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腰椎分離症の骨癒合不全に関連する因子は?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

片側腰椎分離症の急性例に対する保存的治療後の骨癒合不全に関連する因子の検討

M Tatsumura, H Gamada, et al.: Factors associated with failure of bony union after conservative treatment of acute cases of unilateral lumbar spondylolysis. BMC Musculoskelet Disord. 2021;22(1):75.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景] 腰椎分離症に対しては、骨癒合が期待できる場合、一般的に保存的治療が選択される。しかし、時には保存的治療が不成功に終わることもある。我々は、骨髄浮腫を伴う急性片側性腰椎分離症において、対側の偽関節を含めた骨癒合不全に関連する因子を明らかにしようとした。

[方法] 本研究では、高校生以下の学生に保存療法を行った片側腰椎分離症を対象とした。保存療法は,MRIで骨髄浮腫が消失し,CTで骨癒合を確認するまで継続した。性別、年齢、病理学的病期、対側の骨欠損を合併している病変レベル、閉塞性二分脊椎を併発しているかどうかを単変量解析し、p<0.1の変数はロジスティック回帰分析で検討した。p<0.05の項目は、骨癒合不全に関連する因子と定義した。

[結果] 骨髄浮腫を伴う片側脊椎分離症を92例発見し、66例が保存的治療に成功した。骨髄浮腫を伴う片側腰椎分離症の骨癒合不全は、病理学的ステージの進行(p=0.004)、対側の仮関節形成(p<0.001)、L5病変レベル(p=0.002)と関連していた。オッズ比は、進行性の病理学的病期で20.0(95%CI 3.0-193.9)、対側の偽関節で78.8(95%CI 13-846)、L5病変レベルで175(95%CI 8.5-8192)であった。

[結論] 急性片側脊椎分離症において、病期が進行性、病変レベルがL5、または対側に仮関節症がある場合は、骨癒合を目的とした保存療法は禁忌である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
若年性の片側腰椎分離症の場合、病気が進行性であること、病変がL5に認めること、対側に仮関節があると骨癒合の予後が不良である。

面白いと感じた理由
腰椎分離症はL5-S1に好発しやすいため、結構な確率で骨癒合不全が生じやすいと思った。過度な安静は避け、安全の範囲内で積極的な運動療法が望ましいだろう。

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腰椎分離症に関しては以下の記事がとても分かりやすい。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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