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事業立ち上げで絶対に失敗しないための「ユーザーヒアリング」5つのポイント

事業が失敗するいちばんの原因は、誰も欲しがらないサービス・プロダクトを作ってしまうことです。

「あたりまえじゃん!」と思うかもしれません。

でも、ユーザーが「お金を払ってでも欲しい!」と思えるサービス・プロダクトを、最初から完璧につくれる人なんてほとんどいないのです。

そこでめちゃくちゃ大切なのが「ユーザーヒアリング」で仮説検証していくこと。

サービスをただの「思い込み」で開発すると、ユーザーが求めていない機能にまで時間を割いてしまうことになります。そういう「ムダ」を極力少なくすることが、事業立ち上げを成功させるためには大切なのです。

そこで今回は、事業立ち上げで絶対に失敗しないための「ユーザーヒアリング」について、5つのポイントでまとめてみました! 

すでに経験のある人にとっては当たり前かもしれませんが、これから事業をはじめる方にとっては「これさえ押さえておけば完璧!」という内容なのではないかと思っています。

1.必ず「仮説」をもってヒアリングする

まず大前提として、ユーザーヒアリングにはなにかしらの「仮説」を持って臨むことが大切です。ダメなのが「とりあえず、ちょっと話を聞いてみよう」というパターン。仮説のないユーザーヒアリングには意味がありません。

仮説は大きく分けて、次の2つを考えておきます。

1.課題に関する仮説
「ユーザーはこんなことに困っているのではないか?」という仮説です。「その仮説が正しいか、正しくないかを判断する基準」はなにか、まで考えておくのが大切です。

2.解決策に関する仮説
「ユーザーの困りごとは、こういったサービスで解決できるのではないか?」という仮説です。こちらも同じく「その仮説が正しいか、正しくないかを判断する基準」まで考えておきましょう。

2.大きな前提から検証する

仮説を立てたら、インタビューで検証していきます。

そのときに大切なのは「大きな前提から検証していく」ことです。

大きな前提とは「このサービスを成り立たせるために、絶対に必要な要素」のこと。

たとえば、こちらのブログで紹介されている「Obremo」というサービス。ペットのいまの体調に合った、商品や情報の提案をしてくれるものです。

このサービスで「大きな前提」となるのは、ユーザーへ適切な提案をするためのデータとして、ペットのコンディションの変化を飼い主にこまめに記録してもらうこと。

そこでまずは「ユーザーは本当にそんな行動を起こすのか?」を、ユーザーインタビューで検証したのだそうです。

ぼくも自社の事業を立ち上げるとき、この考え方をすごく参考にさせてもらいました。

「事業の前提になる要素」を洗い出し、そのなかにも優先順位をつけていく。そして「これがダメだったら、そもそも事業が成り立たない」という要素から検証をするのがポイントです。

3.「見せかけの課題」に気をつける

ヒアリングをしていると「それっぽい課題」が出てくることがあります。しかし、それが「ホンモノの課題」か「見せかけの課題」か? をきちんと判断しないと、大変なことになります。

見せかけの課題に気づかないまま開発すると「サービスはつくったけど、お客さんがお金を出してくれませんでした」という悲劇が生まれてしまうのです。

見せかけの課題にだまされないコツは、ユーザーが口にすることよりも「行動」を信じること。

インサイトは言葉ではなく「行動」に隠れているのです。

そして「行動」を引き出すためには、下記のような「聞き込みインタビュー」をするといいでしょう。「相手の意見」ではなく「過去の事実」だけを聞いていくインタビュー方法です。

注意すべき点としては、この2つ。
・相手の話を聞くことに徹し、自分たちのプロダクトの話をしない
・具体例のみ話す。「もし」「〜と仮定すると」という聞き方はしない

「〜という課題はありますか?」という問いは危険です。まったく課題がないパターンというのは少なく、たいていの場合「まぁ、あるっちゃあります」と言われます。しかしそれは「見せかけの課題」である可能性が高いです。

「課題のある・なし」ではなく「課題の重要度合い」を確認しましょう。

以下に、具体的な質問例も載せておきます。

・いまxxをしていて、なにがいちばん大変ですか?
・最近、その課題に直面したときのことを教えてください。
・それはなぜ大変なんですか?
・その課題を解こうと思ったことはありますか? その際は、どのような解決策を試しましたか?
・なぜその解決策ではだめだったのですか?

行動をヒアリングすると、「課題の重要度合い」がわかります。レベルが上がるほど、見せかけではなく「ホンモノの課題」である可能性が高いです。

レベル1:課題に感じてはいるけど、特になにもしていない・諦めている
レベル2:課題解決のために、すでに労力や時間を費やしている
レベル3:別の解決策にコストをかけて、ひとまずの対処をしている
レベル4:いまの解決策では満足できず、よりいい解決策を探している

レベル3、レベル4が理想的な課題感。このような課題が見つかったら、それを解決するためのサービスを作り込んでいきましょう。

4.解決策をユーザーに考えさせない

ユーザーヒアリングは確かに大切です。ただし、ユーザーの声はあくまで「ヒント」です。ユーザーに言われるがまま商品をつくってはいけません。

ヘンリー・フォードの有名な言葉があります。

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。”

もしフォードが「顧客の声」をそのまま聞いて事業をつくっていたら、自動車を大量生産するT型フォードの仕組みは生まれなかったわけです。

ユーザーヒアリングをもとに自分たちで洞察して「ユーザーがまだ気づいていないけど、本当に求めているもの」をつくるのが、ぼくらの仕事です。

課題やニーズをそのまま受け止めるのではなく、「その課題の原因はなんなのか?」「そのニーズを阻害する要因はなんなのか?」と、とにかく深掘りしなければいけません。

そのために大切なのが、ヒアリングでは必ず「具体的なプロトタイプ」をぶつけること。具体をぶつけないと、具体的なフィードバックはかえってこないからです。

僕はいつも「Figma」というツールを使って、サービスのプロトタイプをつくってヒアリングをしています。

Figmaプロトタイプのイメージ図

ヒアリングでは、1回あたりの「学習量」をどれだけ増やせるかが勝負。

必ず「具体」をユーザーにぶつけて、質のいいフィードバックを引き出しましょう。

5.最後の壁は「価格」

ユーザーヒアリングの最後の壁は「価格」です。

「このサービス(価値)を、◯◯円で買うか?」という問いに対して「YES」と言ってもらうことを目指します。

そもそも、1万円のものを買うときと、1000万円のものを買うときだと、判断基準がまるで違います。シビアな意思決定を迫られるほど、深い本音が出てきやすくなります。

基本的に値下げは想定せず、その価格に見合った価値を生み出すことを目指しましょう。

また、基本的に現場には「現状維持の引力」が働くものです。

「別にいま使ってるサービスでよくない?」「いまやる必要あるんだっけ?」
……このような問いを跳ね返せるぐらい、プロダクトの価値を作り込むのが大切です。

ときには「YES」と言ってもらうべき相手が2人以上いることもあります。特にBtoBの業界だと「実際にプロダクトを使う人」と「意思決定者」が違うことも多いです。現場の担当者と決済者では、視点も違うので注意しましょう。

まとめると、売れる事業をつくるには

プロダクトの提供価値 >> 現状維持の引力・プロダクトの価格・代替手段 etc…

このような価値構造を生み出さないといけないのです。

ユーザーヒアリングの質が高いほど、事業立ち上げは成功しやすくなります。

適切な仮説検証をして「これはお金を払ってでも欲しい!」と思われるプロダクトを、最速でつくっていきましょう!

(参考記事)

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鶴岡 友也/BLUEPRINT Holdings CTO
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