"実社会の経験値"を教室に持ち込もう!社会人と創る実践的PBL
あなたはPBLの準備に悩んでいませんか?
PBL(Project-Based Learning)の準備には多くの時間と労力がかかりますよね。プログラムの企画をされている方や教師の方々は、教室や講義以外のことで手一杯になって準備の時間確保が難しいと感じていませんか?
もし、準備段階での負担を少しでも軽減できる方法があるとしたらどうでしょうか。
この記事では、PBLの企画や準備を教育関係者以外の社会人に任せることで得られるメリットと、その効率的な実践方法について紹介します。
社会人はPBLの企画や準備に適している。その理由とは
PBLでは、解決すべき課題をどう設定するか、どのように解決課題のサポートをするかは重要です。
しかし、このプロセスは簡単ではありません。とくに課題解決には専門外の知識を必要とすることもあるので、あなたが今、身を置いている教育現場だけで完結するのは難しいことがあります。
そこで頼りになるのが、実社会でさまざまな課題解決の経験を持つ社会人です。
社会人は日々の実務で培った問題解決力を持っています。
何をすべきか、どうアプローチするか、必要な資源をどう確保するか―――この実践的なスキルは、まさに現場での経験から得たものです。
営業マンからエンジニア、コンサルタントや弁護士まで、各分野のプロフェッショナルは問題解決の達人です。
さらに、プロジェクト管理や社内調整のスキルも、ビジネスの現場では貴重な財産。
彼らの知見をPBLに活かすことで、学生の課題解決に強力な後押しができるのです。
PBLにおける社会人の具体的な役割とは?
PBLでは、学習者と教師以外にも多くの人々が関わります。特に、次のような役割は社会人が大きな力を発揮します。
メンター(特定分野の専門家)
メンターは、特定の分野で豊富な知識を持つ専門家です。学生たちが取り組む課題に対して、実際のビジネスや社会の現場でどのように対応するかを教えます。たとえば、企業のプロジェクトマネージャーがメンターとなれば、計画の立て方やプロジェクトの進行方法を具体的に指導できます。現場の専門家(実務経験者)
現場で活躍する社会人は、課題に直面した際のリアルな対応方法を知っています。IT技術者、起業家などが該当します。彼らの体験談や具体例を通じて、学習者はより深い理解が得られます。ファシリテーター(学習プロセスのサポート)
ファシリテーターは、学生が学習プロセスを効果的に進められるようにサポートします。学生の話し合いを活性化させる役割を持つため、円滑なPBLの進行に欠かせません。たとえば、会議のファシリテーションに長けた社会人が関わることで、ディスカッションの質が格段に向上します。事務局(全体の取りまとめ)
PBLは複数の人が関与する複雑なプロジェクトです。そのため、事務的な調整役も重要です。社会人経験者が事務局として参加することで、日程調整や資料準備など全体のコーディネートの負担が大幅に軽減されます。
適切な社会人の発掘は難しい?その理由と解決策
PBLにおける社会人の役割が重要であることは分かりましたが、適切な人材を見つけるのは簡単ではありません。特に、次のような課題が多くの教育現場で見られるようです。
人材の選定が難しい
適切な社会人を探し出すには、専門知識や業務経験だけでなく、教育への理解やコミュニケーション能力も求められます。しかし、このような人材を短期間で見つけるのは難しく、つい従来の人材や知り合いに頼ってしまうことがあります。
時間の捻出が難しい
教育現場は、既存の授業やその他の業務で忙しく、人材を探す時間を捻出するのが難しい状況です。その結果、新しい社会人を積極的にリクルートする余裕がなく、限られたネットワーク内で人材を探すことになります。
デューデリジェンス(適性確認)の不足
社会人の専門性や教育現場での適応力をしっかりと見極めるプロセスが不足していることも課題です。この手続きがないままでは、期待する役割を十分に果たせない可能性があります。
このような状況が続くと、結局毎年同じような人材に頼ることになり、PBLの内容や質が代わり映えしない結果になりがちです。
適切な社会人を見つける方法
PBL(Project-Based Learning)の教育現場では、さまざまな背景を持つ社会人との連携が鍵となります。以下の3つのポイントに注目することで、より幅広い社会人とつながりやすくなります。
1.特定分野の専門知識を持ち、地域のつながりを求める士業や専門職を探す
弁護士、税理士、社労士、ITエンジニア、デザイナーなどの専門職は、自身の知識を地域に役立てたいと考えていますが、営業や広報が得意ではないことがあります。地域の商工会やビジネスネットワーク、業界の勉強会などを通じて、PBLの活動内容を具体的に伝えると、彼らの参加意欲を引き出しやすくなります。たとえば、「学生とプロジェクトを通じて知識を共有できる場」を提供すると、彼らの関心を引きやすいです。
2.若い世代に知識や経験を伝えたい中高年を探す
定年退職後の人々は、若者に知識や経験を伝えたいと考えていることが多く、SNSやオンラインコミュニティでの活動も見られます。たとえば、オンライン読書会やYouTubeでの知識共有などです。こうした人々にアプローチする際は、「学生がリアルな体験談やアドバイスを直接得られる機会がある」と具体的に伝えると、PBLへの参加に関心を持ちやすくなります。
3.学生を応援したい、地域のビジネスパーソンを探す
地域の企業で働くビジネスパーソンや地元のビジネスオーナーは、地元の若者の成長に関心を持っていることが多いです。商工会やキャリアイベント、異業種交流会などで出会うことができ、PBLに「学生が現実のビジネス課題に取り組む場がある」と伝えることで、協力を得やすくなります。彼らの実務経験を通じたアドバイスは、PBLにとって貴重な学びの機会となります。
PBLの教育現場で適切な社会人を見つけるには、地域に根ざした多様な人々との連携を意識し、士業や専門職、退職後の中高年、そして地域のビジネスパーソンなど、さまざまな層にアプローチすることが重要です。
SNSやオンライン、地域のネットワークを通じた幅広い接点を持つことで、より多様な協力者とつながることができます。これにより、PBLのプロジェクトが実践的で豊かな学びの場となり、学生たちの成長に大きく寄与することができるでしょう。
まとめ:PBLの準備を効率化しよう
今回は、「PBLの準備は教育関係者以外の社会人に任せれば効率が良い」というテーマでお話ししました。PBLを円滑に進めるためには、外部の力をうまく活用することがポイントです。
おしらせ
「バブル入社組」の私が退職後に出会ったPBL(プロジェクト型授業)。
そこで気づいたのは、特別な資格がなくても、あなたの経験やスキルが未来に繋がるということ。
その学びを活かし、50代60代のスキルを新しい形で活かす方法を「あなたのスキルの活かし方」としてまとめました。
これからのキャリアや社会との新しい関わり方を考えるきっかけとして、ぜひお手に取ってみてください。