過去10年の歴史からブームを探る!スイーツトレンドヒストリー
毎年新しいスイーツが登場するスイーツ業界。たくさん生まれたものの中には一大ブームとなるものもあればすぐに消えていくものもあります。日本の数あるトレンドスイーツの中には、世界各国のパティシエのアイデアが大きく花開き、熱狂的に広まったものも。流行ったといえば、なんとなく記憶にあるあのスイーツ。実際何年ごろに流行っていたのでしょうか?そんなスイーツトレンドを、ここ最近の10年分振り返ってみました!
2008年/塩スイーツ
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10年前に流行ったのが塩を使ったスイーツ。キャラメルやチョコレート、プリン、アイスクリームなど、さまざまなお菓子に塩が使われ、飲食店のドリンクメニューにも登場しました。始まりはフランスの有名パティシエが作った塩キャラメルと言われています。甘いベースに塩を加えることで素材の味や甘味が引き立てられ、多くの人々を魅了しました。 塩スイーツがすぐに受け入れられたのは、日本では古くから塩饅頭や塩飴、塩羊羹といった和菓子があるからかもしれません。
2009年/抹茶スイーツ
出典:http://www.sadaharuaoki.jp/
日本ならではのスイーツと言えば抹茶を使ったもの。抹茶=京都(宇治)、静岡、というイメージで甘味処で食べるものという印象だったものが、和・洋菓子店はもちろん、カフェやコンビニでも、日々の生活で見ないことはない存在になりました。 老若男女問わず大ブームとなった抹茶。海外のパティスリーにも広がり、パティスリー・サダハル・アオキはマカロンに初めて抹茶を取り入れ話題に。最近では、日本を旅行する海外の観光客に抹茶スイーツが大人気。お土産物店やドラッグストアなどでも品揃えが充実しています。
2010年/生スイーツ&ロールケーキ
出典:http://www.kashuen-moricho.co.jp/
焼き菓子はしっかり焼き上げてなんぼという概念を覆したのが半熟状態を味わうという生スイーツ。生カステラの「とろける」味わいがおいしいと飛躍的に広がり、舌触りの良さから「生」が新しいトレンドに。また、焼き菓子に限らず、生チョコレートや生キャラメル、生コンフィチュール、生大福など、「生」をうたったスイーツがブームとして広がりを見せました。兵庫県明石市を中心とするエリアでは、ブーム前から半生状態のベビーカステラ「福玉焼」を売る屋台が人気で、戦後まもなくから食べられている昔なじみの味だそうです。
出典:https://www.lawson.co.jp/
また、この年は堂島ロールから端を発し、ロールケーキが大人気に。さらにコンビニがその人気に着目。2009年に始まった「ウチカフェスイーツ®」ブランドで、男性主体だった客層を女性層にも広げたいと開発されたプレミアムロールケーキは爆発的人気となりました。「コンビニの生クリームはおいしくない」と言われていた点を改良して臨んだところ、コンビニのチルドスイーツとしては初めてモンドセレクションを受賞しました。
2011年/バウムクーヘン&パンケーキ
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結婚式の引き出物でぱさぱさした生地というイメージが持たれていたバウムクーヘンですが、クラブハリエがふんわり食感のバウムクーヘンを誕生させたところ一気に話題に!さらに、百貨店内に工房と売り場を一体化した店舗を登場させ、焼き立て&切りたてを食べられるスペシャル感溢れるサービス方法に連日大行列という現象を生みました。 他にも、スティック状にしたねんりん堂、表面をキャラメリゼするマダムシンコなど、一工夫加えらえたバウムクーヘンも人気を博しました。
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そして、この年から現在も続いているのがパンケーキ人気。ホットケーキとは違う甘くない生地、ボリューミーなトッピング、スイーツでというよりも食事にもなるような、ライフスタイルを売るという点も大きな注目ポイントでした。bills(ビルズ)、Eggs ’n Things(エッグスンシングス)といったお店の「世界一の朝食」「ホノルルの朝食が食べられる」といったコピーからもわかるように、そのライフスタイルが根強い人気を保っている要因かもしれません。
2012年/ラスク
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もちもち、ふわふわといった柔らか食感人気が続いたからでしょうか、この年は反対にカリカリ食感であるラスクが大ブームに。その火付け役であるガトーフェスタハラダのラスクは以前からご当地のお菓子でしたが、あまりの人気に全国の百貨店などに出店しました。 ラスクは元々売れ残りのパンを焼いて作られていましたが、ブームを受けて洋菓子店でも置かれるように。フランスパンだけでなくクロワッサンを使ったり、チョコレートや醤油などをトッピングしたりといろいろな展開が見られました。
2013年/ポップコーン
