TKA後に痛みが残るかどうかは、後足部のマルアライメントによって決まる
▼ 文献情報 と 抄録和訳
進行した変形性膝関節症患者の足圧パターン、後足部の変形、およびそれらと足の痛みとの関連について
Saito I, Okada K, Wakasa M, et al.: Foot pressure pattern, hindfoot deformities, and their associations with foot pain in individuals with advanced medial knee osteoarthritis, Gait Posture, 2018, 59; 83-88.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] 本調査では、変形性膝関節症(OA)が進行した人の足圧パターンと後足部の変形を明らかにし、足の痛みとの関連を分析した。
[方法] 片側の膝に変形性関節症があり、人工膝関節置換術(TKA)を受けた64名を、足の痛みがない群(26名、男女比4:22、平均年齢73.7歳)、TKA後に足の痛みがなくなった群(12名、2:10、75.8歳)、TKA後も足の痛みが残った群(26名、4:22、74.7歳)に分けた。どちらの膝にも痛みや変形のない高齢者(54名;10:44;74.3歳)を対照群とした。内側縦アーチの舟状骨高比、レッグヒール角度、体重に対する部分足圧(%PFP)を算出した。TKA前の踵の内側と外側のPFPは、足の痛みのないグループが対照グループよりも有意に低かった。TKAの1年後、%PFPは有意に改善した。足の痛みが解消されたグループでは、TKA前に、レッグヒール角度が有意に高く、TKA前の踵の内側と外側の%PFPと舟状骨の高さの比率は、対照群に比べて有意に低かった。TKAの1年後には、すべてのパラメータが有意に改善した。足の痛みが残っているグループでは、TKA前に同様の異常が見られたが、TKAの1年後には、踵の内側領域の%PFPにのみ有意な改善が見られた。
[結論] 進行した膝OA患者の半数以上が足の痛みを持っていた。これはTKAの1年後には約3分の1に改善した。後足部の変形は、進行した膝OA患者の足の痛みと関連していると思われる。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
TKA後に残存する疼痛は難渋するケースが多い印象を受ける。臨床上の重要なヒントになるだろう。こうした後足部の変形は、どのような力学的負荷によって増強されるのか、どういったパターンがあるのか、科学的に証明されると面白い。
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