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軽度の脚長差がある患者の歩行運動および腰痛に対する装具付きインソールの効果
▼ 文献情報 と 抄録和訳
軽度の脚長差がある患者の歩行運動および腰痛に対する装具付きインソールの効果
C Menez, J Coquart, D Dodelin, et al.: Effects of Orthotic Insoles on Gait Kinematics and Low-Back Pain in Patients with Mild Leg Length Discrepancy. J Am Podiatr Med Assoc. 2021;111(4):Article_9. doi: 10.7547/18-093.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[背景] 軽度の脚長差は、歩行時の生体力学的非対称性を増大させ、腰痛の原因となる。ヒールリフトが直接組み込まれた装具用インソールは、この非対称性を軽減し、その結果、関連する腰痛を軽減するために使用された。本研究の目的は、歩行時の運動器の生体力学的適応と、装具用インソールの使用開始前後の主観的な痛みの評価を分析することである。
[方法] 軽度の脚長差(≦2.0cm)を有する8名の患者に、3週間の装具用インソール使用前と使用後に、歩行時の3次元バイオメカニクス解析を行った。腰痛は両測定セッションの前に、visual analog scaleを用いて個別に評価した。
[結果] 運動学的パラメータの分析では、個人の適応が強調された。Dingwellの対称性指数は、装具用インソールが運動学的な歩行パラメータに有意な影響を及ぼさず、患者間で予測できない影響があることを示した。装具用インソールの使用は、(すべての患者において)腰痛を有意かつ系統的に減少させ(P < 0.05)、これは足関節運動学の変化と相関していた(P = 0.02、r = 0.80)。
[結論] 歩行の対称性に対する装具用インソールの効果は、予測できず、各患者の生体力学的補償の個々の態様に固有のものである。腰痛の軽減は、歩行時の足関節運動の改善と関連しているようである。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
軽度の脚長差は、案外軽視されやすい印象がある。また、例えば膝蓋骨骨折などで暫くニーブレースを装着して歩行せざるを得ない方の場合にも、”機能的な”脚長差や足関節の運動学的な変化が生じやすい印象もある。そのため、仮説検証をした上で軽度の脚長差に対しインソール処方を検討することは、有益であるかもしれない。
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