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「かわいい」の作り方(認知心理学・デザインの科学)

ポーポー・ポロダクションは人がデザインをどう捉えて解釈し、どう評価するのか、デザインの何に魅力を感じたり、何に反応するのかを紐解いていきたいと考えて研究しています。

たとえば「かわいい」という言葉。「かわいい」と言われる評価の基準を探し出し、何に対して人は「かわいい」と評価するのかなどを解き明かそうと研究してきました。そして一定の法則を解明しています。この法則を知っているのと知らないのでは「かわいい」の作り方が明らかに違います。感覚ではなく論理的に「かわいい」を作ることが可能です。

そもそもポーポーがなぜ「かわいい」を解明しようとしたかといいますとそこには強い動機があります。ある日、電車の中で女子高生が「北海道と九州だったら、北海道のほうがかわいいよね」という言葉を聞いたのです。私は正直、衝撃を受けました。彼女たちのこの多感な感性はいったい何なのだ?北海道の何を見て「かわいい」と評しているのか? 北海道にあって九州にない形とは何なのか? 私はとても興味深く感じました。そしてこの謎を感覚ではなく、論理的に解明したいと考えました。

このコラムはポーポー・ポロダクションの書籍『デザインを科学する』の「イメージの根拠を探る/かわいいデザインとは?」にさらに新しいデータを加えて、加筆して再編集したものです。『デザインを科学する』は大学のデザイン学部の必読図書にも選ばれているデザインを科学的なアプローチで解明した書籍です。

本コラムのもくじ

1 「かわいい」の調査方法。どのように「かわいい」を解明したのか?
2 「かわいい」の法則(平面デザインにおける「かわいい」の作り方)
3 「かわいい」理論の応用(「エロカワイイ」「ブスカワイイ」「きれかわ」「おにかわ」)

1 「かわいい」の調査方法。どのように「かわいい」を解明したのか?

本来の「かわいい」の作り方とは直接関係ありませんが、調査・分析の過程は根拠となる大事な部分であると考えています。少々、数学的にややこしい部分もありますので、概要を簡潔に説明します。分析には2回の調査をおこないました。2回とも様々なデザイン画を用意(調査1では白黒のデザイン画24種類、調査2ではカラーのデザイン画30種類)しました。そのデザイン画の中から「かわいい」と感じるデザイン画を選んでもらいます(185人/10代〜60代)。全てのデザイン画には31項目からなる物理特性(色数・色の彩度差・絵柄同士の接点面積・絵柄同士の最小距離・絵柄面積比率など)を全て数値化してあります。そして重回帰分析をおこない「かわいい」を説明する予想式を作りました。その結果、相関係数「0.73」というわりと高い相関関係を得ました。

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そうしてどんなものが「かわいい」を作っているのかを解明していきました。柄が小さいからかわいいと感じるとか、ピンクだからかわいいと感じるとかそんな単純なものではないことがわかりました。では次に本コラムの本題となります人が何に対して「かわいい」と感じるのかをまとめ「かわいい」の法則、作り方を解説します。

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