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【英論抄読】転子部骨折患者の術後外来能力アウトカムに関する臨床的予測モデル

📖 文献情報 と 抄録和訳

転子部骨折患者の術後外来能力アウトカムに関する臨床的予測モデル

Tomita Y, Yamamoto N, Inoue T, Noda T, Kawasaki K, Ozaki T. Clinical prediction model for postoperative ambulatory ability outcomes in patients with trochanteric fractures. Injury. 2021 Jul;52(7):1826-1832.

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DOI, PubMed

📚 概要

[はじめに]
転子部骨折の治療において、自立した歩行能力を回復させることは重要な目標の一つである。本研究では、転子部骨折の術後3ヶ月の歩行能力予後の臨床的予測モデルを開発し、その識別精度を評価することを目的とした。

[方法]
このレトロスペクティブコホート研究は、転子部骨折に対して髄内釘打ちを行った患者のうち、受傷前に自立歩行能力を有していた346名を対象としたものである。術前・術後因子による重回帰モデルを用いて、3か月後の歩行能力の転帰を予測した。また、カイ二乗自動交互作用検出法を用いて開発した決定木に基づき、臨床予測モデル(CPM)を作成した。

[結果]
✓術後3か月で、263名(76.0%)が自立歩行能力を回復し、83名(24.0%)が自立歩行能力を喪失していた。
✓一変量解析の結果
 2週間後のBarthel index(BI)総スコアは、3ヶ月後の歩行能力の結果を良好な識別精度で予測した(受信者動作特性曲線下面積[AUROC]: 0.819; 95%信頼区間[CI]: [0.769, 0.868], カットオフ値: 22.5, 感度: 69.5%, 特異度: 82.3%)。
✓多重ロジスティック回帰分析の結果
 術前因子(受傷前の居住地,認知症の診断,入院時の血清アルブミン)と術後因子(2週間後のBIトータルスコア)は3ヵ月後の歩行能力アウトカムを予測した(AUROC:0.710,95%CI:[0.636,0.783];感度:91.3%,特異度:41.8%)。
✓CPM(下図)
 2週間後のBI合計点(≦10点,10<点,≦50点,>50点)と認知症の状態(ある,ない)を用いたCPMは,中程度の識別精度を示した(AUROC:0.676,95%CI:[0.600,0.752],感度:94.7%,特異度:40.5%)。

術後3ヶ月の患者の外来能力アウトカムを推定するための臨床予測モデル
ロジスティック回帰モデル 2 の有意な変数を用いて決定木モデルを作成した。2週間後のBarthel index(BI)総スコア(≦10、10<、≦50、>50)は、意図的な歩行能力を予測するための最良の独立変数であった。認知症の診断(ある、ない)は2番目に良い予測因子であった。ランク1と2は、それぞれ60%と71.1%の精度で自立歩行能力の喪失を予測した。ランク3および4は、それぞれ81.8%および99.0%の精度(陽性予測値)で自立歩行能力の回復を予測することができた。

[結論]
転子部骨折の術後3ヶ月の患者における歩行能力の転帰を予測する中程度の精度を持つCPMを開発した。この結果は、術後すぐに測定されるBIスコアと認知症の状態が術後の歩行能力の予測に重要であることを示している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

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この論文は、高崎健康福祉大学の冨田 洋介先生が執筆されたものである。

決定木は分かりやすくて良い(何度目)。
そしてより精度高く、意義のあるものにしていくため、より詳細化されたCPMが開発されてきている印象である。
今回の論文のように、股関節骨折とまとめるのではなく、転子部骨折に限定する、これも精度・意義を高めていくために必要な取り組みであると感じた。

ポイントとして、術後2週間時点でのBIが10以上か否かが挙げられるが、結局のところ、この10点は術後早期にどれだけリハビリテーション職種が病棟と連携して活動量を上げていくかにかかっているのではないかと思う。

そういった意味で、以前に挙げた論文ともリンクしていて非常に興味深い。

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医療従事者における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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