光と色彩の画家 ヨハネス・フェルメール
歴史の中で色彩を彩ってきた画家たちにスポットをあてて、色彩の話をしていきたいと思います。芸術と言うと敷居が高く感じてしまいますが、綺麗な絵を眺めてみながら色の話をする。そんな感じで良いと思います。あまり専門的な話よりも、色の知識の延長として研究員のみなさんに画家と色の話を知っていただきたいと思います。
ヨハネス・フェルメール(1632年〜1675年)の同時代のオランダには、あの著名なレンブラント(1606年〜1669年)がいます。ふたりは共にバロック期を代表する画家として日本でも広く知られています。バロック期とは、16世紀末から17世紀初頭にかけイタリアのローマからヨーロッパの大部分へと広まった美術と文化の様式です。16世紀までの装飾的で均衡のとれたルネッサンスとは対照的に、均衡を崩した豪華絢爛な美が広がっていきました。
フェルメールは現存が確認されている絵画が33〜36点と少なく、資料もあまりない謎多き画家とも言われています。左側に窓があり、窓から入ってくる光が作り出す繊細な色彩の描写が特徴的です。
彼の代表作『真珠の耳飾りの少女』は日本でも馴染みのある作品で、この絵画の作者といえば知っている人も多いかもしれません。フェルメールが30代の作品と言われていますが、研究家の間でも諸説があり、はっきりしていません。この女性が誰なのか、恋人なのか、妻、娘、ただの知り合い、妄想、と様々な説がありますが真相はわかっていません。『青いターバンの少女』と別名があるように、特徴的な「青」が使われています。光と陰で注目して欲しいのが唇です。光に反射した唇が濡れた質感を出しています。この現代的な表現が独創的と言われることもあります。
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