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将棋教室で怒る時を考える

想像してください。


身長200センチ近く、体重100キロ近い人間が、子供達と椅子を挟んで向き合っている所を想像してみて下さい。





はい、字面だけだと不審者です。相当怖いと思います。
有名人で調べてみました。同じ身長の有名人。

「エストニアの怪人」把瑠都

「THE GOLDEN BOY」バダ・ハリ
K-1選手ですね
ゴリ
バスケは少し。
ポジションはセンターで同じでした。

・・・親御さんが心配になります。よく預けましたね。(どの口がいうのか)

…という風に客観的にみて怖いだろうなぁと思いつつやっている、自称悲しきモンスターことポールです。こんにちは。
自分ではそう思いつつも、子ども達には登られたり不意のなぞなぞを出されたり、勝手に別ルール作り出すなど、悪く言えば舐められている始末でございます。



なんだかんだで2022年の9月終わって10月でちっさなちっさな将棋教室スタートして3年半となります。おかげ様でなんとか続けていっております。

前回記事も思った以上に見て頂きありがとうございます。
で、その続きというか、上記記事の後の出来事って感じで書いて行きます。

あれから


夏場に入るか入らないかの6月頃から、怒涛の体験ラッシュに襲われた。
午前中、午後の回にも体験でどかどかっと来た。ワンオペ体制の身には非常に堪える、前日から気合を入れないと出来ないパワーのいる体験というオペレーションが毎週ズバズバと入ってくるわけです。

8月の終わりには3人いっぺんに体験という。いやーなかなか厳しい中で良くこなした。。。というか体験の対応はある程度定型化しているので、その中で既存のスケジュールを回すって事が大変なんですが。

ということで、参加人数がどんと伸びました。10月現在過去最高人数です。
午前中のクラスは満員御礼・・・っていうかオーバー気味。体験もストップでキャンセル待ちの状態です。てかまだ需要あんのかい。午後のクラスも後1~2人で満員という所。

生徒1人から始めたところから、よくまぁこうして増えたもので、よく人数キープ出来ているっていうのもまたね。。
こうやって人が集まってくれる事に感謝しつつ、可能な限り頑張って続けて行かなきゃなぁという所でございます。




で、新しい人がどかっと入ると、何が一番不安に感じたか。
「治安」です。はい。

特に子供ですとまだ小学校低学年、落ち着かない事ばかりで、他の事に気を取られ集中力は皆無なお年頃。
それらが複数同時発生する為、どう考えても腕2本では足りない。Twitterで良く私が、「腕があと6本欲しい、アシュラマンになりたい」と言っていたのはその為です。

一番大変な事は、一人が騒ぎ出すとそれに共鳴して皆楽しくなっちゃうみたいのね。いっぺん起きると収集を付けるのも一苦労なワケです。カルチャーセンターの方に小学校の先生みたいってよく言われる始末です。教職持ってないのに。


たまーに応援という事で教えに来てくれる方もいてくれて、その時の有難さったら無いんですわ。しかし毎度という訳では無い。

そんな一人でやる状態で、元気いっぱいの子供達を相手に、自分なりの教室での変えていった事を少し書いてみたいと思います。

人が増えて変えた事

①教室ルールの作成

はい、今までありませんでした。明解なルール。
というか私の感覚だよりになっていた部分が大きいというのが正確な所。「この教室は何をするところである」というのを分かり易くする必要があり、また「何をしてはいけないか」も同じく分かり易くしないといけない。

という事で、簡単ではあるが作ってみた。

ごちゃごちゃ作っても私も分からなくなるので4つです。

1,挨拶をきちんとしよう

将棋をやる以前に、教室入って来たら「おはようございます」
教室の始まりや対局を始める時は「よろしくお願いします」
対局で勝った時は「ありがとうございました」
対局で負けてしまった時は「負けました」
教室終わる時にも「ありがとうございました」

基本的な事ですが大事な事ですね。
「将棋は基本的に相手がいないと「対局」出来ないものなので、常に対局をしてくれる相手に対して感謝をすること。その上で相手に失礼の無いように自分なりに頑張ること」という風に言っています。

何の挨拶もなくパパッと始めちゃうことはあるんです。そういう時でも挨拶をしてからにしなさい、と言って戻して最初から。
対局勝った時に「あっざーす」とか「いぇーい!勝ちました!」とかはいかんぞと。笑っちゃったけど。
野球部上がり故に聞き取れない挨拶容認しがちですが、今将棋なので。
強豪校の挨拶リスニング難易度高すぎ問題ね。済美高校とか。

普段の生活からもそうですけれど、出来てて損が無い事でもありますので、習慣付いて欲しいなと思うのもひとつです。


大人でも出来ていない人時々いますね?(自戒を込めて)

