親愛なる7人の他人 (アラブ版おとなの事情)
レバノン映画「キャラメル」の美人女性監督が出ている!というのでネットフィリックスで鑑賞してみました。タイトルは Perfect strangers
ネフリオリジナル発アラビア語映画というので話題性抜群と言うことでアラブ圏内では上位を突っ走ってるとか
ただこれは脚本オリジナルではなく、密室劇は各国でリメイクされているとのこと。オリジナルはイタリア。スペイン、日本語もあったらしい。
設定は、簡単。男女7人月食夜のスマホ暴露物語。
月食の夜に、集まった中年7人、カップル3組、男性1人の話だ。この中の美容整形外科医の妻である心理セラピストであるラディーン・ナバキー(実際彼女は監督業の人)がテーブルの席でみんなに提案する。
「ゲームをしない?みんなのスマホをテーブルに出してみんなの秘密をバラしあいましょう」
スマホには人生と秘密が詰まっている
順々に電話が鳴り、各人の秘密がポロポロバラされていくという密室劇。主人公を演じるラディーン・バラキーと相方というべきエジプト女優が色気もありコケティッシュで場を華やかにする。そういえばこの男性、「キャラメル」にも出てた警察官。みんなええ感じの中年。
レバノンという国の立地の面白さもあるが、レバノンとエジプトは同じアラブ語ではあるがどこか違ってたりするのを見るのも面白い。そして感嘆詞には必ず英語を使うレバノン人。おもろすぎ。あたしも使ってみようかな。美容整形も大好き。私の知ってるレバノン女性もガッツリ身体いじってるもん。伝統やろね。
あと美味しそうな食事やテーブル席の俳優たちの撮り方もなかなか。カメラを肩にかけて動いてるのが解る。うさぎ料理や義理母との家族関係もアラブらしく見逃さない。
また、女性がみんなラ・ラ・ランドな衣装なのでそれも笑う。
とにかくこの映画で一番描きたかったことは、よくある浮気や不倫などのなんかじゃなく、男性のマチズム、ゲイへの本音の嫌悪を吐露するところではないだろうか。レバノンはムスリムとキリスト教も関係せず嫌悪する姿勢はすざまじい。そして、多くのLGBTQの人たちがへトロのふりをさせられてることに気づくのではないだろうか。想像してほしい。世の中のすべてのLGBTQの人がカミングアウトしてるわけでもない。一生隠して過ごす人が大半だろうという想像をしたことがあるだろうか?そしてそのような、社会を冷ややかに描くアラブ世界の見えない社会コードをさりげに見せてくれるのだ。(これは想像できない絶望感がある)
そしてこの映画が終われば、LGBTQも全部ありありのハリウッド映画を同じ人に薦めてくるネットフリックスのシュールレアリスムよ。
実際このような作品を作ったことで、国内やアラブ世界から批判を浴びているという。それはゲイがこの国に存在すると認めたことで社会が荒廃していくと思われる、けしからんという論調というのがまたびっくりなのだ。。
とのかく脂の乗った役者陣なので安心して見られる。最後、月食が終わって何も変わらない日常が再開する。
人間は罪深い。。それを感じる映画。
スマホを持った同じくような服を着た現代人。でもみんな違うものに縛られてる。
見やすいのでぜひともおすすめ。
私の好きなキャラメルもお忘れなく(YouTubeで無料で見られます)
日本版は大したことないとの噂。。三谷さんじゃないんだ。。