恵比寿駅の近場でトイレ巡り
JR恵比寿駅西口に佐藤可士和さんデザインの公衆トイレが出来ている。交番の隣に現れた白い箱。THE TOKYO TOILETのひとつです。役所広司さんが主演したヴィム・ヴェンダース監督『パーフェクト・デイズ』の舞台になった渋谷区内17ヵ所のトイレプロジェクトから、いくつかをご紹介します。
30年にわたるヒルサイドテラスの建築と、代官山の街づくりで有名な槇文彦さんがデザインしたのが、恵比寿東公園トイレです。赤いタコ形の滑り台がある通称タコ公園に生まれた、明るく軽やかな通称イカトイレ?
屋根のなだらかなカーブと白い色、たしかにイカです。こんなカラッとしたユーモアも、暗く薄汚れた公衆トイレのイメージを一新しています。白い壁と曲面の屋根の間は、ポリカーボネイトのような薄いブルーの半透明な天窓。明るい光が内部にあふれる。夜は明かりが外に漏れて行燈のように。
NYで活躍するプロダクトデザイナー田村菜穂さんによる東三丁目公衆トイレ。JR山手線沿いの細く狭い隙間に建った、ハッと目が覚めるような造形。日本の贈り物文化のシンボルである折形からインスピレーションを得たそうです。世界からやってくる人たちへのオモテナシの気持ちを表しています。
駒沢通りから少し入ったところに、片山正通/ワンダーウォールがデザインした恵比寿公園トイレがある。まるで焼き杉板のように木目の凹凸までキレイに再現した美しいコンクリート打ちっ放し。重厚感もあるのだけれど、木に包まれるような温かさと安心感がうれしい公衆トイレです。
さすが世界で活躍するインテリアデザイナー。内部の壁も外と同じく美しい、木目が浮き出たコンクリートです。壁と壁の間を男性用/女性用/ユニバーサル・トイレという3つの空間にアプローチする迷路のような導入部に。トイレでありながら、街角のおもしろいオブジェクトでもある。