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映画館やレジャー施設で食べるものという印象だったポップコーン。それがシカゴやシアトルといった海外ブランドの出店により、今まで食べたことのない大きさでフレーバーも豊富、さらに容器もかわいい!とトレンドになりました。 キャラメルやラズベリーといったスイーツ系、さらにチーズやメープルベーコンといった塩辛い系といったフレーバーはお店の外にまで香りを届け、それがまた次のお客様を生む現象にも繋がりました。
2014年/かき氷
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旅行先として人気が高まっていた台湾ではマンゴーなどフルーツをトッピングするだけでなく素材そのものを凍らせて削っているかき氷がおいしいと人気になり、日本出店の運びとなりました。 日本では、屋台などで見る鮮やかな色の蜜をかけたものや、甘味処で出される抹茶やいちごシロップといったものが主流でしたが、ブームを受けて各地にかき氷専門店が登場。フルーツソースはもちろん、エスプーマを使ったり、いろいろなデコレーションを行ったりと、幅広い展開を見せました。
2015年/カップケーキ
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女性はやはり見た目のかわいさも購入に至る大きな要因の一つ。「セックス・アンド・ザ・シティ」など海外のテレビドラマブームは主人公たちが食べていたカップケーキをもブームとしました。続々とニューヨークやロンドンから出店が続き、キュートなビジュアルのカップケーキに女子たちは列をなしました。 カラフルなパステルトーンのクリームを遣ったり、果物やチョコレートなどいろいろなものを使ってデコレーションしたりといった見た目の楽しさから、twitterやInstagramといったSNSで拡散され、さらに広がりを見せました。
2016年/ダッチベイビー
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フライパンではなくスキレット鍋に生地を入れてオーブンで焼き、外はかりっと中はもちもちとしたパンケーキ、ダッチベイビーはドイツ生まれ。主婦向けのテレビ番組で取り上げられ、全国のカフェ店のメニューにも並ぶようになりました。砂糖と蜂蜜をかけて食べるのが主流でしたが、フルーツや生クリームといったトッピングも登場。このブームに伴い、スキレット鍋が手ごろな価格で販売されているニトリでは常に品薄といった現象も生まれました。
2017年/ハイブリッドスイーツ、ロールアイスクリーム
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もう1種類では足らない!とスイーツとスイーツを掛け合わせて誕生したのがハイブリッドスイーツ。新しいものを次々と生む気質は日本人だからこそではないでしょうか。 ティラミス×パンケーキ、クロワッサン×ベーグル、フレンチトースト×パンケーキ、メロンパン×アイスクリーム、ソフトクリーム×ポップコーン、クレープ×クリームブリュレ、などが続々と登場。どれも掛け合わさることで見事に一つのスイーツになり、さらに新しいスイーツへと進化していきました。
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アイスクリームの形がロール状になっている!と話題になったのがロールアイスクリーム。元々はタイのナイトマーケットの屋台などで人気となり、マレーシアやシンガポール、台湾などにも拡大。その後、ニューヨークやロサンゼルス、ロンドンにもお店がオープンし、そのお店が日本へと進出しました。 コールドプレートの上で作られていく工程を見るのも楽しく、できるまで飽きさせないサービス方法も見逃せない点。自分好みのトッピングが楽しめるのも女子には外せないポイントでした。
2018年/インスタ映えスイーツ
今年はとにかくいろいろなところで見聞きする「インスタ映え」。新しい商品を「SNSで火が点くもの」という視点から作りだす企業やカフェ、洋菓子店も多く見受けられるようになりました。
写真映えするフォトジェニックな要素を考え、ケーキにはソースアソート、フラワートッピング、色も様々に展開。パフェは溢れんばかりのフルーツをトッピング、ドーナツはドリンクカップの上に置いてテイクアウト、スムージーはフルーツの断面を見せる、などなどこれでもか!といった具合に華やかなものが人気となっています。 また、それらを提供するだけでなく、その場で写真を撮影できるスポットや小物を用意しておくお店も多く、「その場所に行って写真を撮る」こと自体を楽しむ、ちょっとしたレジャー感覚で店を訪れる方々も多くいらっしゃるようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。振り返ってみると、「ブームの火付け役は海外」「発信源がテレビからSNSへ」「見た目重視の比率は年々アップ」といった傾向が見受けられるようです。また、ブームが生まれると多くの人々が研究を重ね、さらに違う展開を見せていくといった点には職人たちのお菓子への飽くなき熱意が多いに感じられました。
生まれては消えていくスイーツもありますが、長く生き残り定番商品となっていくもの、違う形へと飛躍していくものも多くあります。今後はどんなスイーツが世間を賑わすのでしょうか。未来のブームをうむのは、もしかしたらあなたかもしれません。