのかな等といろいろ想像していた次第です。
ご指摘を受けて、早速9月25日に検索してみたところ、8月16日付けで、台南市慰安婦人権平等促進協会理事長童小芸氏のFacebookページ上に、もうすぐ期限が到来するので、台南市振興人文童話公園内への移設を希望するとの旨の一文が掲載されているのを確認しました(「童小芸 深根台南一起打拼」 https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=122132305520299529&id=61558985889057)。やはり、当然ながら、台南市内を優先して希望されているようです。また、9月19日付けの「聯合報」の記事によれば、中国国民党籍台南市議会議員さんが、台南市当局に対して、財源が無いのであれば、経費は自ら調達するので、設置するための緑地の提供を求めたとのことです(聯合新聞網「南市慰安婦銅像拆了!藍議員要市府安置 黃偉哲回應了」https://udn.com/news/story/7326/8237692)。
私有地に設置するのであれば、ある程度スムーズに事が運ぶのでしょうが、実際のところ、台南市市長選挙も台南市市議会議員選挙も歴史的に本土派勢力が強い地盤であり、もちろん、各勢力とも、様々な考えをお持ちの方がいらっしゃるとは思いますが、世論が特に盛り上がらないのであれば、所謂統一派の求める公園という公有地への設置が実現できる可能性は、短期間内には難しいものがあろうかと思われます。少女像の所有権を有する上記関連団体によって、少女像は撤去され、当面倉庫内で保管され、目標の実現に向けた取り組みが今後もなされていくのでしょう。参考までに、他のNGOさんが取り扱っていらっしゃる別のタイプの文化財につきましても、特定地域にとってはセンシティブであることから、あくまでも推測で申し上げれば、普段は倉庫内で保管され、イベント時に取り出して設置していらっしゃるのでしょう。
台南市振興人文童話公園の位置を地図上で確認してみると、確かに公園内に緑地はありますが、場所はかなりの街中であり、公園周辺の私有地に適切な空き地があるかというと、どうかなというところですので、代替案として、台南市内で関連歴史スポットを思い浮かべてみると、小桃阿嬤が嘗て通っていたと証言されていた台南州立第二高等女学校については、その後、いろいろご指摘があったようであるため、嘗て華南・南洋の地に進出していた国策会社台湾拓殖株式会社の台南支店・台南事務所や出資した関連会社・株主、とりわけ製糖関連の観光スポットを連想したりするわけですが、何処か相応しい所縁の地がないものかと、これからも気に掛けて参りたいと思います。
ただ、私個人としては、台湾社会や日本社会等の分裂・混乱を望んでいるわけではないので、様々な要素を勘案した上で、特に少女像には拘らず、より広い視点から、「世界人権闘士記念碑」のようなものを中長期的目標の一つとして、気さくな性格で日本国内の支援者とも深い交流のあった故盧阿嬤が長く暮らされていた新竹県新埔鎮内に、改称により、日本公園という名称の歴史のある公園がございますので、その近辺か、あるいは郊外にでも私有地を確保して設置できたらいいかなという思いがあります。設置場所の選定理由を述べる中で、多かれ少なかれ、日本軍「慰安婦」被害者による裁判闘争等に関する歴史に触れることができれば良いかなと。というのも、台北市婦援会さんによれば、台湾籍日本軍「慰安婦」被害者の関連遺構が台湾で唯一、原住民居住地域にあるのですが、その近辺に説明文等の設置を打診したところ、現地の方々は負の遺産だと考えて設置を望まなかったというような現実があったりするからです。新竹県新埔鎮につきましても、いろいろな思いの方がいらっしゃることだろうとは思いますが、韓国籍日本軍「慰安婦」被害者李容洙ハルモニが嘗て連れて行かれたという新竹の軍慰安所から見ても、それほど遠い場所にあるというわけでもないので、工夫をすれば、韓国等からの旅行者も訪ねて来てもらえるかもしれず、新竹地域の経済振興にも繋がれば良いかなと思います。
ちなみに、ある意味、第二次世界大戦の残り火が燃え続けてきたとも言えるミャンマー内戦の内、春の革命1027作戦第一弾期間中にあたる2023年11月、そして、1027作戦第二弾開始までの一時停戦期間中にあたる2024年5月に、中緬国境地域雲南省徳宏州瑞麗市内を訪れ、各地を廻っている際に、現地で多数派を構成するタイ族(シャン族)、ジンポー族(カチン族)の民族用品店を見掛けたので、立ち寄って、今後の参考までにと、展示されていたガラス繊維強化プラスチック製の像や案内板の値段や、新竹地域に多い広東客家系住民に関する製品の制作経験の有無等について尋ねてみたりもしました。
なお、私事でありますが、11月に日本のフリーランス新法が施行されるので、日本の悪徳ブラック企業から詐欺的手法で仮払金が払い戻された後に、報酬の支払い拒否を喰らっている問題について、大した金額でもなく、裁判をすれば逆に損することになる可能性が高いと思われ、まともな事業者なら、諦めてそれで終わりなのでしょうが、公正取引委員会への通報を予定しており、おそらくは、それでも支払われずに、民事訴訟となるだろうとみておりますので、そちらの問題が片付くであろう来年か再来年以降、再び台湾に足を運んでみようと考えています。
日本は戦後80年近く平和を享受してきましたが、中台対立、南北朝鮮対立、ミャンマー内戦、日本国内に設置された米軍基地や軍拡問題等を観察していれば、第二次世界大戦は、完全に過去のことであるとはとても言えないですね。普段は中国大陸で暮らしているため、不便な面もございますが、微力ながらも、平和に貢献して参りたいと思っています。