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kamukamu_note
名前も存在も知らない誰かのためにコーヒーを買うなんて
通りすがりの旅人が
誰かの好意を喜んで
美味しいコーヒー飲みました
5年ぶりに鋸山に登った旅人は、うろ覚えの記憶の中、山に入った。かつての思い出の植物やツリーハウスを求めて。
しかし、その登山道は、印象とは違っていた。
登山道の表記通りに進み、いくつかのスポットを懐かしみ、地獄を覗き、日本一の大仏も見た。
でも、見ようと思っていた風景が見つからず、失意のまま下山した・・・。
保田駅前に着くと、目の前で電車が行ってしまった・・・。
次の電車は1時間先・・・。
風鈴の音が聞こえる、駅の目の前にあるカフェ?に入った。
「CAFE」と手書きで書いてあったが、「カフェ?」と思いながら入った。
正面に備え付けてある看板に、少し怖じ気づいた。
店内は、外からの印象と全く違う「異世界」だった。
現金がないので、カードの使用可否を聞いた。
マジか。クレジットカード使えないだって・・・??
こんな田舎だからしょうがないか。
いや、田舎だからこそ、現金から脱却できるはずだ。
怠慢だろ。
店主がひとこと「チケット使う?」
チケット? ここで使える現金がないんだ。話聞いてるのか・・・。
「もう払ってあるから」「ちぎるだけ」
何を言ってるんだ。
壁に貼られたコーヒーチケットを1枚もぎる。
「パクチーコーヒーにしとこうか」
なんなんだ。
言われたとおり、カウンタに座った。5分ほどして、目の前にとてもいい香りのコーヒが届いた。
「ペイフォワードっていう仕組みがあってね」
理解してもしなくてもいいと言われたが、目の前のコーヒーがどこから来たのかを知りたいと思い、話を聞いた。
今日は一日、ロクなことがないと思っていた。
でもそれは勝手な思い込みだった。
名前も存在も知らない誰かのために、コーヒーを買うなんて。
素晴らしいじゃないか。
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