膝OAには脛骨を内旋に誘導することが効果的
▼ 文献情報 と 抄録和訳
変形性膝関節症患者に対する脛骨内旋を伴うレッグプレス運動の即時効果
Hanada K, Hara M, Hirakawa Y et al.: Immediate effects of leg-press exercises with tibial internal rotation on individuals with medial knee osteoarthritis, Physiother Res Int, 2018, 23(4); e1725.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] 変形性膝関節症(OA)患者は、スクワット時に脛骨の外旋が大きくなる運動異常を示すが、膝の回旋運動の矯正に焦点を当てた運動を検討した研究はこれまでにない。本研究では、変形性膝関節症(KOA)患者において、脛骨内旋運動(IR)が症状や機能に及ぼす直接的な影響を明らかにすることを目的とした。
[方法] 本研究では、小規模な無作為化比較試験を用いてレベル2のエビデンスを提供した。この無作為化比較試験では、60名の患者が、脛骨のIR群と中立回転(NR)群のいずれかに割り当てられた。IR群では脛骨を最大IRにしてレッグプレス活動を行い、NR群では脛骨をNRにしてレッグプレス活動を行った。アウトカム評価は、(a)10m歩行テスト、(b)Timed Up and Goテスト、(c)スクワット時の膝の屈曲角度、(d)歩行・スクワット時の膝の痛み、(e)歩行・スクワット時の困難さとした。
[結果]すべての結果において有意な相互作用が認められた。IR群はすべてのアウトカムで有意な改善を示したのに対し、NR群は10m歩行でのみ有意な改善を示した。
[結論] IR群はNR群と比較して、すべてのアウトカム指標で大きな改善を示した。1回のセッションで、脛骨を最大限にIRさせた状態でのレッグプレス活動は、脛骨をニュートラルポジションにした状態でのレッグプレス活動よりも、本研究で測定した症状と機能を効果的に改善した。このことから、OA膝の機能を維持、あるいは改善するためには、大腿四頭筋の強化よりも、回転性のマルアライメントの修正が重要であることが示唆された。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
様々な運動器理学療法のトップランナーが、膝関節疾患の治療における「脛骨内旋」の重要性に関して話しているのを耳にする。ただ、それが科学的に実証されているのかは私自身分からなかったし、気になっていた。割と結構、実証されているみたいだ。あと重要なのは、こうした運動療法をいかに効果的で、安全に実施できるかだ。マシンだけでなく、自重エクササイズで効果的な方法が実証されると面白い。