2,道具を大事にすること

「君たちが使う盤や駒は、遊びの道具ではあるけどおもちゃではないし、乱暴に扱ってはいけないよ。
何事もそうだけど、使う道具を大事にしないと絶対に上達はしません。
また遊びの道具ではあるけど、同時に真剣勝負をする道具でもあるのよ。次の人がちゃんと使えるようにしておくこと。」

はい、ここ私のブチギレポイントでした。

ちょっとだけ愚痴っぽくなります。
少なくとも私財を投じてやっている教室なので、大体は私の私物なわけです。それらを乱暴に扱われるっていうのは、まぁ堪える。道具の中には人から譲って頂いたものもあるので余計ですね。
子ども達が対局中に楽しくなっちゃって駒を投げたり、駒を隣の席のものと混ざってしまったり、折れ盤を乱暴に曲げたりしてくれちゃったり。

そいつらを邪険に扱われたもんなら、まぁダメです(苦笑)
私も聖人でも無いので超頭にくるわけです。それが子供だったとしても大事な道具達なのです。

後は「使う道具を大事にしないと絶対に上達はしません。」っていうのは経験上というか、色々競技をやってきて見てきた所感。
上手な人のグローブやスパイクは共通していつでも手入れされている。
形を正しく整える、汚れがあれば落とす、綺麗に磨く、使わせてくれたことに感謝する。
大事にすればするだけ、道具は答えてくれるものだと思っています。
そうホイホイ見返りが来るもんでは無くて、何かの大一番とかそういう場面でふとした時とか、そういうもの。

将棋でも同じように思っている。教室の道具にそこまで気持ち込めろっていうのは無理なので、せめて最低限でいいから乱雑に扱わない、使うべき用途でちゃんと使うという事を守ってねと。


自戒の為に書いて置くと、駒投げていた時は流石に怒りました。
怒鳴るとかでは無くて声色を変えて「そんな使い方をするなら使わなくていいよ」「何度もやるようならもう来なくていいよ」という感じで。

強い言い方をしたよなぁと反省もしつつ、しかしやってはいけない事は示しを付けていく必要がある。ウチの教室でもそうだし、同じことを他でやって欲しくないという思いもあります。
言った後にフォローも忘れずに。そうなった理由は説明は必要。

結果的にはそういう行為をすることは無くなりました。
「あっこういう事をやったら怒られるんだな」って認識で全然よいです。
しかし改めて怒ってしまった事は反省。


3,好き嫌いをしないこと

「なにはともあれ、言われたことを素直にやってみること」
詰将棋の問題や手筋の問題、棋譜並べ、実戦等練習方法はいろいろある中で、初めから特定の練習方法を拒否するってのがよくあります。

定型的なスタート時の教え方を確立していないってのが私の弱い所なんですが、それゆえに個人によって教え方を合わせていくことに注力出来ます。
しかし何がそれぞれにとって分かり易い・覚えやすいってのは、やってみないとわからないw

基本的にはやる気が出る方法、やりたい事がある方法をやっていく。
詰め将棋がやりたい人、対局がやりたい人、やりたい事は皆それぞれ。
しかしそれだけだと分からない事は出てくるもので、別の手段で「なぜこうなっている」かを説明・練習する必要がある。
そうした時に「これはやらない」ってなると私もさぁ困ったとなるわけで。
それが複数人同時発生するとスーパーフル回転でこなして教室終わりには足腰立たなくなっているってこともしばしば。。。

ということで、まずはなんでもやってみて、なんか違いそうだったら色々試してみようという感じ。「これいやだー」って言うものも続けてみるとそのまま楽しく続けるっていうのもよく見てるので。継続は力なりです。

4,角の利きは3万回確認

言う事あります?はい、ありますね。

子ども達からよく聞かれることは、「なんで3万回も確認するの?」と。
別にこの言葉を作ったのは私ではないで、作成者の本位を汲んでいるかどうかって言うのはわかりませんが。

「ずーーーっと将棋やってきて、注意してもしても角の利きってうっかり見逃しちゃうのだ。皆もこれからもやられるだろう。それを少しでも減らすようなおまじないじゃ。そのくらい確認する気持ちで常にいる事ね。」

始めたての子供たちは、激しい将棋が大好きである。落ち着きとは何処へやら。角の交換はバンバン起こるのだ。王手飛車チャンスがビックリするほど見逃されている。

角交換が怖いという人もいる。ただ、落ち着いてみるとチャンスが転がっていることも沢山ある。
角をもった時の自分の得するポイントを知ること、また角を持った時にやっちゃいけないポイントなどを知っているだけでやれる事は沢山出来てくる。
そのくらい角の利きは大事と思えるわけです。

