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初めての論文

皆様はじめまして。
ニューヨークに二年弱の間、研究留学していました。AKCCです。僕は幸いその間に臨床系のアウトカムリサーチをいくつかパブリッシュすることができました。

僕が留学していたラボが学生やポスドクに渡していた資料

Tips on writing a manuscript for the first time
(初めての論文での秘訣)

を意訳しました。注!! 学生向けです。
みんなの参考になればと思います。すべて無課金で読めますが、コーヒーおごってもいいよという方は課金していただけると嬉しいです。5割取られるので僕の手もとに100円入るようにしています。

Finish your research project by publishing

論文出版で研究プロジェクトを終えること

最終更新日:(2022/8/5)

-査読付き雑誌に論文を発表することは、キャリアを通じて高く評価されます。

‘blackhole’(抄録を書き、学会発表をするのは好きだが、論文発表(publication)までたどり着けない状態)に陥らないようにしましょう。そのような研究者は現実にはたくさんいます。
(訳者コメント*1)

受理までの期間

-ミーティングでプロジェクトの要旨を初めて説明する(プロジェクト開始)、から原稿が受理される(プロジェクト完了)まで、約1.5年かかる。
(訳者コメント*2)

仮説の設定

- あなたの仮説は何ですか?自分の論文が何故に重要なのか、なぜ自分ほど情熱のない人がそれについて興味を持つのか/持つべきなのか、よく考えてみてください。あなたは何を明らかにしたいのか考えるようにしてください。そうすることで、あなたの研究の焦点を絞ることができます。

研究責任者(PI)や統計学者とよく話し合うこと。

- 可能であれば、実際に解析を行う前に統計学者に相談すること。
統計家とPIの意見はどのようなデータを、どのように収集し、どのように分析するのかに影響を与えるからです。ジャーナルの査読者が統計学者の関与を義務付ける場合もあり、解析をゼロからやり直さなければならないこともあります。
統計学者と研究仮説を共有しておきましょう。
(訳者コメント*3)

論文を読み込むこと

-これは必須です。関連する最近の論文を20本程度読みましょう。
論文の書き方や書式(ダブルスペース、フォントなど)とともに、論文を読むことで関連する知識を学ぶことができます。また、自分のプロジェクトがその分野においてどれぼど大事か学ぶことができます。
(訳者コメント*4)

専門家になる

-自分のテーマについてたくさん読み、「専門家」になること。これは、あなたの論文が総説であるべきという意味ではありません。あなたが学んだすべての情報を原稿に含める必要はありません。あなたの論文の原稿はただただ仮説に焦点を当てたものであるべきです。

推奨されるタイムライン

- 5月から6月にかけて、PIおよび統計学者とプロジェクトについて話し合い、予備データ (preliminary data)の解析を行う。

- 7月、8月にデータ収集(2ヶ月目から4ヶ月目)。

- 9月、11月にAATS/ACC/IHLTに抄録を提出(4ヶ月目)

締め切り1週間前までにアブストラクトを完成させ、共著者に回覧できるようにすること。それをしないと投稿できないかも。

(4ヶ月から5ヶ月目)
(訳者コメント*5)

- 11月に論文の原稿を書き始める。

冬(外が暗くて寒い時期)、あなたは新たな視点でまたデータ収集を行うことになる。

- 4月(11ヶ月目)に…

発表・論文投稿!!

・まず、表・図を作成し、METHODSとRESULTSのセクションを書き始める。

・その結果や考え方を支持する論文や否定する論文をpubmedする(pubmedで検索して読むの意味、原文ママ。)。

・3-4個のメインとなる/新しい知見をピックアップし、それぞれ、DISCUSSIONセクションに書き始める。

・DISCUSSION、終盤のLIMITATIONSについてDiscussすることを忘れずに。

・INTRODUCTIONセクションを書く。INTRODUCTIONはもっと大きな展望を示し、トピックの重要性を強調することに焦点を当てたものになる。

・最後に原稿の抄録を書けば良い。

・投稿が近づくまで、字数制限や他のジャーナル形式を気にする必要はない

-記述には一貫性を持たせること。(略語(abbreviation)、小数点(decimal points)、状況に関する表現(例:「合併症(complication)」と言いたい場合は、原稿全体で使用すること。「有害事象(adverse event)」「副作用(side effect)」などは使用しない)。

- PIから求められた回数だけ、原稿を修正する。

原稿を修正する際には、Word文書の「Review」タブで「tracking」をオンにしてください。

-PIから合格をもらったら、共著者に原稿をcirculateする(査読期間として最低1週間の猶予を彼らに与える)。何度も本文を読み、推敲する。文章を読みやすくし、文体もプロフェッショナルなものにする。(もう一回言うけどダブルスペース、フォントなどを確認すること)

-誰を共著にいれるかは非常に重要です。PIとしっかり話し合いましょう。

-EndNoteなどの

文献管理ソフト

を使用しましょう。(その他にはZorero、MendeleyやReadcube Papersなど。ちなみに筆者は昔papers、今はZotero。)

- 略語リストを作成し(通常はこのためにEXELファイルを利用します)、最後の編集で原稿の略語を修正する(何故ならば、あなたは本文の順番を何度も変えることになります。)

- 一度このサイクルを完遂できたら、次は自分で仮説を生成し、それをやりきることです!

Good luck!! 作家になるには別のスキルが必要だが、ヘミングウェイでなくとも科学論文は書ける!

脚注

以上です。以下は脚注です。
コーヒーおごってもいいよという方はぜひ。やる気になります。

訳者コメント*1: 
僕は一人で渡米したので論文がないと留学証明にならないから、筆頭で論文を一本以上はだすようにと留学経験者から言われました。過激派の意見ですが”学会発表は0点。論文にして初めて評価される”とのことです。論文がない留学はそれすなわち…

訳者コメント*2: 
僕の場合は最長で出版まで5年かかったプロジェクトがあります。査読付き雑誌に投稿し論文にする、形にすることはとても時間がかかり根気が必要です。

訳者コメント*3:
僕のいたラボには統計家が数名いました。毎回相談、確認しました。統計についての査読コメントで一週間まるまる使ってもわからなかった質問を、彼は一日で解決させてくれました。
日本では統計家と仕事をすることに全く馴染みはありませんでした。統計家とコラボすることによって確実に質の高いリサーチができます。

訳者コメント*4:
pubmed、up to dateなどを使って周辺知識を入れましょう。僕は100単位で抄録は読みます。そこから関連論文を(たしかに)20本程度精読していました。
ダブルスペースやフォント(Times New Roman, Arial, etc.)の知識も必要です。
ワードではFormat → Paragraphでダブルスペースに変更できます。

訳者コメント*5:
訳者注:僕がいた施設では抄録締め切り一週間前に共著にCCでメールしていました。みんなからたくさんのコメントがとどきます。

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