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「色の好みと性格の関係」の最新研究/好みに与える影響の範囲
2023年の色彩研究会のオンライン忘年会でも少し触れましたが、「色の好みに与える影響」について、2023年に出てきた最新研究を少し詳しく解説したいと思います。そして、そこから見えてくる「色と性格の関係」について少し詳しい考察をしていきたいと思います。できるだけわかりやすく簡潔に説明します。そこには日本ならではの面白い影響が見られそうです。
私たちは色の影響を日々受けています。色を見て色の好みが変化したり、色彩感覚が発達するのですが、生物学的に根付いた傾向や社会文化的に学習された経験など、複数の要因が関与していると考えられ、そのメカニズムは実に複雑で、個人差も大きいと考えられます。
人が好きな色というのは様々なものの影響を受けて作られると考えられています。主要な要因を紹介します。
1. 文化・宗教・歴史的な背景の違い
宗教の力が強い国などは、宗教的が色彩イメージにまで影響を与えます。たとえば、イスラム教圏の緑。緑はイスラム教にとって神聖で特別な色であるのです。イスラム教が国の宗教になっている中近東は、ほとんどの国の国旗に緑が使われている。当然、このような国では緑のイメージが悪いわけがない。日本では「冠位十二階」の最高位色が濃紫だったように、高貴な色として長い間、良質なイメージが続いている国もります。
2. 太陽光(照度)の違い
実は色の見え方は世界共通ではありません。地域(緯度)によって美しく見える色が異なります。赤道を中心とした熱帯の地域では、太陽光は赤、橙、黄色といった色みを帯びる。その結果、赤道近くの国では、明度や彩度の高い暖色がきれいに見えて好まれます。
3. 空気の透明度の違い
空気中にある埃や水分が太陽光の照度や光の波長に影響を与え、色の見え方を変えてしまいます。乾燥した地域は空気中に障害物がないので、光は持っている波長そのままで地上に到達し、明るく澄んだ色に見えます。ところが、湿度が高い場所や雪が多いような場所は、光に濁色効果を与えてしまうのです。北欧やロシアなどの北に位置して、さらに空気が悪く曇りが続くような地域は、低彩度の色、くすんだ色に慣れ、これらの色が好まれる傾向にある(反発する嗜好もあります)。ロシア人の色の嗜好1位が黒であるのも納得です。
4. 背景色の違い
色をきれいに見せるには、その土地の風土、環境も大きな要因です。ギリシアやイタリア南部では、家の壁が白く塗られることが多くあります。これは反射率の高い白を使うことで、太陽の光をはね返す生活の知恵であり(白い石灰が豊富に産出されることもあるが)、透き通るような青い海と紺碧の空が作るコントラストが、美しい景観を作るからでもあるのです。
5. 遺伝要素(先天的要素)
女性が赤やピンクを好むことを例に取りますと、それは文化的要因より生物学的要因による可能性が高いという説もあります。人類の進化過程で、女性は果実などを採集する生活に適応し、果実が熟していることを示す赤みに敏感になったというものです。
6. 単純接触効果(後天的要素)
女性がピンクを好むのは、子どもの頃から女の子ということでピンク系のものを着せられます。その結果、接触時間の長いものに好意を持つという現象が生じます。男性も同じように青いものを与えられて育ちます。好きな色の調査をすると長年、女性の1位はピンクですし、男性の1位は青です。最近多様化する中で、子どもの頃かに多彩な色を与えられてきた結果、面白いことに女性の1位はピンクがゆらぎはじめています。
まだあります。
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