怖がらずに試しにやってみた時の「うおーこんなのあるのか」っていう時の子供らの顔見るの楽しいんですよね(笑


んで、先生は角の利き何回確認したの?って聞かれる。
うん、今まで食べたパンの枚数覚えてる?って返す。

うーん、朝はご飯だからわかんないって。
そうだよな、俺もご飯派だ。


②相性によって席を変える

小学校の席替えの時なんて毎回どうなるか、わくわくしたのか憂鬱だったのかも覚えていないが、皆基本的に好きな席に座りたがる。
ウチでも厳密に決めていたわけでは無いので、皆自然に来た順に座る。そうなると仲良し同士や兄弟同士が隣ってことがまぁ多くなるのですが、同じ並びが2週続かないようにしています。

理由としては、なぜか毎回同じだと隣の人と話してしまい、集中力が明々後日に行ってしまう事がまぁ多いわけです。すぐに話を始めちゃったり、ちょっかい出し始めたり、一緒になってお絵描きを始めたり。課題も出来ておらずそれじゃいかんと。


さてどうしようかと観察をしていると、大体決まったペアでまとまって座っている。別に仲良しでやるのはいいんですが、ここ教室。
実験的にやってみたのが、席をこちらで指定して変えてもらう。出来る限り席が固定にならないようにスタートの席を同じにしない。(私の記憶だよりだけど)

そうすると割と集中してみんな問題を解いてくれるように。気持ち程度だけど。すごく気持ち程度だけど持続している!気がする。

最初に課題のプリントを渡して問題を解いてから対局~という流れにしているので、スタートの集中は大事と考える。問題の難易度は出来る限り完答できるように適宜調整。毎度むずかしいけれど。



③対局時のトラブル対応

これは変えた事っていうか、取らざるを得ない対応って感じ。
どうしても初心者の子供が対局をすると、反則やルール外の事は日常茶飯事なわけです。

例えば、反則(二歩等)をしてしまって局面を崩して分からなくしてしまったり。
それでどっちがどうやったと言い争いになるとかね。

反則しちゃった瞬間をいつでも目が届いて見えるわけではないので、タイムリーにその瞬間を押さえられない。
私、分身の術も残像拳も使えないの。半分こ刀も開発されていないの、悲しい事に。

で、反則云々はやっちゃうことは、マジでしょうがないんですよ。私もやるし。二歩も王手放置も経験あります。

でもここ、将棋教室なんで別にいいのよ。将棋以外のルールは私がルール。我が神なり。時だって戻せる。
貴重な時間を「はい二歩ー!負けー!」で終わらせるのもったいないんで、戻して仕切り直しってことも全然ありなワケで。

ということで、「なんかやっちゃったらすぐ私を呼べ!」ってことにしました。明解!裁定は私判断で全然よし。


ルールを作った事での効果


ひとまずは思いつきで色々考えてみたもので、教室の決まりとして守ってもらってはいますが、ぶっちゃけ何が正解かなんてわかりません。
私の感覚だよりなんで、これから見直しなんて十分にあります。角の利きとか特に。

私にとってルールを決めた事での大きな事は、判断基準が出来た所ですかね。子供らに「やってはいけない事」を決め、やってしまった時にはちゃんと叱る。ダメなものはダメと。
基本的に私は昇られても、お絵描きしても、人の話聞いて無くても基本的には怒る事は無いんですが、多少なりともストレス的なものは感じておかしくは無くて。

「これをやったら一番先生嫌なの、本当にやめて」って事項を固定化して、
判断するところを分かり易くすることで、生徒さんだけでなく私自身のストレスの緩和にはなっているなと少なからず実感しています。
楽だもの。これはよし!これはダメ!おわり。

あーだこーだという事を聞かない子もいますが、長々とやってると懐柔する術もあって、気長に取り組む必要がある。しかしそれも気長にやる必要もあるので、そういう面でも私のメンタル面の改善というのは割と大きな成果だったりします。



しかしねー、あいさつぐらいはちゃんとしたいよね。
将棋であっざーすとかだめですよ。

どうしても出来なかったら、私の復唱させるからね。
伊達に野球部やら消防隊やらで声枯らして叫んで無いですよ。

おはようございます!!!!  
子ども「おはようございます!!!!!」

よろしくおねがいします!!!!
子ども「よろしくおねがいします!!!!」

ありがとうございました!!!!!
子ども「ありがとうございました!!!!!」

角の利きは!!!!
子ども「三万回確認!!!!!!」

書いてて思う。
ここまで仕込むのは重症だ。


しかしながら、色んな競技がある中で将棋を折角選んできているんだから、何かしらの気付きやら学びは得て欲しいところ。

今年もあと少し。
年末の大仕事も残っているので、気張って頑張りたいと思います。

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