魔女ランダからはじまるバリ島
バリ島に行くことになった。
きっかけは、そろそろどこか海外に行きたい、と思っていたところに、高校の同級生と10年ぶり?ぐらいに再会して彼女がバリ島に行く。というのを聞いたことだ。
「バリはすごくいいよ、行ってみて」という言葉が妙に刺さって「これは行くやつだ」と直感的に思って航空券をとった。
旅立ちは約2ヶ月後の10月。2週間の予定。ひとり旅。
今までアジアを中心にたくさん旅はしてきたけれど、バリ島は初めて。
まずは図書館に行ってどんな国なのか知りたい、と思った。
「魔女ランダの島・バリ島」
ガイドブックを借りたかったのに、なぜかバリ島のものは貸し出し中でバリ関連の本であったのが「魔女ランダの島・バリ島」板垣真理子著だった。
約20年前ぐらいのとある写真家さんのバリ島の紀行文。
古すぎるし参考にならないかも、、と思いつつ魔女の島ってなぁに?と少し興味をそそられて借りて読んでみることに。
その本によると、バリ島には海に住む魔女ランダと山に住む聖獣バロンというのがいて、永遠に戦っているという。
善と悪の戦い。
面白いのが勧善懲悪ではないところ。アンパンマンがバイキンマンをやっつけてめでたしめでたし。というストーリーにはなっていない。
戦いは終わらない。
善と悪、どちらの居場所もあり、魔女ランダを排除することなく祈りの対象にすらなっている。
よく「神々の島・バリ島」と言われるけれど、その神々の中には魔女も入っているのだ。
バリ島の呪術師バリアン
また、その本によるとバリ島にはバリアンという目に見えない領域を扱う、ヒーラー、治療師、占い師、祈祷師のような人たちがいるらしい。
ブラックマジック(一種の呪いのようなもの)を解いたり、エネルギーを調整したりするみたい。
これはブラックマジックに対してホワイトマジックと言われている。
だけどこの本に書かれていたことで興味深かったのが、この本の中に登場するある一人のバリアンは「わたしはホワイトマジックは使わない」と言ったことだ。
ホワイトもブラックも一緒。ただ瞑想をして自分をきれいに透明に保つことだけをしている、とその人は言った。
あぁ、そうだと思った。
気をつけないとすぐ光の側に立ってしまうのが今のわたしだった。
光の側に立ってしまうと、透明ではないのでネガティブなエネルギーを受けてしまう。そんなことが度々あった。
この本によってもう一度じぶんの在り方を再確認できた。
そして光も闇も確かに存在する島で自分が透明に在るとき、何をみて何を感じるのかがとても楽しみになった。
このバリアンに会ってみたいな〜そんな想いを抱きつつ、あっという間に時は流れ、いよいよ旅立ちの日がやってきた。
光も闇も内包する島へいざ!
朝早い便だったので空港近くに前泊して早朝にホテルのバスで空港へ向かった。
旅に慣れているとはいえ、4年ぶりの海外で内心少しどきどき。
8時15分発のシンガポール行き。安い航空券の為、シンガポールでバリ行きに乗り換える。
トランジットの時間は1時間半。少しでも飛行機が遅れると乗り遅れてしまうギリギリの時間だけどなぜか絶対大丈夫という自信があった。
しかし。成田空港の手荷物検査のゲートはどういう訳か7時にしか開かず、のんびり7時にゲートに向かうとすでに長蛇の列!
大人しく並ぶもなかなか進まない列。近づく搭乗時間。焦る気持ち。
大丈夫だと知っているじぶんと、だけどもう搭乗時間だよ!と焦る自分。
旅では想定外のことが簡単に起こるからおもしろい。
そんなプチピンチの時こそじぶんの心を観察する絶好のチャンスなのだ。
慣れ親しんだ安全な日常から抜けるとプチピンチは起きやすく、手放すべきものがクリアにみえる。
無事に乗れた。
乗客はほぼ搭乗時間に遅れた。なぜならみんな荷物検査の長蛇の列に巻き込まれていたから。
だけどなぜか予定の時間通り離陸できた。うれしい。
シンガポールでの乗り継ぎもスムーズに済み搭乗口で待っていると、「飛行機遅れます、sorry」のアナウンス。
結局シンガポールからのフライトは1時間弱の遅れ。またしても焦る自分が顔をのぞかせる。
なぜなら今回初めて空港に迎えのタクシーを手配していたからなのだ。
よく空港には名前の書いたサインボードを両手に抱え待っているお迎えのドライバーがたくさんいて、
それに憧れていたわたしは今回「お迎えを頼んでみちゃおう!」と日本から予約していたのだった。
今までの旅は着いた空港でプリペイドタクシーのカウンターに行ってそこからタクシーに乗ってホテルに向かうのが常だったけど、
着いた瞬間に待っててくれる人がいるってなんかいいよね。と思った。
しかし!約束の時間から1時間近く遅れてしまう。
一応フライト名は伝えてあり、到着の時間に合わせて来てくれるということになっていたけど、海外のこと。
時間や約束がきっちりしている日本ではないのだ。フライトの遅れを随時チェックしてくれているかは怪しいと思った。
ま、なるようになるか。と1時間遅れたおかげで見れた夕陽を見ながら「どんな旅になるだろう」とわくわく。
機内でオーダーしたあたたかい紅茶とビスコッティを片手に優雅にフライトを楽しんだ。
迎えがいない。
そして無事飛行機はバリに着いた。時間は夜19時過ぎ。
入国審査は自動ゲート化されており、パスポートを置くだけで完了。以前のように入国のために長い列に並ぶ必要がなくとってもスムーズだった。
さぁ!このスムーズな流れのまま、お迎えは来てるかな?とどきどきしながら待ち合わせの場所へ。
、、、。
、、、いない。何度見てもいない。
「hiromi」のサインボードない。
ドライバーとはWhat's upという日本でいうLINEのようなアプリで連絡が取れることになっていた。
しかしWhat's upを開こうとすると、なぜか警告のメッセージが出て使えない。連絡をとる術もなく、もう少し待ってみることに。。
・
とにもかくにもわたしの旅ははじまった。文化も言葉も何も知らない世界への旅。
わたしの少しの心配、不安が作り出したこの現実。
さぁ、果たしてお迎えは来るのでしょうか?
>>【#2】へつづく。