DON'T LOOK BACK
ティーンエイジファンクラブは、オアシスやニルバーナほど有名では無いけれど90年代の全盛期には彼らに勝るとも劣らない?人気を誇っていたイギリス・スコットランドはグラスゴーのバンドである。彼らの曲には目新しさは無いものの、音楽っていいなと素直に思えるメロディとあたたかくて爽快なサウンドが詰まっている。
そんな彼らの結成30周年を祝うツアーの日本公演を見に行ってきた。
2年前に行われたアルバムhereのリリースツアーのチケットをうっかり取り損ねて見れなかった僕は今度は忘れずににチケットを押さえた。
しかし、そんな時に限って数日前からうっかり風邪気味になり当日も前の日も咳が治まらず、よく寝れなかった中駆けつけたライブで僕は衝撃の光景を目にした。
あれ?ジェラルドじゃないぞ⁈
結成以来ベーシストとしてそしてソングライター・ボーカリストとして重要な位置を占めていたジェラルド(以下ジェリー)の姿がなかった。
あれどうしたのかなと思ったがベースを弾いていたのは以前からサポートでキーボードを弾いていたデイブだったので、体調不良で一時的な休養とかかな、そうであって欲しいな、と思った。
ライブはとても良かったのだが、ジェリーの曲をとうとうやらなかったので、あーこれは脱退したんだと察した。
終演後スマホで検索してわかったのはジェリーの脱退、しかも来日公演発表のすぐ後にそれを発表されていたのだった。ここでもうっかり。。。
本人が理由として主に挙げていたのが飛行機でツアーをするのをやめたくなったと言う話であった。
そういえば昔彼らのサードアルバムthirteenの中にジェラルドの作った曲でfear of flying(飛ぶ事の恐怖)というのがあったのを思い出した。
あと彼はソロプロジェクトもやっていてそちらではギターを弾いている。思えば過去脱退したドラマーのブレンダンもポールも脱退後はギターボーカルをやったりしている。
今回来日したジェリーを除くメンバーは、オリジナルメンバーでギター・ボーカルのノーマンとレイモンド、ドラムのフランシス、そしてサポートメンバーでジェラルドの代わりにキーボードからベースに回ったデイブ、空いたキーボードにはノーマンとJONNYという言うユニットを組んでいるエイロス・チャイルズ(元ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキ)が加わっていた。
そして、ノーマンとレイモンドによると今後はジェリーの曲はやらないと言うことらしい。セットリストはノーマンとレイモンドの曲のみが演奏された。
ジェリーの曲、優しい声、はにかんだ笑顔がないのかとても寂しく感じられた。
ノーマンはひょうきんな人なので、チューニングをしながら、「あー忙しい、皆何か飲んどいてよ」とか笑わせてくれたが、ジェリーの事には触れなかった。まあ、僕を含め英語のヒアリングが十分でない人が多いせいなのか、何か考えがあっての事かはわからないけれど。
ライブは約二時間、初期の曲から最近の曲まで彼らの人柄の良さがにじみ出た名曲をたくさんやってくれた。ジェリーの曲が無い分物足りない所はあったもののレイモンドのギターは変わらずメロディアスかつノイジーでカッコ良かったし、ノーマンの声も調子良く、いつも通り楽しませてくれた。
初期と比べると見た目はずいぶん変わっちゃったけどね〜。
本篇最後には1stシングルeverything flows、そしてアンコールでは初期の名曲the conceptなどが演奏された。とても良かった。
そしてアンコールの最後に演奏されたのはbrokenと言うタイトルのバラードであった。
歌の部分が少ししかなく歌詞もよくわからないが、タイトルだけ見てもなんだか意味深だなと思ったりした。
しかし、少し経ってみるとジェリーの脱退にショックを受けているファンの気持ちを慰めるために演奏されたようにも感じてきた。
30年間フロントの3人は変わることがなかったし、一枚岩と思われていたバンドから1人が抜けた衝撃は大きかった。
しかしバンドは続いていくし、ジェリーもソロプロジェクトなどで新しい音を届けてくれるだろう。
初期の名盤grandprix収録のジェリーの曲でdon't look back というのがある。こんな気分で彼らの今後の活動を楽しみにしていようと思う。