ワークエンゲージメントを高めるための目標設定
▼ 文献情報 と 抄録和訳
ワーク・エンゲージメントの要因となる達成目標と目標達成状況
Bipp T, Kleingeld A, Schelp L: Achievement Goals and Goal Progress as Drivers of Work Engagement. Psychol Rep. 2021;124(5):2180-2202.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的・方法] 達成目標と目標進捗の観点から、仕事への関与に対する自己調節行動の役割を検討した。
[結果] 研究1(N = 205)では、学習目標はワークエンゲージメントと正の関係があり、パフォーマンス接近目標とパフォーマンス回避目標はワークエンゲージメントと無関係であることが明らかになった。2つ目の研究では、従業員に次の週の仕事の目標として、学習目標、パフォーマンス接近目標、パフォーマンス回避目標のいずれかを設定してもらった。1週間後に目標の進捗状況とワークエンゲージメントを測定した(N = 106)。特性レベルおよび状態レベルの学習目標は、より高いワークエンゲージメントと関連し、パフォーマンス回避目標はワークエンゲージメントとは無関係であった。特に、学習目標やパフォーマンス接近目標を追求した従業員では、目標進捗とワークエンゲージメントに正の関係があることがわかった。
[結論] 本研究は、仕事への関与に対する目標志向(特性)、状態達成目標、目標進捗の複合的な役割を明らかにすることで、理論構築に貢献するとともに、組織的な実践において仕事への意欲を高めるための効果的な介入方法を設計するための実践的な示唆を与えるものである。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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ポイント
学習目標(マスタリー目標)を立てた方がワークエンゲージメントが高まる
面白いと感じた理由
結果は当然といえる内容だが、実践できていない組織が多い理由を改めて考えるきっかけとなったから
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学習目標とパフォーマンス目標の意味が分からない場合は以下の記事の説明が分かりやすい。
簡単にいえば、ワークエンゲージメントを高めるためには学習目標、マスタリー目標を立てましょう、ということである。ただ、それが難しい。特に、ミスが重大な結果に繋がりやすい医療現場においては、知らず知らずのうちにパフォーマンス回避目標を立ててしまいやすい。もちろん、医療現場に限らず、その組織の上司の行動・マインドによって、部下はパフォーマンス回避目標しか立てられなくなってしまう状況も考えられる。
たいていの組織では、マネージャーが良くやっていると思われるためには、”ヘマ”をしている部下を何人かつかまえなければならない。
”一分間マネージャー”より抜粋
そうであれば、自身の医療現場や組織がそのような状態であることを俯瞰し、”自分自身”はどんな状況でもパフォーマンス回避目標的志向に陥らないように、マスタリー目標を立て、進んでいくしかないだろう。
他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる
エリックバーン
この言葉を信じ、前に進んでいきたい。
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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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